明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第7節で、鹿島アントラーズはMUFGスタジアム(国立競技場)でFC町田ゼルビアと対戦し、0-3で勝利した。追加点を決めたのは、2シーズンぶりのゴールとなった三竿健斗。来月30歳の節目を迎える三竿は、出色のパフォーマンスで首位を走る鹿島を支えている。(取材・文:加藤健一)[1/2ページ]
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「賭けで突っ込んでいい場面」
その2つのプレーは酷似していた。
GK谷晃生からのパスを受けた白崎凌兵は、ボールを触ってパスコースを探す。2タッチ目で持ち出した瞬間を三竿は見逃さなかった。
「最初は狙っていなかったんですけど、もう1個持ち出そうとしていたのでいけるかなと」
身体を当てられた白崎のパスは乱れ、松村優太がインターセプト。田川亨介を経由し、ラストパスがゴール前の三竿に渡る。三竿は谷の姿勢を見極めながら、冷静にゴール左に決めた。
このゴールと似ていたのは、開幕節での三竿自身のプレー。違うのは、開幕節では三竿がボールを奪われる側だったが、町田戦では奪う側だったことだ。
「守備側からしたら、一か八か、賭けで突っ込んでいい場面でもある」
後ろ向きでパスを受けたボールホルダーには、ファウル覚悟でプレスをかけることができる。ボールを奪えれば大きなチャンスにつながり、奪えなくても相手は後ろ向きなので前に展開するのは難しい。ファウルになったとしてもカードさえもらわなければ問題はない。
「開幕戦では自分がやられているので、今度は自分がやってやろうと思って行きました」
退場となったプレーは、GKからのパスを受けて攻撃を展開しようというシーンで生まれたものだった。これは鬼木達監督の下でチャレンジしている形であり、そのプレー自体が悪かったというものではない。
出場停止が明けてから5試合に出場しているが、開幕節のプレーを引きずる様子もなくプレーしている。
「トライしていた過程の1つだったので、失敗とは捉えていない。次どうしていくかというふうに考えてやれている」
どんな過去も未来につなげる。その結果が、一昨季11月1日の川崎戦以来、502日ぶりのゴールという形で結実した。
そしてもう1つ、三竿の脳裏には、ある1つの映像があったという。
「こういうのができたらいいな」
「今日CLでデクラン・ライス選手が守備からいいゴールを取っていたんで、こういうのができたらいいなってイメージがあった」
日本時間18日、UEFAチャンピオンズリーグラウンド16セカンドレグで、アーセナルのライスがレバークーゼンからゴールを決めていた。ゴールの形こそ違うが、同じボランチを主戦場とする選手として、そのゴールが強く印象に残っていた。
「今までよりもゴールの近くでプレーするのは意識している」
実際、ここ数試合は高い位置での関与が増えている。前節の川崎フロンターレ戦でもゴールに迫るシュートを放っていた。
川崎戦の25分、味方のクロスからこぼれたボールがフリーで三竿の足下に転がってきた。
「ファーを狙いたかったんですけど。ファーには3人ぐらいいた。セオリー的にファーだなと思ったんで、逆にニアに打ったんですけど、止められちゃいました」
三竿はこのように振り返る。ファーを打つようなフォームから、逆を突くようなイメージでニアを狙ったが、GKスベンド・ブローダーセンが鋭い反応でこれをセーブしていた。
「そこにトライしている」三竿健斗はさらに高みを目指す
30歳を目前に控え、プレーは洗練されている。
「相手を見た中で空いたスペースだったり、『ここが空くだろうな』というエリアだったり、チームで狙うポイントもあるので、そこにトライしている感じですね」
その積極的な姿勢は、数字となって表れている。
11.908km。12kmにはわずかに届かなかったが、町田戦でもチームトップの走行距離を記録した。三竿にとっては特別な数字ではない。樋口雄太と争うかのようにほとんどの試合でチームトップクラスの走行距離を記録している。
そのプレーを支えているのは、日々の地道な積み重ねにある。
「身体は誰よりも気を使ってると思う。オフの日も治療に行ったり、食事もそうですし。それがうまく出ているかなと思います」
Jリーグの試合後の取材は、ロッカールームから出て、チームバスに乗り込む直前に行われる。試合を終えた選手たちはミーティングを終えると、それぞれのルーティーンに従ってシャワーを浴び、着替え、マッサージや治療を受けてからバスへと向かう。
三竿健斗は、いつも最後の方に出てくる。この日も例外ではなかった。
「自分の中で試合に向けてのリズムは去年から積み上がっているので、コンディションはずっといいかなと」
コンディションの良さは、ピッチ上でパフォーマンスとして表れている。



