明治安田J1リーグ第35節、セレッソ大阪対川崎フロンターレが25日に行われ、2-0で川崎は敗れている。FIFA U-20ワールドカップから帰ってきた大関友翔は、前節に続いて途中出場したが、反撃の糸口を見つけて川崎を勝利に導くことはできず。試合後、20歳のMFは謝罪の言葉を口にしていた。(取材・文:江藤高志)
「プレー云々より…」大関友翔の自己評価
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サッカーには悪い時間帯はあるものだが、それにしても悪すぎた。敵地でのセレッソ大阪戦で、川崎フロンターレは開始7分までに2失点。反撃のチャンスはあったが20分の伊藤達哉の決定機も24分のFKの場面もゴールとはならず。0−2のまま前半を終えた。
2点のビハインドの後半開始時に、長谷部茂利監督がピッチに送り出したのはフィリップ・ウレモヴィッチと大関友翔だった。
「人を変えて、また少しだけ立ち位置を変えてみてどうなるかというところの様子を見たい、まあそういうチャレンジをしたかった」と交代の意図を説明した長谷部監督の狙い通り、後半は川崎がペースを奪い返す。
その流れを作った選手の一人が大関だった。大関は脇坂泰斗、山本悠樹と共に川崎の中盤をコントロールし、C大阪を押し込む流れを作っている。しかし、1点が遠かった。
「ビハインドの中で自分が出て、後半頭から入って時間もある中で、1点も取らせることもできず、取ることもできなかったので。プレー云々より、結果のところで良くなかったというか、自分の中の評価としてはあまり良くないなとは思います」
悔しいはずの試合後も取材に応じ、そして責任を背負う言葉を口にする大関はそういう意味で潔かった。
プレイベートで責任を背負う決断を「自慢してもらえるような選手になりたい」
プロサッカー選手として責任と向き合う姿勢を示した大関は、プライベートでも一つの責任を背負う決断をしている。C大阪戦を前にした10月21日の練習公開日にその思いを明かしている。
大関は自らの報酬の1%を寄付し、サッカーをしたくてもできない子どもたちを支援する1% FOOTBALL CLUBへの参加を決めている。世の中には、大関が「普通にやってきたサッカーがなかなかできない」環境の子どもたちが存在する。そんな子どもたちの力になりたいと考えたという。
「僕の力は微力ですけど、少しでも力になれればなと思いました」
すでにメンバーとして活動していた小林悠と、参加について相談する佐々木旭との会話をたまたま聞いていた大関は自ら参加を決意したという、
「僕もやりたいなっていうのは思いました。その子たちのために頑張ろうと思ったらパワーも出ると思いますし、もっと活躍して、自慢してもらえるような選手になりたいなと思います」
ピッチの外で新たな責任を背負う決意をしたからこそ、C大阪戦ではチームを勝たせる働きをしたかったはず。そういう意味で2点のビハインドで出場したC大阪戦は、活躍を示すには絶好の舞台だとも言えた。停滞するチームの空気を変えるべくピッチに入った大関は、確実に試合を変えていた。
「多少リスクを背負うというか、リスクをかけて攻撃に入っていくっていうのは意識してやっていました」
大関友翔の謝罪。悔いが残った戦い
しかし、2点のリードを手にしたC大阪はリスクを抑えた試合運びを展開。時間帯や展開に応じて守備を固め、ゴール前に人数を割いた。
「スペースもなかったですし、常に相手がいる状況だった」とC大阪の守備ブロックの固さを表現する大関は「ある程度、相手も割り切って、引いた中でブロック作った中で、中だけはやらせないっていうのをやっていたので、そこから自分たちがどう崩すかっていうところは課題が残ったかなと思います」と悔しげだった。
監督から期待を受けた大関は、チームメイトと共に流れを変えるところまではできていた。ただ、得点をもたらすまでには至らず。0−2のスコアを動かすことはできなかった。複数失点無得点で敗れるという結果に対し、大関は真摯に向き合った。
「本当に苦しい、(YBC)ルヴァンカップも終わってしまいましたし、なかなか難しい中で、サポーターの皆さんも来てくれているので、少しでも上の順位っていう話をする中で、1点も取れずに複数失点で負けてしまったのは申し訳ないなと思います」
今節の結果、川崎の優勝の可能性は3試合を残して消滅。不甲斐ないシーズンになってしまった。
ヨドコウ桜スタジアムは、時に激しい雨が振り付ける厳しい気象条件での試合になったがそれでも川崎サポーターはスタジアムに足を運び、そして声をからして応援を続けた。
そんなサポーターへの謝罪の言葉を口にする大関に必要なのは、この悔しさを成長の糧にするということ。チームを勝たせられる選手へと成長することで「もっと活躍して、自慢してもらえるような選手になりたい」という未来像に近づいていくしか無い。
(取材・文:江藤高志)
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