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「仲良しこよしではダメ」長谷川竜也が北海道コンサドーレ札幌に示す“基準”。「とにかく僕らは弱いので…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images
北海道コンサドーレ札幌 長谷川竜也

北海道コンサドーレ札幌の長谷川竜也【写真:Getty Images】



 開幕5試合で1勝4敗と、苦しいスタートを切った北海道コンサドーレ札幌。苦しむチームの中で、プレーと振る舞いの両面で存在感を放っているのが長谷川竜也だ。第6節のベガルタ仙台戦で今季初先発を飾ると、攻守に奮闘し、連敗ストップに貢献した。数々のタイトルを手にし、2度のJ1昇格も経験してきた32歳は、札幌に一つの「基準」を示そうと奔走している。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ] 

【2026/27明治安田J2リーグ第6節】
2026年9月13日 ベガルタ仙台 1-1 北海道コンサドーレ札幌
(ユアテックスタジアム仙台)

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長谷川竜也がチーム全体を機能させるために意識していたこと

北海道コンサドーレ札幌 長谷川竜也

ベガルタ仙台戦で今季初先発となった長谷川竜也【写真:Getty Images】


 今季最長となる62分間プレーした長谷川竜也は、アウェイで難敵・ベガルタ仙台との一戦を終えると、一定の手応えを口にした。

「4連敗した後での上位の仙台と戦うということで、めちゃくちゃプレッシャーのかかるゲームだったんですけど、メンバーも変わった中、守備でも攻撃でも、やりたいことは、出せる部分は出せたと思います。この勝点1をサポーターがどう思うかわからないですけど、この難しい環境の中で勝点1を持って帰るのは非常に大事なことです。これを続けることが大事だと思います」

 開幕から5試合を戦い、川井健太監督が北海道コンサドーレ札幌で目指すサッカーの輪郭は見え始めていた。一方で、守備時のポジショニングや相手に剥がされた後の切り替えなど、局面ごとに守るべき約束事が徹底されず、その綻びから失点につながる試合が続いた。

 その中で、そうした細部を誰よりも徹底しようとしているのが長谷川だ。今季初先発となった仙台戦でも、自身のプレーだけでなく、チーム全体を機能させるために意識していたことがあった。

「前半で難しいゲーム、締まらないゲームをしてしまうとやっぱり厳しいので。きょうの前半のゲームはすごく良かったかなと思います。あとは後半のところですね。

 やっぱり流れがどっちに傾くかわからないところを自分たちの流れにどうやって持っていくのかというところが課題かなと思いますけど、プレスバックもそうだし、誰がどこに行くのかもそうです。攻撃と守備で求められていること、自分たちがその試合の中で感じたこととか、よく話し合ってできたゲームだったかなと思います」

「よく話し合ってできたゲーム」。その言葉を象徴するように、プレーが途切れるたび、長谷川は選手やスタッフとこまめにコミュニケーションを図っていた。

 それは、この試合に限ったことではない。9月2日に行われたルヴァンカップ・鹿児島ユナイテッドFC戦でも、決勝点を挙げて勝利に導いた長谷川は、試合後にチーム内で互いを理解することの重要性を説いていた。

「理解を深めていく作業が、勝利に絶対近づくはず」

川崎フロンターレ時代の長谷川竜也

川崎フロンターレ時代の長谷川竜也【写真:Getty Images】


「この選手が何をやるのかって待っているような状況だと厳しいので。この選手はこういうプレーをしてくれるというのをもっと相互に理解することが大事です。その理解を深めていく作業が、勝利に絶対近づくはずなので。サッカー以外の時間も良い質のコミュニケーションを味方と取り続けたいなって改めて思いました」

 実際にその後も、映像を見ながら互いの要求を細かくすり合わせるなど、意識的にチームメートとコミュニケーションを重ね、相互理解を深めてきた。

「それぞれのポジションで何を感じているのかとか、とにかく選手同士で話しました。中で解決できるように、お互いを少しでも理解し合えるように。また、自分がスタメンで出るとわかったときには、いろんな選手と密にコミュニケーションを取って、『こういうふうにしてほしい』、『ああいうふうにしてほしい』とよく話しましたね。

 特に(内田)瑞己とか、(西野)奨太とか、ポジションの近い選手とはよく話しました。きょうも(髙尾)瑠からのクロスで惜しいシーンがありましたけど、『瑠のクロスには絶対に中に入るから』と話していました。いろんな選手とよく話をした1週間だったと思います」

 長谷川にとって、コミュニケーションを重ね、互いに要求し合うことは特別なことではない。リーグ戦4度の制覇に加え、ルヴァンカップ、天皇杯も制した川崎フロンターレ時代には、それが当たり前の日常だった。

「川崎のときは、自分は本当に若い選手だったし、ついていくのに必死でした。でも、言動でも行動でも説得力のある先輩たちを見て僕は育ってきました。うまくいかないときに、なんとかうまくいかせようっていう気迫。監督も選手も含めて、基準の高さみたいなところがチームにありましたし、それを作っていたのがベテランだったので」

 中村憲剛や小林悠ら、偉大な先輩たちの背中を間近で見てきた若手時代。今度は、長谷川が背中を見せる立場になった。

「正直、嫌われてもいい」2度のJ1昇格も経験してきた32歳が示す基準

北海道コンサドーレ札幌 長谷川竜也

ルヴァンカップ・鹿児島ユナイテッドFC戦では、決勝点を挙げてチームを勝利に導いた長谷川竜也【写真:Getty Images】


「やれてないやつがいたりして、めちゃくちゃ厳しく怒ったりもしなきゃいけない。したくはないけど、しなきゃいけない。そういった要求する部分は、やっぱり川崎にいたときに当たり前だったので、当時はあんまり気づかなかったんですけど、違うチームに行って、その基準に気づきました」

 2022年の横浜FC、2023年の東京ヴェルディでは、J1昇格も経験した。どちらも昇格を勝ち取るまでの道のりが順風満帆だったわけではない。

「横浜FCでもすごく選手ミーティングをしたし、ヴェルディでも選手ミーティングがあったときには発言するようにしていました。勝つためには、お互いが理解を深めた状態でやらないといけないし、補い合わなければいけないので。

 全部完璧にできる人はいないんですけど、少しでも完璧に近づけることが大事だし、きょうみたいに気持ちの入ったゲームがしっかりできれば、変なゲームには絶対ならないと思うので。やっぱりここから浮上するには、まずは負け癖をつけないのがすごく大事だなと思います」

 勝てなかった。しかし、負けなかった。長谷川はアウェイの仙台で手にした勝点1を、チームが変わるための一歩と捉えている。

「僕らは結果でしか示せないので。その積み重ねが、こいつらが出ているから負けなくなるっていうものにつながっていくと思います。チャンスが来たときに、こういう締まったゲームをすることが一つのチームの基準になると思います。絶対に負けないというところが当たり前のように根付いていけば、それがチームに伝染していくので。

 仲良しこよしではダメだし、思っていることを伝えられないような環境、関係じゃダメです。僕は正直、嫌われてもいいので。みんなに好かれる必要はないと思います。でも、勝ちたいっていうベクトルは誰もが一緒なはずなので、そのためにいろんなことを言います。けど、結局チームが負けなければいい。これを続けることが大事だと思います」

 数字からも、昇格を目指す上での一つの「基準」が見えてくる。38試合制で行われた直近2シーズンで、自動昇格を果たした4クラブの敗戦数は平均7敗。すでに4敗を喫している札幌にとって、これ以上簡単に黒星を重ねる余裕はない。

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