明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第5節延期分、FC町田ゼルビア対川崎フロンターレが28日に行われた。1-1で90分を終え、川崎はPK戦を1-3で落とした。この試合で川崎のトップ下に入ったのは、今季初先発となった宮城天。アカデミー育ちの25歳は、並々ならぬ思いを抱いてこの試合に臨んでいた。(取材・文:江藤高志)[1/2ページ]
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宮城天はこの試合に全てを懸けていた
延期されていたFC町田ゼルビア戦が、百年構想リーグ初先発となった宮城天は「今回がラストチャンスだと思って」試合に臨んでいたのだという。
「この試合に全てを懸けてたので。この試合でダメだったらもう、って思ってたところだったので」
そこまでの覚悟を持って臨んでいた試合は先制点を奪われる苦しい展開に。ただ後半にプレースタイルを変えた宮城の働きもあり、川崎が主導権を奪い返し同点とする。結果的に3人が外したPK戦で敗れてしまったが、チームに勢いをもたらす働きはできていた。宮城はそんな町田戦について悔しさを噛み殺しながら次のように振り返った。
「最低限のパフォーマンスできましたけど、それプラス勝つことを、自分が点を取ることを見据えて懸けてたので。そこは、自分としては、ダメなところでしたし、実力のなさだったなと思ってます」
得点を奪えなかったことを悔やむ宮城だが、実際にシュートが打てそうな場面に顔を出せていた。例えば73分にはペナルティエリア外で前方が開けた状態でボールを持っている。
あのミドルをもう一度。思わずそう思ったのは、宮城天には20歳の時の大仕事が記憶にあるから。2021年9月22日の、アウェイの鹿島アントラーズ戦、1-1で迎えた94分のミドルシュートだ。
「ずっと言われるんですよね、フロンターレのサポーターに」
「ずっと言われるんですよね、フロンターレのサポーターに」
今年の川崎が始動した1月6日。つまり3か月ほど前の宮城はそう苦笑いつつ「あれが薄れるぐらいの印象のあるゴールはしたいので。そこをしないといけないと思いますね」と来たる百年構想リーグを見据えていた。
サポーターの記憶を上書きしたいと話す宮城に対し、とは言えスーパーなミドルで、もう一度見たいシュートだと伝えると、宮城は「そうっすね。去年(2025年)はなかったんで、ミドルは。ミドルシュート打ってこうかなって思いますね」と口にした。ただ、それには条件があるとも話していた。
「長い(出場)時間だと打てるんですが」
そういう意味では91分の出場時間を与えられたこの町田戦はチャンスだった。実際にシュートを打てそうな場面は複数回あったが「成功率が高い方を選びました」と自らの判断を説明。ただ、結果的にそのパスが得点には繋がっておらず「もうちょっとミドルとか、そういうのを打てるようなポジションに対しての慣れだったり、公式戦での感覚とかを研ぎ澄まさないとなとは、改めて思いました」と反省していた。
痛感した「実力の無さ」
ちなみにスーパーなミドルを決めた当時20歳の宮城は追い詰められていた。「これ決めないと次はベンチ外だぞ」という思いがあったという。
「(結果を出さないと)やばいぞって。とりあえず点だけ、点だけって思ったら、入って、延命したっす(笑)」
苦笑いで当時を振り返る宮城は、冒頭に記した通り、この町田戦に当時と同じように悲壮感を持って臨んでいた。ただ当時と違い、より確率の高いプレーを選び続けた。アシストもゴールも、シュートもゼロに終わった結果はさておき、サッカーIQの高い選手だからこその判断だったと言える。
得点と勝利をもたらす結果を出せなかった試合後「実力の無さだったなと思ってます」と悔しがる宮城だったが、1月6日の宮城は「サッカーして悔しがりたいっすね。上(Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuにあるベンチ外の選手が試合を観る上部の部屋)で悔しがりたくないっすね」と話していた。プレーして悔しがれたこの町田戦は、そういう意味では宮城にとって小さくはない一歩なのだろう。



