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横浜F・マリノスの現在地。全試合フル出場の加藤蓮にはどう映る?「結果こそ出ていないけれど…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤井雅彦 photo by Getty Images,Editor

横浜F・マリノス 加藤蓮

横浜F・マリノスの加藤蓮【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグの地域リーグラウンドも残すところ7試合。現在、3勝8敗で9位と苦しい状況が続いている横浜F・マリノスにおいて、加藤蓮は一心不乱にチームの勝利に向かって戦い続けている。チーム作りが新たなフェーズに突入し、求められることも変化する中、背番号2はチームの現状をどのように見ているのか。(取材・文:藤井雅彦)

両サイドバックをこなす加藤蓮のポリバレントぶり

横浜F・マリノス 加藤蓮

横浜F・マリノス加入3年目の加藤蓮【写真:Getty Images】

 11試合、990分。ここまで百年構想リーグの地域リーグラウンドに横浜F・マリノスの選手として唯一フルタイム出場しているのが加藤蓮だ。

 左右のサイドバックを高いレベルでこなすポリバレントな能力はチームに必要不可欠。アクシデントや戦術変更などで試合中に位置を変えるのも珍しくない。

 どちらのサイドで出場しても、誰と組んでも、外連味なく振る舞えるのが強みだ。

 目まぐるしいポジション変更に戸惑いそうなものだが、頭の中の切り替えはスムーズだという。

「自分としては左右どちらでも問題ない。誰と組んでもお互いの良さを出すことが大事。選手個々に良さがあるけれど、その中で自分の良さを消してはいけない。



 まず、チームとしてやるべきことがあって、その上で自分の良さを出していきたい。前に入る選手には良さを出してほしいし、自分のランニングやポジショニングで助けて良さを引き出してあげたい」

 加入3年目で立ち位置が大きく変わりつつある。

 今季は松原健や鈴木冬一といった選手が開幕前から長期離脱しており、加藤がいなければチームはたちまち機能不全に陥っていただろう。

 もっとも、ピッチに立ち続けるだけでは満足できない。ここまで3勝8敗と大きく負け越している成績に責任を感じているのか、口を突くのは反省の弁ばかりだ。

チーム作りが新たなフェーズに突入した中で求められること

横浜F・マリノス 加藤蓮

トレーニングで汗を流す横浜F・マリノスの加藤蓮【写真:編集部】

「試合に出続けているのは、怪我人が多くて選手がいないのもある。ただ、使ってもらえているのであれば、チームを勝たせる存在にならなければいけない。

 そのためには、もっと良いパフォーマンスを見せないと。今のままでは全然ダメ。もっとやらないといけないし、チームを前進させたい。苦しい時こそ自分に何ができるかにフォーカスしていきたい」

 チーム作りは3月末から新たなフェーズに突入。昨季終盤から徹底していたリスク回避のロングボール攻勢だけでなく、自陣からボールをつないでゲーム支配することに取り組んでいる。

 以降、今月に入ってから3連敗と結果こそ出ていないが、ポゼッションする時間は長くなり、チャンスの数も確実に増えている。

 効果的にボールを動かし、狙いとするサッカーを実践できつつある。その中で加藤は、サイドバックに求められる仕事内容も少しずつ変化してきたことを感じ取っている。

「サイドバックとして位置を取る高さが変わった。相手のウイングが自分たちのセンターバックにプレッシャーをかけてきた時にサイドバックの選手が逃げ道になる。特にパギくん(朴一圭)がボールを持った時の高さを意識している。



 高すぎると相手のサイドバックにケアされてしまうので、そこのポジショニングで駆け引きがある。右サイドから前進できているならば、そこで打開してもらって、逆サイドの高い位置に自分が出て行ければチャンスになる」

 その形から生まれたファインゴールがFC東京戦での豪快なロングシュートだ。

 左サイドを天野純がドリブルで前進し、右サイドバックの加藤は反対サイドで高い位置を取っていた。

「逆サイドにボールがあるタイミングで自分はあそこに入っていくことをやっていたし、こぼれてきたら足を振ろうと決めていた」と狙い通りだったことを明かした。

 一方で、チームとして結果が出ていない現状を真摯に受け止める必要がある。

加藤蓮が見つめるチームの現在地「結果こそ出ていないけれど…」

横浜F・マリノス 加藤蓮

チームで唯一、全試合にフル出場中の横浜F・マリノスの加藤蓮【写真:編集部】

 

 とりわけ、被カウンターへの備えは勝ち点獲得を目指す上で欠かせない。

 3連敗中はロングカウンターからの失点が大半を占め、マイボール時のリスク管理が課題となっている。チャンスとピンチは表裏一体の関係とも言える。

 チームとしてポゼッションに比重を傾け始めているからこそ噴出した問題かもしれない。現在地をこのように語る。

「結果こそ出ていないけれど、手応えはもちろんある。GKを使ってしっかりと前進していくことができていると思う。以前はGKから最終ラインの選手につけたら、そのまま同サイドで相手の背後を狙っていくことが多かった。ここ数試合はボランチを経由したり、相手の間を使いながらキャンセルして、もう一度GKを使って反対サイドに展開したり。

 そういうトレーニングをしているのが試合で出ている。ビルドアップのところでプレー選択の比重が変わってきたと感じる。ただ、攻撃にフォーカスするだけでなく守備でも大事。チームとしてあれだけロングカウンターから失点しているのは問題」



 内容を結果に結び付ける作業は容易ではない。すべてにおいてブラッシュアップが求められ、それはフルタイム出場を継続している加藤も例外ではない。

「前半の終わりや後半の入りの戦い方をもっと共有しなければいけないし、そこで相手に先手を取られている事実をもっと重く受け止めて修正していきたい。失点は自分たちのミスからばかりなので、一つひとつの質や動きを合わせていくことが大事になる。

 リスクを冒している分、リカバリーのところで止めないといけない。そこの判断は個々でもっと上げていく必要がある」

 言葉を発する様子に風格すら漂う。脇役ではなく、中心選手のひとりとして。言葉に自覚をにじませた背番号2が、変革途中の横浜F・マリノスをけん引していく。

(取材・文:藤井雅彦)

【著者プロフィール:藤井雅彦】
1983年生まれ。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、記者活動をスタートさせる。サッカー専門紙『エル・ゴラッソ』では創刊時から執筆し、06 年途中からマリノス担当に。 現在はサッカー専門誌などにも多数寄稿。「現場に勝るものなし」を信条に、担当クラブのいまを追っている。 ウエブマガジン『ヨコハマ・エクスプレス』主筆

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【了】

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