充実した環境が成績を後押しするファジアーノ岡山
予想の条件はJ1未経験チームのみとした。今季のJ2の22チームのうちJ1未経験チームは13。12節に栃木SC対ファジアーノ岡山の上位対決が実現したが、この2チームを有力候補に推したい。12節の取材から両チームの展望を探った。
岡山は今季の開幕から11戦無敗だった。11節ヴィッセル神戸戦では0対3のビハインドから終盤の3ゴールで同点とし、チームの底力を垣間見せた。影山雅永体制4年目とあってチームが成熟していること、新ストライカーの荒田智之が早々にフィットしたことなどが上位につける要因に挙げられるが、岡山が他を圧倒するのはまずクラブ力だ。
J1未経験チームの13チームは徳島ヴォルティスとカターレ富山以外、有力な親会社を持たない市民クラブ。普段はクラブハウスや固定の練習場を持たないチームがほとんどだが、岡山はJ2参入5年目にして、クラブスタッフから端を発した署名活動により、早々にクラブハウスと天然芝2面、人工芝1面というハードの整備を実現させた。
この環境で今年2月からトレーニングを開始しており、今季の安定した戦いぶりの要因を、新たな環境面に見出したくなるというもの。岡山のあるサポーターが言う。
「去年までは選手たちが練習場の草むしりや石ころを拾ってから練習を開始するような状態でした。それじゃあスライディングをしたくたって思いっきりできないでしょう?」
安定した練習場や身体がケアできる環境は当然重要で、選手間の移籍にも影響を与えるもの。今季で言えば、神戸戦の劇的な同点劇の原動力となった荒田や押谷は、岡山の環境面を評価して移籍を決断したという話を漏れ聞く。
実際、荒田に聞くと言葉を選びながらも「今は最高の環境でプレーさせてもらっています」と話した。岡山の10番でボランチの千明聖典も環境面を好調の要因として否定しない。
「(環境面の変化は)だいぶ大きいです。いつも食事ができて、シャワーも浴びられて、温冷交代浴もできる。その場で全部済ませられるのは相当プラスに感じています。ピッチ状態が良いから質の高い練習もできますし。昇格を目指すためのベースとして助かっています」