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J2 11時間前

「迷惑をかけていたので…」ベガルタ仙台の相良竜之介が手にした「今、一番欲しかったもの」。目の前の霧はようやく晴れた【コラム】

シリーズ:コラム text by 郷内和軌 photo by Getty Images
ベガルタ仙台 相良竜之介

ベガルタ仙台の相良竜之介【写真:Getty Images】



 ベガルタ仙台のMF相良竜之介に待望の今季初ゴールが生まれた。今季は新システムへのチャレンジもあり、左サイドハーフを主戦場としていた背番号14にとって、百年構想リーグは生き残りを懸けた勝負のシーズンでもあった。もがき苦しみ、怪我による出遅れを乗り越え、いま飛躍のときを迎えようとしている。(取材・文:郷内和軌)[1/2ページ]

明治安田J2・J3百年構想リーグ・地域ラウンド第11節
ベガルタ仙台 5-0 栃木シティ
ユアテックスタジアム仙台

「僕が今、一番欲しかったもの」前半終了間際に訪れた歓喜の瞬間

ベガルタ仙台 相良竜之介

今季初ゴールを決めたベガルタ仙台の相良竜之介【写真:Getty Images】

 5得点のゴールラッシュに沸いた、4月18日のユアテックスタジアム仙台。試合後のヒーローインタビューで真っ先にマイクを向けられたのは、この試合の2点目を挙げた、在籍4年目のアタッカーだった。

「僕が今、一番欲しかったものだったので」

 シーズン初ゴールの感想を聞かれたベガルタ仙台の相良竜之介は、サポーターの大歓声を背に思わず声を弾ませる。

「僕だけの力じゃなくて、チームメートのみんなの頑張りがあったから。その(頑張りの)中で僕は活かしてもらえているので、しっかり今日は結果を残すことができて良かったです」

 歓喜の瞬間は、前半アディショナルタイムに訪れた。



 右サイドを起点に、岩渕弘人から五十嵐聖己、武田英寿、鎌田大夢へと小気味よくつながったパスは、ペナルティーエリアからやや離れた位置にいた相良の足元へと渡る。

 素早く反転してゴールに正対すると、ワンフェイクを入れてから左足を一閃。勢いに乗ったボールは栃木シティのGK相澤ピーターコアミの手をはじき、ゴールマウスへと吸い込まれた。

「良い位置でボールを持てたので『足を振ろう』と思ったんですけど、相手も寄せてきたので、1個ためてシュートを打ちました。きれいなゴールじゃなかったんですけど、しっかり入ってくれて良かったです」

 待望の今シーズン初ゴール。ただ、その予兆は1週間前にあった。

「今日こそ決めるんじゃないかな」

ベガルタ仙台 相良竜之介

ベガルタ仙台加入4年目の相良竜之介【写真:Getty Images】

 4月12日に行われたアウェイのSC相模原戦。1点リードの79分からピッチに立った相良は、87分、ゴール中央の位置からミドルシュートを放つと、相手GKのファンブルを誘い、FW梅木翼の追加点を演出する。

 さらに、90分にはカウンターで前線にボールを持ち運び、左サイドを駆け上がってきたMF杉山耀建にラストパス。ダメ押し弾をおぜん立てし、約15分の出場時間で2得点に絡む活躍を見せた。

 もちろん、予兆を感じていたのは筆者だけではない。

 栃木シティ戦後の記者会見、森山佳郎監督はこんなことを口にしていた。



「先週の試合では、ずっと苦しんで、苦しんで、苦しんでいた梅木が相手を突き放すゴールを取ってくれた。相良も今シーズン、怪我から始まって、復帰しても波に乗れず、苦しんで、苦しんで、苦しんでいたんですけど、2試合前ぐらいから徐々に『そろそろ決めるかな』という雰囲気がありました。

 今日の試合も序盤からシュートを放っていて、『今日こそ決めるんじゃないかな』という雰囲気を出してくれていたので、ゴールを決めることができて、彼もホッとしているんじゃないかなと思います」

 その数十分後、ミックスゾーンに現れた相良に指揮官の言葉を伝えると、少しはにかんだ様子でこう答えた。

「どうしても周りに置いていかれている感覚というか…」

ベガルタ仙台 相良竜之介

怪我から今年2月に戦列復帰し、2月28日のヴァンラーレ八戸戦で今季初出場を果たした相良竜之介【写真:Getty Images】

  

「監督にもずっと使ってもらっていた中で、なかなか期待に応えられなくて申し訳なかったです。でも、絶対に取れると思ってやり続けていましたので、まずは『ホッとしている』、その一言です」

 森山体制3年目を迎えた今シーズン。仙台は得点力不足を解消すべく、慣れ親しんだ4-4-2から中盤を逆三角形に配置する3-5-2の新システムにチャレンジしている。

 2023年の加入から3シーズン、左サイドハーフを主戦場としていた相良にとって、百年構想リーグは生き残りを懸けた勝負の半年間でもあった。

 しかし、1月から始まったキャンプは怪我の影響で別メニュー調整。ピッチの外からチームメートを眺める日々が続く。



「どうしても周りに置いていかれている感覚というか…。みんなはピッチの上でコミュニケーションが取れますし、いろんな擦り合わせができますが、怪我人はなかなか一緒にプレーできないので、そういった感覚はものすごくありました」

 2月に戦列復帰を果たし、ホーム開幕戦となった同28日の第4節・ヴァンラーレ八戸戦で今シーズン初出場。

 しかし、復帰直後はトップやウイングバックでの起用が相次ぎ、すぐに本領発揮とはならなかった。

 そんな中、一つの手応えをつかんだのが3月22日のアウェイ・モンテディオ山形戦だ。

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