明治安田J1リーグ第29節、東京ヴェルディはFC東京に0-1で敗れ、16位へと後退した。ビハインドの状況で迎えた試合終盤、平川怜はイエローカードを受け次節出場停止となり悔しさをあらわにした。J2での武者修行を経て自らの手で掴み取ったJ1の舞台。かつて久保建英とともにプロ契約を結んだ男は、苦境に立つチームを救うため、過去の教訓を胸にチームの立て直しを目指す。(取材・文:藤江直人)
感情を爆発させた86分の攻防

【写真:Getty Images】
思わず感情を爆発させた。短いホイッスルを介してプレーを中断させた山本雄大主審が、左手にイエローカードを持ちながら自らのもとへ歩み寄ってくる。東京ヴェルディのDF谷口栄斗の激しいタックルを受けたFC東京のFW長倉幹樹が、ピッチ上に転がされた86分。問題視されたのは直前の攻防だった。
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自陣の中央でパスを受けたヴェルディのボランチ平川怜が、背後から長倉のタックルを受けてボールを失った。次の瞬間、奪い返そうとした平川が長倉の背後に回り、右手を首から左肩にかけて振り回すような形になった。ハッとしたのか。両手を長倉から離した平川だったが、間近にいた山本主審は見逃さなかった。
公式記録内の「警告理由」には、反スポーツ的行為を意味する「C1」が記されている。15日に味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第29節。イエローカードを提示され、ホームにファジアーノ岡山を迎える20日の第30節で累積警告による出場停止を科される平川が天を仰ぎ、何度も叫び声をあげた。
もっとも、怒りは山本主審へ向けられたものではなかった。すでに一度、5月11日の湘南ベルマーレ戦で累積警告による出場停止を科されていた平川は、前節まで3試合連続で試合終盤にラフプレーでイエローカードを提示されていた。試合後の取材エリア。冷静さを取り戻した25歳が自分自身に矢印を向けた。