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J1 1か月前

「これは僕たち選手からのSOS」堀米悠斗が魂の叫び。「気持ちではない」アルビレックス新潟が抱える問題とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人

 明治安田J1リーグ第36節が11月8日に行われ、アルビレックス新潟は敵地で湘南ベルマーレと対戦した。すでにJ2降格が決まっているチーム同士の一戦に、新潟は2-5で惨敗。試合後、キャプテンの堀米悠斗が取材エリアに現れると、魂の叫びを残していった。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
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「気持ちが伝わってこない」新潟サポーターの悲痛な声

アルビレックス新潟所属MF堀米悠斗
【写真:Getty Images】

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 敵地・レモンガススタジアム平塚のアウェイゴール裏のスタンドを、アルビレックス新潟のチームカラーのオレンジ色で染めあげたファン・サポーターからさまざまな声が飛んでくる。

 怒気がにじんだ声のなかに新潟のキャプテン、堀米悠斗の胸に深く突き刺さるものがあった。

「気持ちが伝わってこない、と。ファン・サポーターのみなさんもお金と時間をかけて来ているなかで、今日に関してはそういった声を、しっかりと受け止めなければいけないのはもちろんですけど……」

 ともに前節でJ2への降格が決まっている湘南ベルマーレと対峙した8日のJ1リーグ第36節。キックオフ前の時点で、16戦連続で白星がない新潟に対して湘南も19戦続けて勝てていない。

 新潟が勝てば勝ち点26で並び、得失点差で湘南を上回って最下位から脱出できたはずの一戦は予想外の展開になった。

 両チームともに無得点の均衡を破った35分のゴールはミスから生まれた。攻めあがった新潟のセンターバック(CB)、舞行龍ジェームズが左サイドからあげたクロスに頭を合わせた奥村仁のシュートを、湘南のゴールキーパー真田幸太がキャッチ。

 立ち上がるやいなや、前線へロングフィードを放った直後だった。

 ボールの落下点に入ったもう一人のCB、ジェイソン・ゲリアが目測を誤り、ボールに触れないまさかのミスを犯す。

 空中でゲリアと競り合いながら、自身の前方に弾んだこぼれ球を真っ先に拾った湘南のキャプテン、鈴木章斗がノーマークのままドリブルで前へ進み、右足から放った一撃でゴールネットを揺らした。

「いまのチームの問題は、気持ちではないんじゃないか」

 ゲリアのミスだけではない。攻めあがった舞行龍がそれまで守っていたスペースをカバーする選手もいなかった。

 3分後には湘南のスローイン時にほとんどの選手が棒立ち状態となり、スロワーの小野瀬康介から鈴章、二田理央と素早いパス回しで右サイドを崩された末に、二田の折り返しを平岡大陽に決められた。

「序盤から相手の勢いに押された展開に我慢しつつ、アジャストしながら徐々にペース取り戻していた矢先の失点だったので。1失点だけだったらまだよかったけど、その直後の2失点目がすごく痛かった」

 前半に立て続けに喫した2失点の内容を堀米が悔やんだ一戦は、エンドが変わった後半も52分、70分、72分と失点。リーグ戦で今シーズン最多の5失点を喫しながら、終了間際に意地の2ゴールを返した直後に敗れた結果に、堀米は「気持ちが伝わってこない、という声に対しては……」と次のように言及した。

「ファン・サポーターのみなさんが言うところを、一選手が表現するのはちょっと難しいというか、限界があると感じているのが正直な思いです。いまのチームの問題は、気持ちではないんじゃないか、と。

 細かい部分にこだわり切れていないのは、選手の責任でもあり、選手だけの責任でもない。今シーズンに入って何度も言っていますけど、チームに関わる全員が一丸になって戦ってくれないとやはり難しい」

「これは僕たち選手からのSOS」

 3シーズンにわたって戦ってきたJ1からの降格が決まったいまも、堀米は「もちろん気持ちはあるし、折れてもいない」と強調する。そのうえで新潟在籍9シーズン目の最古参で、卓越したリーダーシップから6年連続でキャプテンを託されてきた31歳は、機会があるたびに忌憚のない言葉を残してきた。

「ファン・サポーターの方からも『メディアを通して、チームの悪いところを指摘しないでほしい』と言われてきましたけど、これは僕たち選手からのSOSだととらえてほしい。監督やコーチ、強化部に対して何でも直接言っていい、というわけではないので。その意味でも今シーズンは特に難しいと感じてきました」

 たとえば堀米が主戦場とするサイドバックの選手が、対面の相手選手を前へおびき寄せるために、なるべく低い位置でプレーしてほしいと指示を出されたとする。実際にはサイドバックだけで完遂できるものではなく、サイドハーフや最前線のフォワードの選手のポジショニングや連係も必要不可欠になってくる。

 そうした細かい部分を積み重ねられなかった結果が現状となる。堀米は「これくらいなら記事に書いてください」と苦笑しながら、気持ちが伝わる、伝わらない、を隔てる境界線へ抱く持論を展開した。

「じゃあむやみにスプリントしていれば気持ちは伝わるのかな、と。むやみに前へダッシュして背後をやられましたけど、それでも気持ちは入っていたよね、とはならないと僕は思うんですよ。

しっかりとしたオーガナイズに則っているからこそ迷いなくいけて、強度が出ている、今日は戦っている、球際に激しくいけているとなる。そうじゃないのに、気持ちが見えないとなると……」

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