「チームは私についてきているのか?」。ルチャーノ・スパッレッティ監督が口にした言葉は、ユヴェントスが抱える危機の深刻さを物語っている。18日のセリエA第7節、ホームでラツィオに0-3の完敗。31年ぶりとなる屈辱的な敗戦を喫した名門では、選手の発言を巡って指揮官との間に不協和音も生じている。大型補強を敢行しながら結果を残せず、サポーターの不満も高まるなか、スパッレッティはチームを立て直せるのか。混迷するビアンコネーリの現状に迫る。(文:佐藤徳和)[1/2ページ]
ユヴェントスが31年ぶりの大敗
“Umiliata”は「辱めを受けた」というイタリア語の形容詞だ。
10月18日に開催されたユヴェントス対SSラツィオの一戦後、多くのメディアの見出しにこの言葉が踊った。屈辱的な敗戦を喫したのは、本拠地アリアンツ・スタジアムで0-3の完敗を喫したビアンコネーリであった。
元イタリア代表監督の2人による、注目の対決は、ジェンナーロ・イヴァン・ガットゥーゾに軍配が上がった。ユーヴェが本拠地でSSラツィオに敗れたのは、2017年10月14日以来9年ぶりのことだ。
当時の指揮官はマッシミリアーノ・アッレグリ監督で、チーロ・インモービレの2発に沈んだ。敵将はシモーネ・インザーギであった。
ただ、17/18シーズンは3度の敗戦に留まり、勝ち点を95にまで積み上げてセリエAを制している。それほど大きな痛みを負う黒星ではなかった。
では、最後にビアンコチェレスティにホームで3失点を喫したのはいつになるのか。それは、1995年5月7日まで遡らなければならない。
SSラツィオに「辱めを受けた」のは31年ぶりの出来事。指揮官はマルチェッロ・リッピ、相手監督はズデネク・ゼーマンであった。
ロベルト・ディ・マッテーオ、アレン・ボクシッチ、ジョルジョ・ヴェントゥリンの3人にゴールを奪われた。それでも、このシーズンもユーヴェがスクデットを獲得していた。この一敗が、シーズンに影響を及ぼすことはなかった。
だが、今回の状況はどうだろうか。
ユヴェントスは今夏の補強額でトップなのだが…
第7節を終えて、3勝2分け2敗の勝ち点11。勝ち点19で首位を走るインテルと得失点差で2位につけるSSラツィオとは、すでに勝ち点差が8と開いている。
今季のユヴェントスは、昨季に逃したUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権奪還が最低限の目標ではあるが、7試合を終了して、昇格組のフロジノーネ・カルチョの6位を下回り、8位とスタートダッシュに失敗。昨シーズンでさえも、第7節終了時点では勝ち点12で6位につけていた。
前節カリアリ・カルチョ戦での退席処分で、スタンドからの観戦となったルチャーノ・スパッレッティにも弁解の余地はあるだろう。
攻撃の主軸となる3人が長期離脱を強いられている。ケナン・イルディス、ケフラン・テュラム、マヌエル・ロカテッリは、いずれも昨季のリーグ戦で35試合以上に出場した主力である。
その3人が同時に負傷離脱を強いられているのは、不運でしかない。
しかし、今季のユーヴェは、今夏の補強金額でセリエAトップの1億6435万ユーロ(約296億円)を費やしている。対するSSラツィオは2230万ユーロ(約40億円)であった(移籍情報サイト『Transfermarkt』調べ)。
これだけの補強を行っておきながら、主力の3人が不在とはいえ、USサッスオーロとSSラツィオに敗れてはならなかった。
スパッレッティもこの状況に困惑している。
守備の要であるブレーメルが不満を吐露?
SSラツィオ戦後の記者会見では、「心配している。これまで自分がチームをどのように指揮してきたのか、自問しなければならない。チームが成長するどころか、むしろ悪くなるという段階にまで至ったのであれば、いくつかのことを見直し、徹底的に分析する必要がある。とりわけ、自分自身についてだ」と話す。
さらに「チームは私についてきてくれているのか? 昨日までは、そうだと言えると思っていた。しかし、今日となっては、よく分からない。私は選手たちと良好な関係を築いているし、常に彼らと共有したいと思っている。私はそういう人間だ」と答え、選手を掌握できているか否か、疑問を呈した。
選手との関係は良好だと述べているが、実際はどうなのだろうか。このような状況において、守備の要、ブレーメルが不満を吐露した。
イタリア・メディア『Sky Sport』のインタビューに応じ、「ピッチに立つ11人に、途中出場する5人もいる。全員を抱きかかえて面倒を見るわけにはいかない」「状況が悪くなったときに前に出る者もいれば、その反対に隠れてしまう者もいる」と指摘。臆病な選手がいるとの指摘は物議を醸す発言となってしまった。
すると、スパッレッティがすぐに反論。「チームについて語る前に、まず自分自身について語らなければならない」と、ブレーメル自身も敗戦の責任を認めるべきだと主張した。
イタリア紙『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト(以下、『ラ・ガッゼッタ』)』によると、試合から一夜明け、スパッレッティはチームを招集。ブレーメルに弁明の場を与え、ブレーメルは「腹が立っていた。あのようなメッセージを伝えるつもりはなかった」と釈明している。
そして、かつてのカピターノで、守護神であったジャンルイージ・ブッフォンは、『ラ・ガッゼッタ』のファビオ・リーカリ記者のインタビューで、この一件について見解を述べている。



