敗戦後も、仲間を責める言葉は一切なかった。川崎フロンターレの山口瑠伊は、2失点を喫した試合後、自らのプレーだけを見つめ続けていた。初先発というチャンスで結果を残せなかった現実。それでも「防げない失点はない」と語ったGKの思考には、揺るがない信念があった。(取材・文:江藤高志)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンド第14節
FC東京 2-0 川崎フロンターレ
味の素スタジアム
「去年をすごく思い出した時間でした」
山口瑠伊が、古巣のFC町田ゼルビアが戦ったAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)決勝に力をもらっていた。
「去年をすごく思い出した時間でした」
山口がそう表現したのは、ACLE決勝が前回大会と同じサウジアラビア、ジェッダにあるキング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアムで開催されたから。
また、町田が決勝で対戦したのが、前回大会でも決勝進出していたアル・アハリ・サウジだったからだ。
「やっぱり、アル・アハリ強いなって、思いましたね」と連覇を果たしたアル・アハリを称えた山口は「ただ、日本から応援してましたし、優勝することを願ってました」と町田への思いを口にした。
前回大会で川崎フロンターレが0-2で完敗した相手に対し、善戦した町田だったが、延長戦での失点で0-1と敗戦。準優勝に終わっていた。
「残念ながら優勝できなかったけど、次は自分たちがもう1回あそこでリベンジしたいですね」
百年構想リーグ優勝の可能性が消滅「すごく責任も…」
そう次回の大会を見据える山口だったが、川崎は5月2日に行われた第14節のFC東京戦での敗戦で、J1百年構想リーグでの優勝の可能性が完全に消え、優勝クラブに与えられるACLE26/27への出場権獲得を逃した。
「すごく責任も感じますし、チームとして、結果的には、なっちゃいけない結果なので」とこの結果を反省する山口だった。
優勝を目指し積極的な補強を敢行していた川崎にとって、これは期待外れの結果だと言わざるを得ない。
その結果に選手として関わった山口は「次のシーズンに、今年の課題、去年からの課題を解決して26/27シーズンは優勝して、あそこの舞台にまた立ちたいと思います」と、Jリーグ26/27での出場権獲得を誓った。
その山口にとってこのFC東京戦は百年構想リーグ初出場、初先発の舞台でもあった。
今季は新加入のスベンド・ブローダーセンにポジションを奪われ、さらにはケガの影響で出遅れており、アピールのための大事な試合だった。
試合は前半開始直後から川崎がハイプレスでFC東京を圧迫し押し込んだが、シュートの形にまでは持ち込めず。
膠着状態に入った41分にミスから先制点を献上すると、57分には2失点目を喫し、そのまま試合終了となった。
アピール必須の試合。しかし現実は…
0−2での敗戦後、山口は「悔しい試合でした。シンプルに結果にこだわってたので。すごい悔しかったです」と口にする。
チョン・ソンリョンから背番号1を引き継いだ今季、ブローダーセンとのポジション争いでアピールするためにも無失点で試合を終わらせたかった。
しかし、現実は2失点での敗戦と厳しかった。
悔しいはずの試合後、2失点を振り返る山口は、シュートに至るまでのフィールドプレーヤーのプレーには一言も言及せず。
ただ、自らのセービングについての説明で失点を振り返っている。
宮城天の横パスをカットされたところからのショートカウンターで失った1点目。佐藤龍之介のシュートを弾き、そのこぼれ球を佐藤恵允に蹴り込まれたが、説明はシュートを弾く判断についてだった。
「強く弾くっていうことを結構意識したんですけど。相手の詰めもすごく良かったですし、2人、3人ぐらいいたので。そこで少し後ろに弾くとかっていうのもありだったかなっていうふうに思いました」
締めていたはずの中央を射抜かれ、スピードアップを許した2失点目は、「距離が結構近かったですし、ワンタッチシュート」だったことで、難しい対応だったと振り返る。



