必勝パターンを確立した栃木SC
一方の栃木は、岡山のようなクラブ力、地域力という点ではまったく心もとないが、このチームの魅力は継続して積み上げてきたチーム力と選手層の厚さ。今季獲得したクリスティアーノはスピード、テクニック、パワーを備えた万能型で“当たり”だ。
松田浩体制も5年目で、周知のとおり堅守は健在。12節終了時点で6失点はリーグ最少。現在4連勝中だが4試合連続無失点という手堅さだ。実はCBの當間建文やチャ・ヨンファンは本職ではないが、12節に対戦した岡山のストライカー荒田に「中央の2枚は非常に堅かった」と認めさせたほど。
栃木加入2年目にして松田式ゾーンディフェンスを肌感覚として会得したといったところか。
岡山戦は、ここまでの栃木を象徴するような戦いぶりだった。前半は流れをつかめずに岡山の巧みなパス回しにプレスを交わされ、潰しどころを見いだせない展開だったが、それでも最終ラインで身体を張った守備のしぶとさが後半に望みをつなげる。
2トップの廣瀬浩二や近藤祐介が相手の3バックの両脇のスペースに効果的で献身的なランニングを繰り返して相手を走らせ体力をそぎ落とす。「前半はスコアレスでいい」という意志統一の下、堅守と選手層の厚さを強みにした必勝パターンをすでに確立している。
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