ジュビロ磐田が6試合ぶりに敗北を喫した。三浦文丈監督就任後、チームの課題とストロングが整理されつつあるが、いわきFC戦ではそれらがより鮮明になった。ゴールデンウィークの連戦で目下最も多くピッチに立つ植村洋斗は、敗北に終わったゲームを冷静かつ鋭い視点で振り返る。(取材・文:河治良幸)[1/2ページ]
明と暗、両方が鮮明になったジュビロ磐田
ジュビロ磐田にとって、ホームで行われたいわきFC戦は、現在地を映し出すような試合だった。
90分を1-1で終え、PK戦の末に敗戦。百年構想リーグのレギュレーションで言えば、6試合ぶりの黒星となる。
結果を見れば勝点3を逃した勿体無い試合だが、内容を振り返ると、チームとして積み上がっている部分と、まだ突き抜け切れない要因の両方が見えたゲームでもある。
ボランチとしてフル出場した植村洋斗は単に失点や90分で勝ちきれなかったことを悔やむのではなく、なぜ試合をコントロールし切れなかったのか。なぜ押し返せなかったのかを振り返った。
通常より風が強い環境の中で、いわきは長い球を前線へ送り込み、セカンドボールを回収しながら押し込む。
中2日という厳しい日程の中でも、いわきは前線から強い圧力をかけ続け、磐田陣内でプレーする時間を増やしていった。
ただ、磐田もこの部分にはある程度対応できていた。
植村も「蹴ってくるのはわかってましたし、そこの対応はほぼパーフェクトに近かったと思います」と語っている。
山﨑浩介を中心とした最終ラインは空中戦や背後への対応で粘り強さを見せ、植村自身もセカンド回収や球際で強度を発揮していた。
三浦文丈監督が「点を取るのはカウンター」と準備していた狙いも、13分に形になる。
植村洋斗が語る、ジュビロ磐田の攻撃が停滞した要因
自陣で奪ったボールを上原力也、グスタボ・シルバとテンポ良く前進させ、最後は川﨑一輝が背後へ抜け出して先制。いわきの前掛かりな守備を逆手に取った理想的な形だった。
さらに前半は、上原を中心にサイドへ展開しながら、相手のプレスを一定程度いなすこともできていた。
三浦監督も「サイドを変える意識はすごく出してくれた」と振り返ったように、ビルドアップの出口を整理する部分では改善も見えていた。
ただし、植村が試合後に強く意識していたのは、その後の試合運びだった。
「押し込んでから時間を作れるか、作れないかで言ったら作れる時間はありました」と振り返ったように、磐田には流れを落ち着かせられるタイミングが確かに存在していた。
特に後半は、いわきの運動量が少しずつ落ち始め、中盤やサイドにスペースが生まれ始めていた。
それでも磐田は、自分たちでボールを保持しながら試合をコントロールする時間を作り切れなかった。
植村は「後半は相手もばてていたので、もっと動かせる時間はあったと思いますし、間も空いていたので。無闇に蹴らずにボールを大切にすることで自分たちの時間帯を作れると思います」と振り返った。
この言葉は、この試合で磐田が突き抜け切れなかった要因を象徴している。いわきの圧力を受け止め続けることはできていた。
しかし、受け止めたあとに押し返し、自分たちの時間へ変えるところまでは持っていけなかった。
「そういうエラーは起こるので、どんどん修正していければ」
実際、72分の失点場面についても、植村は単純なクロス対応の問題としては捉えていなかった。
「ボールホルダーへプレッシャーに行けてなかったですし、あのぐらいハーフウェーラインでプレッシャーがかかってなかったら繋いでくると思います」と振り返り、「誰が誰を見るかとかもはっきりしてなかったので。軽い守備だったと思います」と続けた。
ロングボール主体だった相手に対し、後半は中盤でのプレッシャーが曖昧になり、守備のセットが遅れ始めていた。
結果としてサイドで2対1を作られ、最後のクロス対応へつながっていく。
植村が見ていたのは、さらにその前段階だった。
「自分たちも疲れてきて、守備のところでセットしきれなかった。そういうエラーは起こるので、どんどん修正していければと思います」と話す。
守備の乱れそのものより、試合を落ち着かせられなかったことが問題だったという認識だ。
だからこそ、「敵陣に押し込んだ時とか、ボールを落ち着かせるところは落ち着かせないと、やっぱりああいった失点につながると思う」と語っていた。
三浦監督も「押し込まれたときにどうやって押し返していくかはこれからやっていかなければいけない」と振り返っている。
GWの連戦前に急きょ、チームを託された三浦監督は短期間の中で、できる中で攻守を整理し、まず“戦える状態”を作ることを優先した。



