フットボールチャンネル

コラム 2026.10.6 11:50

サッカー日本代表の新オプションに? 伊東純也の右SBで機能した“3.5バック”。アジアカップの準備としては十分?【西部の目】

日本代表の伊東純也
日本代表の伊東純也【写真:Getty Images】



 日本代表はニュージーランド代表戦で4バックを採用し、これまでとは異なる形をテストした。しかし、前半は両サイドバックの攻撃参加が大きな効果を生まず、5-4-1で守備を固める相手を崩し切れない。流れを大きく変えたのが、後半途中から右サイドバックに入った伊東純也だった。右ウイングバックにも似た攻撃的な役割を担う“3.5バック”は、AFCアジアカップ2027に向けた新たなオプションとなるのか。(文:西部謙司)[1/2ページ]

両SBの攻撃に大きなインパクトはなし

サッカー日本代表(ニュージーランド代表戦スタメン)
4バックでニュージーランド戦に臨んだ日本代表【写真:田中伸弥】



 日本代表は4バックでスタート。右SBに中野就斗、左SBが鈴木淳之介。CBのコンビは今回の4連戦で中心になった瀬古歩夢と伊藤洋輝だ。

 このニュージーランド戦で試されたのは主に攻撃面だった。

ニュージーランドはトップのクリス・ウッドへのロングボールをメインの攻め手としていて、ビルドアップする意図そのものがほぼないように見えた。そのため、CBのウッドとのバトル、セカンドボールの回収が主な守備の焦点となり、SBとしての守備力を問われる機会があまりなかったからだ。

 中野、鈴木淳の攻撃はとくに大きなインパクトはなかった。

 左の鈴木淳は前田大然と外内のレーンをすみ分けていたが、右の中野と堂安律は大外レーンで重なることが多く、中野の攻撃力が発動する場面は少なかった。前進スペースが堂安に埋められていて、バックパスを受けても同じレーンなのでそこからの展開が限定されてしまっていた。

 それでも中野は28分に上田綺世の先制点につながるクロスボールを供給しているが、左右ともに攻撃面で特筆すべきものは見られなかったと思う。

 状況が一変したのは64分の交代から。

流れを変えたのはやはりあの男

伊東純也
流れを変えた伊東純也【写真:Getty Images】



 中野に代わって伊東純也が登場すると、鋭いクロスボールや強烈な縦突破などでゴールへ迫り、その勢いのまま71分に勝ち越しの2点目。75分にも上田が決めたがオフサイド。しかし、伊東が右SBに入ってからの攻撃は明らかに活性化していた。

 伊東の右SBは渡辺剛が負傷して10人になったベネズエラ戦の終盤でもあったが、今回は11人揃っていたこともあって、攻撃力が十分に発揮されている。堂安とのコンビネーションも手慣れていた。

 伊東の右SBはほとんど右ウイングバックの時と変わらず、つまりかなり攻撃的なのだが、左が鈴木淳なのでバランスはとれていた。

 77分からは伊藤が左SBに移動していたので、伊藤が後方に残れば伊東、中村敬斗のウイングバックによる3バックとほとんど変わらず、この試合に関しては伊東の背後をつかれる不安はそれほどなかった。

 伊東のSB起用は4バックというより3.5バック。伊東の攻撃力を活かすだけでなく、左の中村の守備負担を軽減させる効果もあった。

 中村はウイングバックの時よりも上下動の距離が短くなり、途中出場ということもあるが、71分の2点目は圧巻のドリブルからのアシストだった。

アジアカップに向けての収穫と課題

サッカー日本代表 堂安律
アジアカップへの課題は相手のローブロックの攻略だ【写真:田中伸弥】



 アジアカップへの課題は相手のローブロックの攻略。おそらく多くの試合で相手に引かれる展開が予想される。ニュージーランド戦はまさにそういう流れになる中、グループで崩す場面が少なかった。

 5-4-1で守備を固める相手を崩すのは簡単ではない。久々の4バックということもあるかもしれないが、崩しのきっかけをつかめていなかった。

 ブロックの外でボールを動かし、外からの攻撃はできる。大きなサイドチェンジを使って大外でフリーを作るまでは何度もできていた。

 しかし、単純なハイクロスではニュージーランドのDFに弾き返される。ポケットへの侵入も試みていたが、カバーリングも分厚く決定機にならず。

 全体的に相手選手が「門」になったときに、門の向こう側で受ける選手がいなかったり、相手を背負ったまま無理に受けようとするなど、保持からの前進がスムーズでなく、そのために相手の中央部のDFを動かすことができていない。

 横方向にボールを動かして「門」ができた時にどうするか。後半途中で鎌田大地がトップ下に入ると、見事なフリックから上田のシュート(オフサイドで得点ならず)につなげた場面はあったが、全体に成功率は高くない。

 5-4-1でローブロックを固められると、いわゆるライン間を使うのは難しく、そこで受けてターンできるケースは限られる。

 味方との連係をどうするか、あるいは受ける場所を変えて門そのものを消滅させるか。状況に合わせていくつかのパターンを使い分けていく必要がありそうである。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top