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フットボールマネーを追え!【12】下落するマンUの株価。サッカークラブにおける株式公開の是非

苦戦が続くマンチェスター・ユナイテッド。ピッチ外でも同様のようだ。株価は下落し、金融街での評価は決して高いとは言えない。サッカーにおける価値はさまざまで、人によって捉え方も違う。だが、金という指標だけは万国共通である。

シリーズ:フットボールマネーを追え! text by 小松孝 photo by Getty Images

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心配になるユナイテッドの株価推移

 マンチェスター・ユナイテッドが、昨季に続き今季も頭を抱えているのは、試合結果だけではない。

 株価もまた、ニューヨーク証券取引所で付けた新規公開時の初値14.05ドル(約1100円)以降、伸び悩んでいるのである。

 デロイト監査法人がまとめた『フットボール・マネー・リーグ』によると、12/13シーズンのユナイテッドの収益は、欧州チャンピオンズリーグ(CL)では、ベスト16で敗戦したものの、対前年比で7%の伸びを記録。

 しかも、来期からは、胸スポンサーがAONからシボレーへ、ゲームシャツ契約がナイキからアディダスになることによって、それだけでも年間1億8,000万ドル(約194億円)という大金を稼ぎ出す。

 しかし、そうした実績とは裏腹に、株式を通じたユナイテッドの価値は、あまり芳しくないのである。

フットボールマネーを追え!【12】下落するマンUの株価。サッカークラブにおける株式公開の是非
表(1)主な株式公開クラブと2014年11月7日現在の株価

 表(1)は、株式公開中の主なクラブとその株価である(2014年11月7日終値ベース)。

 ユナイテッドがNYSEに2012年8月10日に上場してからの約2年3ヶ月間で、市場全体を表すNYダウ平均は、約30%上昇。しかしユナイテッドの株価は、約13%の上昇にとどまっている。

 その企業の株式が、投資対象として魅力があるか否かを判断する基準の1つに、株価を当期純利益で割った株価収益率(PER)がある。

 PERの値(倍率)は、低ければ低いほど、その時点での株価が割安だと判断されるため、投資家の関心を引きつける材料にもなり得る。

 その時々の相場環境によっても異なるが、14年9月時点でのNYSE上場企業の平均PERは、約17倍で、イタリア証券取引所では35倍。ドイツとロンドンでは約14倍である。

 そうしたなか、ラツィオの5.08倍やボルシア・ドルトムントの22.85倍などに比べて、ユナイテッドのPERは、アーセナルの125.14倍と同様、111.89倍と極めて高く、そのことからも、投資家の目には、魅力ある投資先として映っていない可能性がある。

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