
アイスランド戦のサッカー日本代表【写真:Getty Images】
5月31日のアイスランド代表戦は、怪我人とコンディション不良の選手を多く抱えるサッカー日本代表にとって必ずしも盤石な内容とは言えなかった。最終点検として注目しておきたいポイントを3つに分けて整理する。FIFAワールドカップ(W杯)本番まで残り僅かな中、スタッフ陣は課題とどう向き合うのか。(文:西部謙司)[1/2ページ]
国際親善試合
日本代表 1-0 アイスランド代表
国立競技場
三笘薫不在の回答は得られず

負傷によりW杯不参加が決定した三笘薫【写真:Shinya Tanaka】
FIFAワールドカップ(W杯)に臨むメンバーではない吉田麻也を約10分間プレーさせて花道を作り、おそらく本大会で最も出場の可能性が低い長友佑都を45分間使った。
スコットランド代表戦の15分間しか経験のない塩貝健人に与えられた時間は20分足らず。
それぞれ事情や意図があるのだろうが、位置づけが難しい壮行試合だった。ただ、チェックしておきたいポイントが少なくとも3つあったと思われる。
第1は三笘薫のいない左シャドーのポジションをどうするか。
先発では伊東純也が起用された。右はコンビネーションが確立されている久保建英、堂安律の2人。左の伊東、中村敬斗はスタッド・ランスの元同僚。調整が容易な人選といえる。
しかし、右でプレーする時と比べると伊東は精彩を欠いていた。攻撃の切り札だけに不完全燃焼は避けなければいけない。右側に置くのが無難だと思う。
後半からは中村敬斗が左シャドーに入り、左ウイングバックは長友。中村は間受けが巧みで、これに関しては久保と双璧かそれ以上かもしれない。適性は十分のように見える。
だが、中村がここの場合、左ウイングバックは誰なのか。おそらく長友ではなく前田大然か鈴木淳之介だろう。新しい組み合わせになり、この試合では何ともいえない。
久保を左シャドーへ回し、右に伊東なら、ウイングバックの堂安、中村はそのままなので変更点は少ないのだが、今回はこれを試さなかった。あとは鈴木唯人がいるが、こちらも今回は出番なし。
結局のところ、今回は決定版を見つけられなかったのではないか。
遠藤、冨安はベストな状態に戻るのか

アイスランド戦の遠藤航【写真:Shinya Tanaka】
遠藤航、冨安健洋、板倉滉の負傷から復帰した3人を先発させたのは、試合勘を取り戻すためだろう。遠藤、冨安にとっては負傷離脱の期間が長かっただけに重要な試合だった。
遠藤はベストな状態には程遠かった。鬼神のごとくセカンドボールを拾いまくっていたデュエル王の姿は見られず。ここからどこまでコンディションを上げていけるか。
冨安もベストとはいえないが良いプレーぶりではあった。連戦に耐えうる状態かどうかはわからないが、強力なアタッカーへの対策としてのピンポイントの起用でも選出した意味はあると思う。
ボランチには鎌田大地、佐野海舟、田中碧、遠藤の4人が選出されている。もしもの場合の5人目として瀬古歩夢が起用された。
佐野、遠藤のバックアップとしての守備型MFだが、久保と中村に鋭いパスを通していて攻撃面でも持ち味を出していた。
本職はDFであり、佐野も遠藤も使えない状況はあまり想像したくないが、遠藤のコンディションがまだわからない以上、備えておくほかないわけだ。
垣間見えたハイブロックの脆弱性

アイスランド戦のサッカー日本代表【写真:Getty Images】
3つめのポイントはチーム全体のコンセプトの共有。
5-2-3のブロック守備からハイプレスに移行する機能性は世界トップクラスといっていい。日本の最大の武器だろう。
ただし、今回はその脆弱性も垣間見られた。
1トップ、2シャドー、2ボランチの5人がひと塊のブロックとなる守備隊形は通常のミドルブロックより高い位置で相手のビルドアップを抑止できる。いわばハイブロックだ。
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝のアーセナルや、プレミアリーグ後半戦でマンチェスター・シティが披露したのと同種の、最先端の守り方なのだが、アーセナルとシティが六角形なのに比して日本は五角形という違いがある。
31分、アイスランド代表のGKが日本のハイプレスを回避してロングボールを蹴った。板倉が競り勝ったところまでは問題なかったのだが、セカンドボールを拾おうとした田中が被ってしまった。
セカンドボールを拾ったアイスランドはカウンターに転じてシュートまで持っていった。この場面で、日本の3バックの前のスペースには田中しかいなかった。遠藤は前方のプレスに加わっていたので戻れていない。