
川崎フロンターレの長谷部茂利監督【写真:江藤高志】
明治安田百年構想リーグでのタイトル獲得を狙う川崎フロンターレは、12日から沖縄県恩納村でキャンプを行っている。リーグワースト3位だった守備を、長谷部茂利監督はどう改善するのか。沖縄キャンプで見えたのは、川崎らしいアプローチだった。(取材・文:江藤高志)[1/2ページ]
リーグワースト3位の守備をどう改善するか?
昨季、リーグ戦8位に終わった川崎フロンターレ【写真:Getty Images】
長谷部茂利監督は沖縄の恩納村で実施中のシーズン前合宿について、その目的を次のように説明した。
「精度、強度のアップ」
この件については、川崎の監督就任1年目の昨季を通し、強化できたところと足りていないところがあったとのことで、それらを見直すことに主眼を置いているという。
なお、1月12日に始まった合宿については主に前半が公開されており、16日のFC琉球戦までを一区切りとして振り返ってみたい。
12日の初日からの間、報道陣向けに公開されたのは、12日の午後と、13日の午前と午後。そして、14日の午前練習の4コマだった。この4コマ中、3コマが主に攻撃練習に当てられていた。守備練習については14日の午前練習、1コマのみという状況だった。
攻撃重視で合宿を進めている川崎の昨季については、得点が67点でリーグ首位。一方、57失点はリーグワースト3位タイの数字だった。
そう考えると、守備から練習を始めるのがセオリーにも思えるが、ボール保持時の精度を高めることができれば、握り続けることができる。その結果、守備の時間は少なくなるという発想でチーム作りを進めているようだ。それは例えば、山本悠樹の次の言葉から判断できる。
失点を減らすアプローチ「それがフロンターレの良さ」
沖縄キャンプでトレーニングに励む佐々木旭【写真:江藤高志】
「攻撃の時間を長くできれば、守備の時間は減りますし、守備の時間が減れば、結果的には守る時間も減りますし、攻撃の場面が増えて、得点も増えてくる。より多くチャンスを作るっていう話は監督もしているので」
だからこそ、「攻撃を当たり前にやるところの精度をもっと上げないといけないと思います」と述べている。
この点については、佐々木旭が守備の概念がそもそも違うという文脈で次のようなコメントを残している。
「守備のところは、相当だと思います。なんて言うんだろう」との言葉に続け口にしたのが押し込み続けるサッカーだった。
「ゴール前の守備とか、クロスの対応とか、そういうのではなく、相手陣地でずっとサッカーをやり続けるっていうところ。それがフロンターレの良さでもあると思います」
このサッカーの実現のため「僕が出た試合(FC琉球戦での佐々木のセット)で、前の選手は取られた後も切り替えて行ってくれてた」と話す。
そして、「それによって押し込まれる時間っていうのはほとんどなかった。攻撃は最大の防御じゃないですけど、取られた後も相手陣地であれだけ切り替えれば、またすぐ攻撃に移れる。失点も減ると思うので、そこは年間通して続けていきたいなと思います」と述べている。
つまり、相手陣内でボールを握り続けるための「精度」に加え、奪い切ること。また相手陣内で即時奪還するための「強度」がポイントになるということであろう。
川崎フロンターレが目指すところ
清水エスパルスから今季、川崎フロンターレに加入したDF山原怜音【写真:江藤高志】
今年最初の練習試合は45分を3本という形式で行われ、2−0、2−1、2−0とのスコアで終わっている。トータルでは6−1という結果で快勝と言って良い。この琉球戦、2−0で終えた45分1本目で2ゴールを決めた脇坂泰斗は、試合展開に課題と収穫があったと話す。
「立ち上がりに少し相手に少し押し込まれてしまうところはあったんですけど。ゴールキーパーだったりセンターバック中心に耐えることができて自分たちの流れに持っていくことができた」
すなわち、「やられないっていうところは、次につながるというか。ゲームの中で失点してしまうと厳しい部分もある」ということで「欲を言えば最初から自分たちのゲームになるのが理想」だとしていた。
つまり、目指すところは川崎が理想としてきたいわゆるハーフコートゲームということ。その実現のためには技術的なミスは極限まで減らす必要がある。この点について神橋良汰も反省すべき点があるとしている。
「得点については良かったと思いますけど、イージーミスが多かったんで、そこを合わせれば20回は攻撃できるって最後、監督が言ってたので。(そうすれば)もっとチャンスが作れるし、シュート本数も増やせる」
冒頭に記した通り、長谷部監督は合宿のテーマの一つとして、精度を選手たちに伝えている。
その監督からの指示を受けた選手たちが精度についてそれぞれに受け止め、それぞれの言葉で琉球戦を振り返っている。その言葉たちがしっかりと、精度の方向に向いているという意味で今年の川崎の意識のまとまりは高いレベルにありそうだ。