
バルセロナに敗れたアトレティコ・マドリード【写真:Getty Images】
ラ・リーガ第19節、バルセロナ対アトレティコ・マドリードが現地時間2日に行われ、3-1でバルセロナが勝利した。来年1月に開催されるスーペルコパ・デ・エスパーニャに両クラブが参加するため、前倒しで実施された上位対決だったが、最終的にはチーム力の差が表れる結果となっている。(文:佐藤彰太)[1/1ページ]
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上位対決で痛い敗戦を喫したアトレティコ・マドリード
公式戦7連勝中と絶好調だったアトレティコ・マドリードは、19分にアレックス・バエナのゴールで先制したものの、その後3失点を喫して逆転負け。バルセロナとの勝ち点差は「6」に広がり、痛い黒星となった。
複数の現地紙では、右サイドバックにマルク・プビルの起用が予想されていたが、ディエゴ・シメオネ監督はナウエル・モリーナを選択。さらに中盤ではジョニー・カルドーゾをスタメンに抜擢した。
しかし、改修工事がひと段落した久々のカンプノウでの一戦は開始早々に思わぬアクシデントが起きる。
スタメンに起用されたジョニーが、負傷により序盤で交代を余儀なくされたのだ。
先月のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第5節のインテル戦でも攻守に奮闘し、ビッグマッチで起用されるだけの信頼を掴んでいた選手を失った影響は大きかった。
代わって投入されたコケは、急な出場だったとはいえミスが目立ち、守備強度の面でも不安を残す内容に終始。75分にはアントワーヌ・グリーズマンとの交代で、再びベンチへ退くことになった。
そして、この試合でアトレティコを苦しめたのは、怪我から復帰しコンディションを上げてきたハフィーニャとペドリだった。
26分に許したハフィーニャの同点ゴールの場面は、あまりにも簡単に崩されてしまった印象が強い。
自陣ハーフウェーライン付近でボールを受けたペドリに対し、2トップは寄せ切れず、中央のコケとパブロ・バリオスの間をスルーパスで簡単に通されてしまった。
選手個々の距離感に問題があったことはもちろん、ボールホルダーがペドリであることを考えれば、自由を与えすぎたと言わざるを得ない。
この傾向は同点ゴールの場面に限らず、試合を通して見られたものだった。
バルセロナをリスペクトしすぎ?
そもそもバルサを大の苦手としているシメオネが、相手を必要以上にリスペクトしすぎていることが一因かもしれない。
以前から指摘されてきた消極的な姿勢は、この試合でも如実に表れていた。
一方、攻撃面に目を向けると、今節も先制点を奪い、開幕から15試合連続先制というラ・リーガ記録をさらに更新。明るい材料も確かに存在した。
スタート時はアレックス・バエナが左サイド、ニコラス・ゴンサレスが2トップの一角に配置されていたが、ジョニーの負傷交代後には両者のポジションを入れ替えた。
明確な狙いは判然としないものの、その直後にモリーナがバルサのハイラインの裏へ絶妙な縦パスを送り、バエナが冷静にゴールへ流し込んだ先制点の場面を見れば、采配は見事にハマったと言える。
しかし、そのバエナも62分に負傷し、無念の途中交代。左腿裏を抑えてピッチに座り込んだ様子から、数試合の離脱は避けられない見込みだ。
シメオネに求められること
今週末には“要塞”サン・マメスでのアスレティック・ビルバオ戦を控えているだけに、この試合で途中出場したティアゴ・アルマダの奮起が不可欠となる。
アルマダは決定機を外す場面もあったが、直近3試合で出番がなかったことが信じられないほど動きはキレており、アトレティコの攻撃にアクセントをもたらした。
相手を剥がした後のクオリティに課題は残るものの、その姿は昨シーズンまで在籍したアンヘル・コレアの加入当初を彷彿とさせる。
継続的に起用すれば、確実に戦力として育つタイプだろう。
一方で、連戦による疲労の影響からかエース、フリアン・アルバレスのパフォーマンスも下降気味だ。
だからこそ、新戦力の台頭は不可欠であり、不遇の時間が続くジャコモ・ラスパドーリを思い切って長い時間起用する柔軟さも、シメオネには求められる。
序盤の取りこぼしによる停滞感から抜け出しつつあったアトレティコだが、今日のバルサ戦では力の差を見せつけられた格好だ。
負傷者も一気に増えた中、ここからはまさに総力戦。チームとしてどう立て直すかが問われる局面に差し掛かっている。
(文:佐藤彰太)
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【了】