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コラム 2026.10.4 11:50

「僕自身もA代表を目指している中で…」U-21日本代表・市原吏音、韓国戦で感じた“差”。「全てにおいてレベルアップが必須」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images

U-21日本代表の市原吏音
U-21日本代表の市原吏音【写真:Getty Images】



 あと一歩、頂点には届かなかった。第20回アジア競技大会で決勝まで勝ち進んだU-21日本代表は、宿敵・韓国代表に0-1で敗れ、4大会連続で優勝を逃した。キャプテンとして最終ラインを統率した市原吏音は、失点の責任を背負いながら「もっともっと圧倒的な違いを見せられたら」と自らに矢印を向けた。所属するAZではトップチームに定着できず、同世代が次々とA代表へ進む現在。21歳のDFは厳しい現実とどう向き合っているのか。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]

キャプテン・市原吏音に託された任務

市原吏音
イ・ヨンジュンと競り合う市原吏音【写真:Getty Images】



 自国開催の第20回アジア競技大会で、準々決勝・北朝鮮戦、準決勝・ウズベキスタン戦を何とか乗り越え、10月3日の決勝・韓国戦まで駒を進めてきたU-21日本代表。だが、日本は過去3大会で韓国の壁に阻まれ続けてきた。

 兵役免除のかかる相手はつねに本気モードだ。今回もオム・チソン(スウォンジー)、ヤン・ヒョンジュン(セルティック)らA代表経験のあるオーバーエイジ3人を含めたU-23代表の陣容で挑んできた。

 日本にも2025年のEAFF E-1サッカー選手権にA代表として参戦した大関友翔やピサノアレックス幸冬堀尾が名を連ねてはいるが、経験・実績ともに韓国の方が上。その相手を撃破して、16年ぶりのタイトルを取れれば最高のシナリオだった。

 2027年3月からA代表を率いることが決まっている大岩剛監督の采配も注目されたこの大一番。指揮官は今大会で続けてきた大胆なターンオーバーを貫いた。

 中2日で迎えたウズベキスタン戦から10人を変更し、主力級の大関や横山夢樹、ンワディケ・ウチェブライアン世雄らをズラリと並べたのだ。

 守備陣も途中出場した梅木怜以外の3人は準決勝を外から見守っていたメンバーに。キャプテン・市原吏音もその1人だ。

 彼にまず託されたのは、193cmの長身FWイ・ヨンジュン封じ。韓国の前線は彼が起点になり、ペ・ジュノがセカンドトップとして衛星的に動いてゴールを狙ってくる。そこは確実に寸断しなければならなかった。

「僕自身もA代表を目指している中で…」

U-21日本代表
U-23韓国代表にゴールを決められたU-21日本代表【写真:Getty Images】



「試合の入りは自分たちのミスからちょっとバタつきました」と背番号5をつける市原は言うが、すぐに修正。センターバックコンビを形成する岡部タリクカナイ颯斗とともにいい守備を見せた。

 26分にはンワディケが負傷し、担架で下がるアクシデントも発生したが、彼らは崩れることなく0-0で前半を終えた。そして、後半に勝負を賭ける。

 そこで日本は横山が再三の突破からシュートを放ち、あと一歩で均衡を破れそうなところまで押し込んだ。

 韓国の先制点が生まれたのはまさにそんな時だった。61分に右からヤン・ミョンヒョクが突破を試み、佐藤海宏が止められず、クロスを上げられた瞬間、荒木琉偉がパンチング。これが不運にもオム・チソンの前に飛び、そのまま仕留められてしまったのだ。

「押し込んでいる時間帯にああいう失点をしてしまったので、自分としても声をかけるべきだったし、もっとシンプルに蹴り出してもよかった。何かもっとできたんじゃないかと思います」とキャプテンは苦渋の表情を浮かべる。

 改めて振り返ってみると、佐藤が抜かれ、クロスを入れられたシーンで、市原の立ち位置はやや中途半端になっていた。後ろの岡部や梅木はゴール前のカバーに入っていたが、後手を踏む形になった。

 その一瞬の守備組織の乱れが致命傷となり、日本はまたも宿敵に0-1で敗戦。4大会連続でアジア王者の座を逃す形になったのである。

「失点して落ちてしまったのは自分らの課題だし、僕自身も全体を統括する役割だったので、そこもよくなかったと思います。向こうにはA代表の選手もいましたし、僕自身もA代表を目指している中で、今日のような試合でもっともっと圧倒的な違いを見せられたら、そこに近づいていくんじゃないかなとも感じました」

 市原は神妙な面持ちでそう発言した。リーダーとして、1人のDFとしてまだまだ飛躍していかなければいけないと痛感した様子だ。

 実際、今の市原はAZでトップチームに絡めない立場にいる。

市原吏音が直面する厳しい現実

市原吏音
AZではトップチームではなくセカンドチームが主戦場【写真:Getty Images】



 2026年1月にオランダに渡り、欧州挑戦をスタートさせたが、今季の主戦場は2部リーグ。トップチームでの出場はわずか10分だ。

「僕としてはどれも大事な1試合だし、全てを懸けている。いろんな人が見てくれていると思うし、A代表で同世代の選手が活躍している中で自分もそこを目指しているので、1日も早くたどり着けるように、1日1日を大切にしなければいけないですね」

 本人は自らに言い聞かせるように話しているが、厳しい現実に直面しているのは間違いない。

 日本のDFは冨安健洋、伊藤洋輝のように世界トップレベルでプレーする人材も増えてきたが、A代表の陣容を見ても分かる通り、東京五輪世代が大半を占めている。

 2003年生まれの鈴木淳之介がFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)を射止めたものの、期待された高井幸大もケガなどがあって伸び悩んでいるだけに、ロサンゼルス五輪世代の市原には大きく伸びてもらわなければ困る状況だ。

 今回のアジア大会は惜しくも優勝を逃したが、韓国A代表経験者の強度やスピード、技術、フィジカルなど、この大一番で体感したことを絶対にムダにしてはいけない。

「全てにおいてレベルアップが必須。何をやっていくかというのは難しいですけど、しっかりとこの大会を振り返って、技術も体もレベルアップをもっともっとしていかなきゃいけないと思います」と彼は毅然と前を向いていた。

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