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「弱気な選択を…」北海道コンサドーレ札幌、徳差優利は「後悔」の二文字を繰り返した。忘れられない、たったワンプレー【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images,hiroto kurokawa
北海道コンサドーレ札幌U-18に所属する現役高校生、徳差優利 Jデビュー戦

北海道コンサドーレ札幌U-18のDF徳差優利【写真:Getty Images】



 北海道コンサドーレ札幌U-18に所属する現役高校生、徳差優利が第14節のFC岐阜戦でスタメンに抜擢され、Jリーグデビューを飾った。徳差は約59分間、攻守に奮闘し、チームの4連勝に貢献。結果だけを見れば、申し分ない船出となった。だが、17歳の期待のホープが口にしたのは、あるプレーへの強い後悔だった。(取材・文:黒川広人)

明治安田J2・J3百年構想リーグ・地域ラウンド第14節
FC岐阜 0-3 北海道コンサドーレ札幌
岐阜メモリアルセンターヒマラヤスタジアム岐阜

「本当にあるのかな?」驚きを隠せなかったスタメン起用

北海道コンサドーレ札幌U-18に所属する現役高校生、徳差優利

北海道コンサドーレ札幌U-18に所属する現役高校生の徳差優利【写真:黒川広人】

 この日もメンバー入りした荒野拓馬や西野奨太らの先輩に続くように、北海道コンサドーレ札幌アカデミー出身の現役高校生がまた一人、在学中のJリーグデビューを果たした。

 札幌U-18所属の徳差優利だ。

「ビルドアップや体を張った守備が特徴」と語る通り、DFラインならどこでもこなせる器用さを持つ。トップチームの沖縄キャンプにも長期帯同し、その適応力とポテンシャルは早くから高く評価されてきた。

 しかし、当人はこのタイミングでのスタメン起用に驚きを隠せなかったという。

「スタメンは試合当日に言われました。前日の練習後に、『スタメンあるんじゃないか?』と周りの選手から言われたんですけど、自分では「本当にあるのかな?」と思っていました」



 自身の性格を「普段はおっとりしているタイプ」と語る徳差だが、ひとたびピッチに立てば表情は一変する。

 だが、この日はこれまでとは勝手が違った。

 ゆっくりと右足からピッチに踏み出し、サポーターからの「トクサシ」コールには手を叩き、応えていたが、胸の中は緊張と高揚が入り混じっていたという。

「ピッチに入場するときは緊張しましたね。でも、サポーターの声を聞いて鳥肌が立って。これは特別だなと感じました。小さい頃から目標にしていたクラブで、スタメンとしてデビューできたのは本当に嬉しかったですし、この環境でプレーできて楽しかったです」

 その充実感とは裏腹に、プレー面には全く満足していない。

徳差優利が思わず顔を覆った場面「自分のサッカー人生にも関わってくる」

2026年1月の沖縄キャンプに参加する北海道コンサドーレ札幌U-18の徳差優利

適応力とポテンシャルは早くから高く評価され、トップチームの沖縄キャンプにも長期帯同した徳差優利【写真:黒川広人】

「今日、自分のプレーを出せたかと言われると、まだまだです。ボールに触る回数も少なかったですし、守備も通用していない部分が多かった。もっともっと自分を見直して練習からやっていかないといけないと強く感じました」

 中でも強く悔やんでいるのが、55分のプレーだ。

 梅津龍之介のフィードに抜け出したキングロード・サフォが落としたボールを、ペナルティエリア脇で受けた徳差。絶好のクロスチャンスだったが、選択したのはリターンパス。結果はオフサイドとなり、好機を逃した。

 その瞬間、徳差は思わず顔を覆った。

「あのプレーは本当に悔いが残っています。あそこでクロスを上げられなかった自分を、これからも後悔すると思います。ああいう場面で自分の特徴を出せるかどうかが、自分のサッカー人生にも関わってくると思うので。



 あのクロスを上げられるかは自分のアピールポイントでもありますし、弱気な選択をして、めちゃめちゃ後悔しています。この後悔は絶対に次に活かさないといけないです」

 その直後、川井健太監督は交代カードを切った。しかし、指揮官のデビュー戦の評価は決して低くない。

「優利は、本当に良いものを出してくれたと思います。まず、この舞台でしっかりとやれたこと。メンバーもいつもとバラバラなメンバーでやったというところも含めると、彼の適応能力は非常に高かったと思います。もちろん課題もありますが、そこは彼もわかっていると思います」

 さらに、先輩・荒野を引き合いに出し、こう続けた。

すべては自身の夢を応援してくれる家族のため、あの悔しさを次に繋げるため

2026年1月の沖縄キャンプに参加する北海道コンサドーレ札幌U-18の徳差優利

今年の沖縄キャンプで汗を流す北海道コンサドーレ札幌U-18の徳差優利【写真:黒川広人】

「ベンチに戻ってくるときにはすごく悔しそうな顔をしていました。その悔しそうな顔は、『なんで代えたんだ』という気持ちに感じました。その太々しさは先輩の荒野くんに似ていると思いました。良い選手になるだろうなと思います」

 周囲の評価も高い。アカデミーの先輩・木戸柊摩も「今日は緊張していたと思います。でも、優利に能力があって、できることはチームメートみんながわかっていることだと思います」と語る。

 徳差は家族やクラブに支えられてここまで歩んできた。北海道コンサドーレ釧路U-12時代から才能を見出され、中学進学時には自ら高いレベルを求め、札幌U-15入りを希望した。

 家族もその決断を後押しするべく、拠点を釧路から札幌へ移す決断を下した。父は仕事も変え、家族全体で環境を一新し、徳差の夢を応援したという。

 だからこそ、徳差自身、家族への強い感謝を胸に抱き、トップ昇格を果たすと早くから誓っている。



「昨日の夜、家族と長電話しました。『緊張も楽しんで頑張って』と言ってくれて、すごく喜んでいました。あとは『幸せだ』と言ってくれました。もっと試合に出て、両親に頑張っている姿を見せたいと改めて思いました」

 プロデビューはあくまで通過点。この経験と、あのワンプレーの悔しさをどう次に繋げるかが、未来を左右する。

「トップチームでデビューできたことはすごく嬉しいですし、良かったと思っています。でも、ここはまだ通過点なので。これからもっとトップの試合に出て、プロ契約を掴めるように頑張っていきます」

 シーズン前、「ユースでプレミア昇格を果たすこと、そして、少しでも早くトップに絡み、トップ昇格を掴み取りたい」と語っていた徳差。
 
 その目標は、今確かに半歩前進した。ここからの歩みで、すべてを現実にしていく。

(取材・文:黒川広人)

【著者プロフィール:黒川広人】
北海道出身。大学卒業後、フジテレビで番組制作を担当。2018年よりDAZNにてJリーグ関連の番組制作に携わる。2022年からは株式会社dscに所属し、Jリーグ、Jクラブ、WEリーグをはじめとする各種スポーツ団体の映像ディレクション業務を担当。また、地元・北海道を中心に学生年代の取材活動も精力的に行う。

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【了】

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