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師岡柊生「レオや鈴木優磨くんはこういう気持ちで…」。アビスパ福岡で知る “エースの重圧”【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

アビスパ福岡の師岡柊生
アビスパ福岡の師岡柊生【写真:Getty Images】



 得点力不足に苦しむアビスパ福岡で、最も重い責任を背負っているのが師岡柊生だ。鹿島アントラーズ時代は鈴木優磨やレオ・セアラの背中を追う立場だった25歳が、今では自らゴールを奪い、チームを勝たせることを求められている。「今の自分には責任しかない」。清水エスパルス戦ではシュート0本に終わり、チームも5戦未勝利。それでも、鹿島で見続けた“FWのお手本”を胸に、新たなエースとしての道を歩もうとしている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]

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2026/27明治安田J1リーグ第7節
清水エスパルス 1-0 アビスパ福岡
IAIスタジアム日本平

得点力不足解消が求められるアビスパ福岡

アビスパ福岡
アビスパ福岡は百年構想リーグでJ1勢ワースト2位の得点数に終わった【写真:Getty Images】



 2026年J1百年構想リーグから塚原真也監督体制に移行し、半年間の積み上げを経て、26/27シーズンに挑んでいるアビスパ福岡。

 最終順位19位に沈んだ半年間は、WEST18試合の総得点がわずか「17」。これは20位のジェフユナイテッド千葉よりも少なく、リーグ最低。得点力アップはチームにとっての生命線だった。

 そこで、新助っ人外国人のウェリック・ポポを補強。鹿島アントラーズから師岡柊生も獲得にも踏み切った。

 さらにクリアソン新宿で指揮官を務めていた元日本代表FW北嶋秀郎コーチも招聘し、前線に厚みを加え、得点の取れる形を作ろうと試みたのだ。

 しかし、ここまで勝ち切れているのは、8月15日の第2節・セレッソ大阪戦だけ。昨季途中に加入した碓井聖生が9月に入って負傷離脱し、9月12日の清水エスパルス戦はシャドーと左ウイングバック(WB)をこなせる藤本一輝もベンチ外。アタッカーが手薄な状態で、2000年から勝っていない“鬼門”に向かうことになった。

 塚原監督にとって大きな誤算だったのは、開始早々にウェリック・ポポが負傷交代を強いられたこと。ターゲットマンタイプのFWが不在となり、指揮官は名古新太郎を投入し、彼と重見征斗をシャドーに並べ、師岡を一枚上げて最前線に据える決断を下した。

「1シーズン通してFWのポジションで出場し、ゴールを奪うことにこだわりたかった」という理由から2025年のJ1王者・鹿島を離れた25歳のアタッカーにしてみれば、真価を試される形になった。

「チームが混乱したところもあった」

清水エスパルス対アビスパ福岡
アビスパ福岡はまたも1点が遠く、清水エスパルスに0-1で敗戦【写真:Getty Images】



 鹿島時代にもターゲットマン的な役割を担ったことはあるが、清水の本多勇喜、高橋祐治の両センターバック(CB)は屈強だ。師岡がうまく体を張って落としても、フォローがない状況が続く。

 前半は両者ともにシュート2本と停滞した展開だったが、後半に入ると清水がギアを上げていく。

 そうした中で、福岡は守備陣を中心に耐えていたが、71分に均衡を破られる。

 自分たちの左サイドを攻略され、最終的には嶋本悠大のシュートに途中交代の上島拓巳が飛び込んだ際、足に当たってボールが大きく浮き、それがネットを揺らすという不運な形での失点することになった。

 この1点が重くのしかかり、福岡は0-1で敗戦。これで5戦未勝利、順位も暫定18位とJ2降格圏に転落した。

 1試合を通してシュート0に終わった師岡は「急にケガ人が出て、チームが混乱したところもあったんですけど、修正は早くできないといけないし、ベクトルは自分に向けないといけないので、点を取ってあげられなくて申し訳ないという気持ちが強いです」と失望感を露わにしていた。

 今回の相手・清水には、鹿島で共闘した須貝英大や藤井智也もいた。

「(彼らに敗れたことだけは)マジで悔しい。まあ藤井は点に絡んでいないので」と苦笑していたが、同じ釜の飯を食った面々には負けたくないという思いは人一倍強かったのだろう。

 とはいえ、今季の師岡の出来が悪いというわけでは決してない。

「『レオだったり、鈴木優磨君はこういう気持ちで…』」

鹿島アントラーズの鈴木優磨
師岡柊生は鹿島アントラーズ時代、鈴木優磨、レオ・セアラという偉大なFWの背中を見ていた【写真:Getty Images】



 新天地ではここまで3ゴールとチーム最多得点を記録。8月22日の古巣・鹿島戦でも先制点を挙げていて、むしろ「福岡の新エース」という印象さえある。

 本人も「今の自分には責任しかない」とも語気を強めていたが、チーム内の立ち位置は鹿島時代とは全く異なるものがある。

 東京国際大学から2023年に鹿島入りしてからの師岡は「サイドの切り札」としての起用が多かった。

 ランコ・ポポヴィッチ監督が率いた2024年は『鈴木優磨と組む複数FWの1人』として使われ、32試合に出場したものの、2025年は4月に左アキレス腱を断裂。シーズンを棒に振る形になり、9年ぶりのJ1タイトル奪還の原動力になれなかった。

 長期間のリハビリを強いられる中、彼は2025年のJ1得点王に輝いたレオ・セアラや大黒柱・鈴木優磨の一挙手一投足を間近で見ることになった。

 それを踏まえながら「真のエースとは何なのか?」という命題を自らに問いかけ続けたに違いない。

「自分は本当に“FWのお手本”をずっと横で見ていたので、今、こうやってコンスタントにスタートで出るようになって『レオだったり、鈴木優磨くんはこういう気持ちでやってるんだ』というのが少しずつ理解できているのかなと思います。

 レオの得点能力は誰も真似できないですし、優磨君も今季はまだノーゴールかもしれないけど、ここから必ず来ます。そういう人たちと自分は違うので、本当にずる賢く、泥臭いゴールを狙っていくしかない。そう自分に言い聞かせながらやっています」

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