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元Jリーガーが分析。スウェーデン代表目線の「日本代表戦のリアル」とは。森保Jを攻略できなかったわけ【田中裕介のMatch dive】

シリーズ:田中裕介のMatch dive text by 田中裕介 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

日本代表の上田綺世
日本代表対スウェーデン代表【写真:田中伸弥】



 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)・グループリーグF第3節で、スウェーデン代表は日本代表に1-1で引き分けた。かつて横浜F・マリノスや川崎フロンターレで活躍し、現在は解説者としても活躍する元Jリーガー、田中裕介氏に、スウェーデン目線からこの一戦の戦術的攻防をMatch dive(深層分析)してもらう。(文:田中裕介)[1/2ページ]

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強力3トップで挑んだスウェーデン

スウェーデン代表 アレクサンデル・イサク、ヴィクトル・ギェケレシュ
イサクとギョケレシュ【写真:Getty Images】



 オランダ戦の敗戦を踏まえ、スウェーデン代表はシステム[5-2-3]で日本代表戦に臨んだ。

 先発メンバーと配置は以下の通り。

 GKはゼッテルストレーム。DFは左からグドムンドソン、ヒエン、ラーゲルヒエルケの3バック。MFは中盤センターにリンデロフとアヤリの2ボランチ。左ウイングバック(WB)にストラウド、右WBにベルナーションを配置した。

 前線は左ウイング(WG)にイサク、右WGにエランガ、中央のトップにギェケレシュを配した形である。

 注目は、第2戦オランダ戦の後半に途中出場から得点を挙げたエランガのスタメン起用だ。

 イサク、ギェケレシュ、エランガという破壊力抜群の3枚を前線に並べ、彼らの「個の力」で日本の守備陣をこじ開けにいく。非常に攻撃的かつ明確な意思表示を込めたスタート配置となった。

封じられたチームの心臓

スウェーデン代表のヤシン・アヤリ
ヤシン・アヤリ【写真:Getty Images】



 スウェーデンの守備は、[5-2-3]のミドルブロックで構えるリトリートがベースだった。

 そこから機を見てハイプレスを仕掛け、高い位置でのボール奪取からショートカウンターを狙う設計だった。

 9分、スウェーデンは狙い通りの形を作る。

 自陣で奪ったボールをセンターサークル付近で受けた右WGのエランガが、自慢の俊足を生かして一気にスピードアップ。カウンターのビッグチャンスを迎えかけたが、ここは日本のボランチ田中碧にファウルで止められてしまう。

 スウェーデンとしては、前線のスピードを未然に警戒された格好となった。

 ここから、日本の徹底されたスウェーデン対策に苦しめられることとなる。

 日本は1トップの上田綺世、シャドーの前田大然と堂安律が、スウェーデンのDFラインの背後を狙って執拗にランニングを繰り返してきた。

 対人や高さに強みを持つ一方で、決して機動力に優れているとは言えないスウェーデンの3バックに対し、日本は足元ではなく「縦に早く、ダイレクトに背後を突く」攻撃を選択。これによりスウェーデンDFラインは常に後ろ向きでの対応を強いられた。

 さらに日本は、右WBの菅原由勢にボールが渡ると、シンプルかつ早いタイミングでクロスを供給してきた。

 これは、第2戦のオランダ戦で露呈してしまったスウェーデンの「クロス対応の稚拙さ」や「DFラインの戻るスピードの遅さ」を的確に突いたスカウティングによるものだったように思う。

 また攻撃面においては、チームの「心臓」であるアヤリを封じ込められた。

 この日、これまで3バックの左を務めていたリンデロフをボランチへ上げる変更を行ったが、攻撃において中盤での振る舞いやポジショニングに慣れていないリンデロフの対応により、コンビを組むアヤリへの負担が増大した。

 日本はアヤリの自由を奪うために田中碧と鎌田大地の両ボランチが鋭くチェイシングを仕掛け、さらにシャドーの堂安、前田も猛烈なプレスバックで連動してきた。

 四方を日本の選手に強く監視されたことで、アヤリからの効果的な配球は完全に遮断されてしまった。

 特に田中碧のボディコンタクトは絶妙で、この中央での主導権争いでアヤリが優位に立てないことはスウェーデンの前進において非常に痛かったはずだ。

押し下げられた守備ブロック

スウェーデン戦で問題になった、日本代表 中村敬斗のソックス
チャンスを作った中村敬斗【写真:Getty Images】



 前半のハイドレーションブレイクを挟んだ後、日本はさらに手数をかけずにシンプルにロングボールで背後を狙う姿勢を強めてくる。

 31分、スウェーデンはトランジション(攻守の切り替え)の局面で日本に上回られてしまう。

 日本陣地でボールを失うと、素早く左サイドに流れた上田へと展開される。スピードに乗った上田のドリブルに対し、CBヒエンがたまらずファウルで止めるのが精一杯だった。

 さらに36分、スウェーデンをアクシデントが襲う。

 DF陣の要であったCBヒエンが負傷によりピッチを退くこととなった。スウェーデンベンチはボランチのリンデロフを本来のDFラインへと下げ、急遽ベリヴァルを中盤の底に投入するスクランブル対応を余儀なくされる。

 直後の37分、スウェーデンは攻撃で見せる。

 右ストッパーのラーゲルヒエルケから、内側の高い位置を取っていた右WBのベルナーションへ見事な縦パスが通る。

 ベルナーションはここで日本の鎌田と伊藤洋輝のプレスを鮮やかに交わし、ゴール前へクロスを供給。決定機を演出しかけたが、ここも日本のボランチ田中碧の凄まじい危機察知能力と猛スピードのプレスバックに阻まれ、シュートまで持ち込むことができなかった。

 前半の中盤以降、日本の徹底した背後へのランニングに引っ張られた結果、スウェーデンのDFラインは後ろへ下がる意識が強くなりすぎた。

 これにより、DFラインと中盤の間にスペース、いわゆるバイタルエリアを空けて間延びしてしまう。日本はこの空いたスペースを使ってボールを動かし、スウェーデンはボール保持の主導権を握られてしまった。

 43分には、PA内で日本に細かなパス交換を許し、最後は中村敬斗にフィニッシュまで持ち込まれる。

 スウェーデンの守備ブロック内には人は揃っていたものの、ラインが下がりすぎていたためにボール保持者に対して誰もアタックに行くことができず、簡単にシュートを打たせてしまった。

 前半のスウェーデンは、自慢の3トップにまともな形でボールを届けるビルドアップの形を作れず、単発のロングボールを放り込むだけの攻撃に終始した。

 日本の中盤の素早い切り替えと機動力にボールを回収され、怖さを与えることができなかった。

 結局、前半を通じて放ったシュートはわずか2本。ボール保持の主導権を日本に握られたまま最初の45分を終えることとなった。

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