
ジェフユナイテッド千葉でプレーする安井拓也【写真:Getty Images】
今季リーグ戦初先発となった安井拓也が、10月11日のV・ファーレン長崎戦で鮮やかな直接フリーキックから先制点を奪い、中盤でも躍動した。だが、試合終了間際に追いつかれ、ジェフユナイテッド千葉のリーグ2勝目は手のひらからこぼれ落ちた。「勝ってこそ評価されるべき」と語る安井は、自身のプレーに手応えを感じながらも、勝利につなげられなかったことを悔やんだ。勝ち切れない千葉に何が足りないのか。安井の言葉からは、チームが抱える「自信」の問題が浮かび上がる。(取材・文:石田達也)[1/2ページ]
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【2026/27明治安田J1リーグ第9節】
2026年10月11日 ジェフユナイテッド千葉 1-1 V・ファーレン長崎
(フクダ電子アリーナ)
「どちらに転ぶかわからないゲームをずっと落としている」

ジェフ千葉対V・ファーレン長崎の模様【写真:Getty Images】
試合終了を告げるホイッスルが鳴った瞬間、ベンチで戦況を見守っていたMF安井拓也は、その場にしゃがみ込んだ――。
秋晴れとなった10月11日。ジェフユナイテッド千葉は、昨シーズンに熾烈なJ1昇格争いをしたV・ファーレン長崎とフクダ電子アリーナで顔を合わせた。
リーグ最下位で公式戦3連敗中の千葉は、シーズンの序盤から中盤へと向かう中で、勝って流れを引き寄せることを何が何でも必要としていた。だが、試合最終盤の土壇場で追いつかれ勝点2を失った。
小林慶行監督は試合後、以下のように振り返った。
「前半は、決めるべきところというシーンを作り出せていたので、それを決め切れないことで最後にそのツケを払ったというゲームでした。
こんなことでは勝点は積み上がっていかないし、“際”の部分での戦いについてはここ数試合ずっと言っていますが、どちらに転ぶかわからないゲームをずっと落としているところがあって、まさにそれが出てしまったと感じています。選手には『戦う姿勢の部分は誇りに思っている』と伝えました」
立ち上がりの千葉はアグレッシブな姿勢で長崎を押し込んでいくと、今季リーグ戦初先発となった安井が流れを掴むための一撃を決めてみせる。
5分、ペナルティーエリア左脇の位置でフリーキック(FK)のチャンスを得ると、この日のプレースキッカーのMF杉山直宏と安井がキックポイントに立つ。
「俺が蹴ったら入る」という感覚

安井とのコンビネーションを見せたエリソン【写真:Getty Images】
2人が一言、二言の会話を交わし、安井がボールをセット。杉山が蹴ると思いきや安井が鋭く右足を振ると、力強く放たれたボールは壁となった相手選手の頭をかすめながらゴール右上に突き刺さった。
「前日の練習では自分はキッカーではなく、ずっとナオ(杉山)がキッカーを務めていたなかで、『俺が蹴ったら入りそう』みたいには思っていました。それをナオに伝えてキッカーを譲ってもらいました。それで打ったら入ったっていう感じなので良かったと思います」
当初のプランはこうだ。杉山がファーに蹴り、そこに詰めたCBが合わせていく。ただ安井のフィーリングや経験則から「この位置で、俺が蹴ったら入る」という感覚があったのだ。両手を大きく広げ歓声を浴びると、ピッチに立つチームメイトには揉みくちゃにされ、ベンチメンバーは熱い抱擁で迎えた。
得点後も球際でのデュエルで相当意識の高い千葉が主導権を握る。
20分、安井はボールを動かしながらも敵陣深くのスペースに飛び出し、コーナーキック(CK)を獲得。ピッチのどこで緩急をつけて危険なエリアに出て行くかの判断をすると、29分にはセンターライン付近のルーズボールに反応し、右足アウトサイドで前線に駆け上がる杉山にパスを送りGKと1対1の場面を作った。
その10分後には完璧な間合いから約20メートルのスルーパスをFWエリソンに届けるなど得点まで後一歩に迫る。
背番号41の躍動は誰が見ても明らかで、大事な一戦で先発に抜擢した指揮官の期待に、プレーで応えてみせた。
東京ヴェルディ、清水エスパルス戦でも同じ課題

ジェフ千葉対東京ヴェルディの模様【写真:Getty Images】
「どの試合もそうですけど、少し前のファジアーノ岡山戦(天皇杯3回戦)でも個人的な感覚は良かったし、特に気負いすることなく、いつも通りの自分さえ出せれば良いパフォーマンスは出せると思っていました」
1-0のリードを奪う中で長崎に押し込まれる時間が続く。スタートから飛ばし続け、攻守で気を吐いた安井は仲間たちに勝利を託し79分にピッチを退いた。
この最少リードを守り切れるか、はたまた追加点を奪うのか。それが問われるなか、90+5分にMF山口蛍にクリアボールを拾われクロスを上げられるとMF保田堅心にヘディングシュートを打たれ、同点に追いつかれてしまった。
どちらに転ぶか分からないゲームを勝ち切れない。それが今の課題でもある。
リーグ戦で言えば第7節・東京ヴェルディ戦では先行しながらも最終盤の90+2分にクロスから失点して勝利を逃すと、第8節・清水エスパルス戦では1-1の状態から71分にスコアを動かされて黒星。五分五分の試合をものにできていない。
確率高く勝機を手繰り寄せるには、試合にコミットメントし全力を出し切ること、ハードワークを続けることが肝要になるだろう。
この日の長崎戦について安井は言及する。