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J2 3時間前

「やれているよ!」その声がRB大宮アルディージャを救う。石川俊輝がスタメン復帰戦に込めた決意「チームを勝たせたい」【コラム】

シリーズ:コラム text by 浅野凜太郎 photo by Getty Images
RB大宮アルディージャ、石川俊輝
RB大宮アルディージャの石川俊輝【写真:Getty Images】



 長期のリハビリを乗り越えた石川俊輝がチームに勝利をもたらした。いわきFC戦で先発復帰を果たすと、持ち前の献身性と統率力で試合をコントロール。確かな存在感を示し、RB大宮アルディージャを勝利に導いた。復帰戦に懸けた想いと、その覚悟に迫る。(取材・文:浅野凜太郎)[1/2ページ]
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明治安田J2・J3百年構想リーグ・地域ラウンドEAST-B第15節
RB大宮アルディージャ 3-2 いわきFC
NACK5スタジアム大宮

約11カ月ぶりの先発出場を果たした石川俊輝

RB大宮アルディージャ、石川俊輝
RB大宮アルディージャの石川俊輝【写真:Getty Images】

 試合終了のホイッスルが鳴ると、MF石川俊輝はピッチ中央で仰向けに倒れ込み、勝利の喜びを嚙みしめた。

 90分間走り切り、「チームが勝ったことが一番ですし、ホームにこれだけの方々が足を運んでくださったなかで、笑顔で帰ってもらうことが、選手としては本当に幸せなこと」と安堵の表情を見せた背番号「6」を、仲間たちが笑顔で迎える。

 昨夏のいわきFC戦で右ひざ前十字じん帯損傷と、外側半月板損傷の大ケガを負った石川が約11カ月ぶりとなる先発出場を果たした。奇しくも、受傷した日と同じ相手との試合でーー。



 「本当に久しぶりの先発でしたし、ボランチでの出場もケガをして以来だったので、やっぱり緊張しましたね」

 手術後は苦しいリハビリの時間が続いた。J1復帰を目指すチームの力になれないもどかしさもあったが、ベテランとして前向きな声掛けなどでチームメイトを鼓舞し、ピッチ外からチームを支え続けた。

 先月4日のFC岐阜戦から戦線に復帰し、この日が今季4試合目の出番だった背番号「6」の熱い想いを、チームメイトたちも感じ取っていた。

「チームが慌てているときでも…」

RB大宮アルディージャ、中山昂大
RB大宮アルディージャの中山昂大【写真:Getty Images】

 ボランチでコンビを組んだMF中山昂大は「去年のいわき戦でケガをしたトシくんの、きょうの試合にかけるものは試合前から伝わっていました。

 強い想いがあったなかで、チームが慌てているときでも、『やれているよ!』とすごくいい声をかけてくれたりして、自分も自由にやりやすかった。すごく気を遣ってくれたと思います」と、試合後に熱い抱擁を交わした。

 これまでRB大宮アルディージャは、いわきに対してリーグ戦で一度も勝利できていなかったが、その事実がウソかのように躍動したプレーを披露した。

 14分にMF泉柊椰がゴール前に飛び込んで、今季10得点目となるゴールで先制点を記録。これが自身初の二桁得点となった。



 その後、一度はセットプレーから同点に追いつかれるも、流れの中からはチャンスを作らせず、42分には中山のクロスボールからカプリーニが勝ち越し弾を決めた。

「ボール回しの部分は昂大が得意な部分なのである程度任せて、僕のところではトランジションや球際、セカンドボールの回収を常に意識していました」と話す背番号「6」の黒子のような立ち回りが、あらゆる場面で効いていた。

 注目を浴びづらい黒子的な役割を石川が完璧に遂行するからこそ、役者たちは生き生きと仕事ができる。明治安田J2・J3百年構想リーグで得点ランキングトップに立った泉も、石川の好影響を受けている一人だ。

「チームをずっと鼓舞してくれるので…」

RB大宮アルディージャ、石川俊輝
RB大宮アルディージャの石川俊輝【写真:Getty Images】

「ずっとトシくんの声が聞こえるんです。どこにいるのか分かるし、チームをずっと鼓舞してくれるので、トシくんの存在は大きかった。ボールを回収して、しっかりと俺たちにつなげていい仕事をさせてくれる縁の下の力持ちじゃないですけど、すごく大事な役割を担ってくれました」

 石川は走り続けた。

 80分には1点差に迫られて嫌な雰囲気が漂ったものの、イレブンを集めて再び前に出ていく意識を明確にした。大宮は体を張ったディフェンスでゴールを守り、3-2で逃げ切った。



「一人の選手として素晴らしい選手であることはリハビリのときから感じていました。いまのチームに必要なものを、大宮が勝ったことのないいわき戦で表現してくれる選手だと信じて、彼を思い切り迷いなく起用しました」

 大宮を率いる宮沢悠生監督の言葉である。

 試合終了後、ロッカールームで宮沢監督は締めの挨拶に石川を指名した。突然のことだったが、「共有すべきことだな」と石川がパッと口にした言葉は、少し意外なものだった。

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