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オーストリアもお手上げ…アルゼンチン代表、なぜ強い? メッシだけじゃない、その秘密【北中米W杯分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 フリーライター photo by Getty Images
オーストリア代表に勝利したアルゼンチン代表
オーストリア代表に勝利したアルゼンチン代表【写真:Getty Images】


 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループJ第2節・アルゼンチン代表vsオーストリア代表が現地時間22日に行われ、アルゼンチン代表が2-0で勝利した。リオネル・メッシの2ゴールで前回王者はグループステージ2連勝。ラルフ・ラングニック監督率いるオーストリア代表のハイプレスを攻略した優勝候補・アルゼンチン代表の強さの秘密に迫る。(文:安洋一郎)※データは『Opta Analyst』を参照[1/2ページ]

アルゼンチン代表が2連勝

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リオネル・メッシ
アルゼンチン代表リオネル・メッシ【写真:Getty Images】


「弱点の話をしようか? 私たちが確認した限りではほとんどない」

 オーストリア代表のラルフ・ラングニック監督は、アルゼンチン代表の試合前の記者会見でリオネル・スカローニ監督のチームをこのように評した。

 実際に現地時間22日に行われた試合では、あらゆる局面でアルゼンチン代表が優位に立ち、2-0というスコア以上の実力差を感じさせた。

 前提として、オーストリア代表は決して弱いチームではない。攻撃の核であるMFクリストフ・バウムガルトナーが怪我のために不在なのは大きな痛手だが、ラングニック監督のゲーゲンプレスのイズムが浸透した組織的なチームだ。

 その組織力は代表チームの中でも随一で、1節を終えた時点でのハイプレスの強度を図る「PPDA(パスごとの守備アクション値)」はW杯に出場している48か国で1位。2年前のユーロ(欧州選手権)では、フランス、オランダ、ポーランドとグループリーグで同組となりながら1位で通過した実績がある。

 そんな完成度の高いチームであっても、リオネル・メッシを擁するアルゼンチン戦はお手上げだったようだ。

 試合後にラングニックは2ゴールを決められたメッシについて、「彼の活躍を言葉にするのは難しい。私たちは1週間ずっと彼のために準備した。どのトレーニングセッションでも、スペースやパスコースを制限する方法、ライン間で彼を止める方法に焦点を当てた。それでも、彼は打開策を見つけてしまった」と、対策を上回られたとコメントした。

 アルゼンチン代表はどのようにしてオーストリア代表を上回ったのだろうか。

初戦とは全く違う試合に…

オーストリア代表のラルフ・ラングニック監督
オーストリア代表のラルフ・ラングニック監督【写真:Getty Images】


 アルゼンチン代表からすると、第1戦のアルジェリア戦と第2戦のオーストリア戦は大きく異なる試合だった。

 アルジェリア代表は、高い位置からアルゼンチン代表の最終ラインにプレスをかけるわけでも、低い位置やミドルブロックでコンパクトな陣形を保つわけでもなく、結果として中盤に大きなスペースが生まれていた。

 そのためライン間にポジションを取るメッシにボールを届ける方法は簡単で、17分の先制点の場面や66分の決定機など、中央の縦パス1本で相手守備陣形を後手に回すことができた場面もあった。

 オーストリア代表は、自由にボールに触れるスペースを多く与えていたアルジェリア代表とは対照的に、キックオフ直後から彼らの代名詞とも言えるハイプレスで高い位置からボールを奪いに来た。

 しかし、アルゼンチン代表のビルドアップはオーストリアが誇る強度の高い非保持に対して焦ることはなかった。

 むしろ2分と3分の鮮やかなプレス回避によって、オーストリア代表のゲームプランは早々に狂わされたと言っていい。

オーストリア代表のプレスを簡単にひっくり返した方法

アルゼンチン代表MFアレクシス・マカリステル
アルゼンチン代表MFアレクシス・マカリステル【写真:Getty Images】


 アルゼンチン代表の[4-4-2]は、メッシを活かすための特殊なシステムと言えるだろう。

 一般的な[4-4-2]はワイドに個人で縦に剥がせるアタッカーを配置し、最前線にはボックス内で強さを発揮するストライカーを配置する形が多い。

 しかし、アルゼンチン代表の場合は、最前線のメッシが自由に動き回るフリーロールの役割が与えられており、彼の周りで他の選手がサポートに入る形で局所的に数的優位の状況を作り出している。

 両ワイドに配置されるMFロドリゴ・デ・ポールとMFティアゴ・アルマダも大外にポジションを取ることはほとんどなく、基本的にはペナルティーエリアの幅の中で左右に動きながらプレーする。

 イメージとしては2人の10番タイプの選手をワイドに配置する形に近く、彼らと2トップがインサイドを取ることで、ビルドアップの際に中央の受け手を増やしている。

 最終ラインから組み立てる際は、 MFアレクシス・マカリステルをはじめ、中盤の誰かが最終ラインに下りる。両CBやCBとSBの間に顔を出しながら、相手のプレスに対して数的優位を作るケースが多い。

 例えば、2分のプレス回避の場面では、マカリステルがCBの間に落ちてボール出しをサポートした。

 オーストリアのハイプレスを最終ラインで引きつけ、右SBのナウエル・モリーナからサポートに来た左サイドハーフのアルマダに斜めのボールが入ると、メッシとの中央のパス交換でオーストリア代表のプレスを完全にひっくり返す。そのまま左サイドへと展開し、疑似カウンターのような形で敵陣へと入っていった。

 3分にPKを獲得した場面も同じような形で前進を図っていた。

 今度は右サイドハーフのデ・ポールが最終ラインの真ん中に下りて数的優位を作ると、右SBモリーナが前を向いてボールを運び、一気に相手陣内へ侵入する。モリーナ、エンソ・フェルナンデス、メッシと細かく中央右寄りでテンポ良くパスを繋ぐことで相手を密集させてからフリーの左サイドへと展開し、最後はボックス内で倒されたラウタロ・マルティネスがPKを誘った。

 このような立て続けのプレス回避でオーストリア代表は、ハイプレスに出るのが難しくなった。

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