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敵将が「ロングボール・ユナイテッド」とマンUを揶揄。個人能力に頼る戦術選考は振り出しへ

text by 編集部 photo by Getty Images

敵将が「ロングボール・ユナイテッド」とマンUを揶揄。個人能力に頼る戦術選考は振り出しへ
ロングボールを競り合うユナイテッドのルーニー(左)とウェストハムのノーラン(右)【写真:Getty Images】

 プレミアリーグ第24節が現地8日に行われ、マンチェスター・ユナイテッドはアウェイでウェストハムと1-1で引き分けた。英国複数メディアは、両チーム監督のコメントを通じ、ユナイテッドの戦術について苦言を呈している。

 終了間際の93分にブリントの同点弾で追いつき、格下相手から辛うじて勝ち点1をもぎ取ったユナイテッド。試合後、ユナイテッドのファン・ハール監督は「とてもハッピーな結果とは言えない。失望している。我々はもっとガッツを見せる必要があった」と不満を露わにした。

 一方、アラダイス監督は「“ロングボール・ユナイテッド”に対処できなかった。彼らは前へポンポン放り込んでくるだけだったが、結果的にそれがうまくいったね」と相手チームの戦術を皮肉交じりで語った。

 以前のアラダイスサッカーは、2014年1月にチェルシーのモウリーニョ監督が「19世紀のサッカー」と批判するほどロングボールを多用する守備重視のスタイルだった。しかし、今季は縦に速い攻撃を得意とするサコーやダウニングを含めた新加入選手が当たり、よりダイナミックなスタイルへ。対するユナイテッドはこの試合、ハマーズの幻影を追うかのように古典的な戦術に依存した。

 今季のレッドデビルズは、戦術面で多くの課題がある。特に前線の選手が増えたことで、ルーニーの起用法については未だ正解が見つけられていない状況だ。

 この日のフォーメーションは4-4-2。中盤はダイヤモンド型で、ブリントがアンカー、ヤヌザイが左、ディ・マリアがトップ下に入った。そして、ルーニーは適性とは言えない右サイドに配置され、使い方が限定される他の選手の穴埋めを任される。

 また、英紙『デイリー・メール』では、ユナイテッドOBのドワイト・ヨーク氏とリパプールのレジェンドであるジェイミー・キャラガー氏が「2人ともタイプが似過ぎている」とファン・ペルシーとファルカオの同時起用に異論を述べた。

 同紙の選手プレー位置に関するデータによれば、エリア内でこそ脅威になるファルカオが、中盤まで下がって周りの選手を生かす役割に徹し、ゴール前で仕事をする機会を失っている結果が出ている。

 ユナイテッドは今季、欧州CL出場権獲得とFA杯制覇を現実的な目標に捉えている。だが優秀な選手を並べる個人頼み戦術では、それぞれが持つ特徴すら十分に生かせる状況にない。ファン・ハール監督は、パサーにもフィニッシャーにもなれるルーニーを中心に、前線の組み合わせを練り直す必要性が出てくるかもしれない。

【了】

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