17年ぶりにJ1所属チーム同士の戦いとなった「ちばぎんカップ」。毎年恒例のジェフユナイテッド千葉と柏レイソルによるプレシーズンマッチも、今回で30回目の節目を迎えた。記念すべき一戦は2-1で柏が制したが、新シーズン開幕に向けてチーム内でも激しいポジション争いが行われている。浦和レッズから新加入の大久保智明も、再出発を期する選手のひとりだ。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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恩師のもとで再起を図る大久保智明
2025年はJ1とYBCルヴァンカップでタイトルまであと一歩と迫りながら、無冠に終わった柏レイソル。しかしリカルド・ロドリゲス監督体制1年目にして、ボールを保持して相手を圧倒していくスタイルで見る者を魅了した。
2024年の浦和レッズで出番を失っていた小泉佳穂をJリーグベストイレブンへと引き上げるなど、選手の個性をうまく生かしながら勝ちを追求する指揮官のアプローチ方法は特筆すべき点がある。
迎えた2026年。その名将の下で再起をかけるという決断を下したのが、大久保智明だ。
ロドリゲス監督が浦和指揮官に就任した2021年に中央大学から加入した技巧派レフティは、鋭いドリブルとチャンスメークで存在感をアピール。特に2022〜2023年はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇にも貢献。2023年のマチェイ・スコルジャ監督体制でも攻撃のキーマンと位置づけられた。
だが、2024年のペア=マティアス・ヘグモ監督体制では出番が減少。9月以降にスコルジャ監督が戻ってからは再び試合に出るようにはなったが、同年11月に右ひざ半月板損傷で手術。この影響もあって、2025年のJ1ではわずか326分のプレータイムにとどまっていた。
「過去はある程度、美化されやすい」
「マチェイにしても、23年の僕と25年の僕では、監督の中でも『25年は劣っている』という印象だった。過去はある程度、美化されやすい部分があるので、リカルドが求めているプレーももう一段階上げなきゃいけないかなと思います」と本人も新天地・柏でこれまで以上の活躍を期しているのだ。
その一発目となったのが、1月31日のちばぎんカップ・ジェフユナイテッド千葉戦だ。
ロドリゲス監督は昨季のメンバーを軸としたスタメンで挑み、前半はシュート数15対0と相手を圧倒。中川敦瑛のゴールにより1−0で折り返した。
けれども、後半は姫野誠の投入によって千葉のギアがグッと上がった。大久保が呼ばれたのは、まさにそのタイミング。
61分に小見洋太と代わると、まずは左ウイングバック(WB)でプレー。ここで見せ場を作りたかったが、逆に柏は65分、リスタートから石川大地に同点弾を浴びてしまった。
ロドリゲス監督はここで細谷真大に代えて山之内佑成をピッチに送り込む。山之内が左WBに位置し、大久保は右シャドウに移動した。
このポジションは浦和時代に主戦場にしていた4−2−3−1の右サイドよりゴールに近い。本人も得点への意欲を前面に押し出せると感じていたはずだ。
チームとしては83分に久保藤次郎の決勝弾が生まれ、勝利に大きく前進。そういう状況下でも、大久保自身は最後の最後まで積極的にシュートを打ちに行くなど、「違いを見せたい」という気迫を示し続けた。
「監督がどこで使いたいか次第なので…」
柏での有観客試合デビュー戦は30分強のプレーだったが、自分のやるべき仕事というのは彼なりに理解し、実践しようとしたのではないだろうか。
“新14番”はあらゆるタスクを整理しながら、自身の強みを貪欲に発揮していく構えだ。
「左WBとシャドウで起用されましたけど、監督がどこで使いたいか次第なので、自分は与えられたところをやるだけかなと思います。
WBは結構、ドリブルを求められていますし、シャドウのところは間で受けるだったり、運動量が必要になる。そういうところをちゃんと理解してから自分の色を出せればいいですね。
特にシャドウはゴールへの距離が物理的に近い。最後のシュートシーンもそうですけど、ああいう位置から打ちに行くこと自体、久々だったので、仕留められるようになりたいです」
ただ、選手層の厚い柏の場合、どのポジションも競争は熾烈だ。小屋松知哉(現名古屋グランパス)がチームを離れた左WBは、ちばぎんカップで鮮烈な印象を残した小見が一歩リードという格好。そこに、大久保が2021年の浦和で共闘した汰木康也も参戦してくる。
通常は3バックに陣取っている三丸拡や杉岡大暉も前目でプレーできるため、大久保がファーストチョイスになるのは容易ではなさそうだ。



