第105回全国高校サッカー選手権大会の東京都大会2次予選Bブロック準々決勝で発生したPK戦の判定問題について、東京都高体連サッカー専門部は29日、東海大学付属高輪台高校の準決勝進出を発表した。当初は駿台学園がPK戦を制したとされていたが、主催者はゴール判定に重大な誤りがあったと認め、進出校を変更した。過去には競技規則の適用ミスによってPK戦をやり直し、進出チームが変わった事例もある。ただし、今回はPK戦を再実施せずに進出校が変更された点で、対応が異なる。
ゴールネットの破損が招いた判定問題
問題となったのは、24日に行われた東海大高輪台と駿台学園の一戦だ。
試合は0-0のままPK戦に突入。両チームの13人目まで進み、先攻の駿台学園が失敗した後、東海大高輪台のキックがゴール右隅へ向かった。このキックが成功と判定されていれば、その時点で東海大高輪台の準決勝進出が決まる場面だった。
しかし、ボールはゴールネットの穴を通過して外へ抜けたとされ、審判団は協議の末にキック失敗と判定した。その後もPK戦は続き、14人目で決着。当初は駿台学園が12-11で制したと発表されていた。
ところが、東京都高体連サッカー専門部は29日、公式サイトで試合結果に関する文書を公表。ゴールネットの破損に気づかずにPK戦を進行した結果、東海大高輪台の13人目のキックに対するゴール判定に「重大な誤り」があったと認めた。
そのうえで、主催者である東京都サッカー協会と東京都高体連サッカー専門部が協議し、「主催者の判断」によって東海大高輪台を次回戦進出チームとすることを決定した。
なお、JFAが公開する2026/27年版のサッカー競技規則第10条では、ゴールポストの間とクロスバーの下でボール全体がゴールラインを越え、得点した側に反則がなければ、得点が認められる。ボールがゴールネット内にとどまることは条件とされていない。
2018年の天皇杯ではPK戦を最初からやり直し
国内でも過去に、PK戦の結果が覆り、進出チームが変更された事例がある。
2018年6月6日に行われた天皇杯2回戦、名古屋グランパス対奈良クラブの一戦だ。
1-1で迎えたPK戦で、奈良の4人目のキッカーの動きを主審が反則となるフェイントと判定。本来はキッカーに警告を与え、キックを失敗として扱うべきところを、誤ってやり直しを命じた。
PK戦はそのまま続行され、当初は奈良が5-4で勝利。しかし、JFAは次のラウンドへの進出に直接影響する明らかな競技規則の適用ミスがあったと認定した。
JFAは国際サッカー評議会(IFAB)への確認を経て、PK戦そのものが成立していないと判断。特例措置として、1人目からPK戦をやり直すことを決めた。
6月28日に実施されたPK戦では、名古屋が7-6で勝利。当初の勝者だった奈良に代わり、名古屋が3回戦進出を決めた。
この事例で重要なのは、JFAが審判によるフェイントの判定そのものを覆したわけではないことだ。
JFAは、フェイントかどうかという主審の判断は最終的なものとしたうえで、その後の対応に競技規則の適用ミスがあったと認定した。
さらに、PK戦は試合の一部ではなく、次回戦進出チームを決めるための方式であるというIFABの見解も確認。そのうえでPK戦を再実施し、改めて進出チームを決定した。
PK戦の再実施なし。今回の裁定との決定的な違い
一方、今回の東京都大会では、PK戦をやり直すことなく、主催者の判断によって準決勝進出校が変更された。
2018年の天皇杯では、審判による競技規則の適用ミスを理由にPK戦を再実施し、その結果として進出チームが変わった。
しかし、今回確認できた主催者の説明では、東海大高輪台の13人目のキックに対するゴール判定に重大な誤りがあったとしているものの、それを競技規則の適用ミスと認定したのか、また、どの規定を根拠として進出校を変更したのかまでは明らかになっていない。
現行のサッカー競技規則第5条では、得点となったかどうかを含め、プレーに関する事実についての主審の決定は最終的なものとされている。ただし、この規定だけで、主催者による今回の進出校変更の妥当性を断定することはできない。
それだけに、PK戦の再実施という手続きを取った2018年の天皇杯とは異なり、ゴール判定の重大な誤りを認め、PK戦を再実施することなく主催者の判断で進出校を変更した今回の裁定は、極めて異例といえる。
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