日本代表はスウェーデン代表と1-1で引き分け、グループステージ突破を決めた。しかし、後半の流れは決して日本の思い通りではなかった。スウェーデンはシステムを3-1-4-2へ変更して試合の主導権を握り返し、日本は終盤、自陣に押し込まれる展開を強いられる。何が流れを変えたのか。森保一監督の交代策の意図とともに、ブラジル戦へ向けて浮かび上がった課題を戦術的に読み解く。(文:宮下白斗)[1/2ページ]
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崩れたミラーゲーム
日本対スウェーデンは睨み合いの様相を呈した。
引き分けで両国がグループを突破できることもあり、互いにリスクを抑え相手の出方を伺っていた。
しかし56分、試合の均衡が崩れる。
日本は堂安律と上田綺世のワンツーで右サイドから内側へ侵入し、裏抜けで斜めのスルーパスを引き出した前田大然のゴールで先制する。この得点がターニングポイントとなって、試合のダイナミズムは大きく変化した。
スウェーデンは攻撃時の配置を3-4-3から3-1-4-2へ変更し、主審にソックスの履き替えを指示された中村敬斗が一時的にフィールドを離れざるを得なくなったのだ。
まず、失点を喫するまでスウェーデンは3-4-3で攻撃しており、5-2-3(5-4-1)で守る日本とのミラーゲームとなっていた。
日本としては、各選手の目の前に相手選手がいるため、スウェーデンのビルドアップに対してプレッシャーをかけやすい。
しかし、ビハインドを負ったスウェーデンがボランチを一枚削り、2人のシャドー・2人のトップに変更したことでミラーゲームではなくなり、両者の陣形にズレが生まれた。
特に影響したのは、当初左のボランチとしてプレーしていたアヤリが一列ポジションを上げたことだ。
日本の守備にズレが生まれたわけ
失点後、スウェーデンは3-1-4-2に変更。日本の守備にズレが生まれた。
システム変更まで田中碧とアヤリは対面していたが、田中の右斜め後ろにアヤリが位置するため、田中がそちらへ引っ張られる。
田中がついて行って下がらなければアヤリに縦パスを通され、下がれば今度は中央にギャップが生まれてしまい、トップのイサクやギェケレシュに受けられてしまう。
つまり、日本にとっては板挟みの状況となった。
それに中村の一時離脱によって10人となったことが重なる。
10人の時間帯に失点を喫することはなかったものの、中村がおらず手薄となった左サイドから押し込んだことを機に、スウェーデンは二つのセットプレー、スローインとフリーキックを獲得した。
そして二つ目のセットプレーの流れで再び日本陣内でボールを保持し、最終的にはエランガの利き足ではない左足によるシュートで同点に追いつく。
中村に対する主審の指示が日本に不運に働いたことは言うまでもない。ただ、敵将ポッターのシステム変更により試合の流れが変わったことも確かだ。
同点後もスウェーデンは攻勢をかけ、日本は対応を強いられることとなった。
森保一監督の交代策
展開の変化を受けて日本ベンチは、67分に上田、堂安に替えて小川、伊東純也を投入する。続く75分には瀬古、中村を下げて渡辺、長友を投入した。
起用された選手のキャラクターを考えると、1-1のまま試合が終われば2位突破が決まる状況だったとはいえ、これらの選手交代は守備的に映る。
森保監督はどんな狙いを持っていたのだろうか。
対人守備でエランガを抑えることの他に、ピッチ上にリーダー役の選手を増やすこと、出場機会を与えることでチーム全体のムードを高めることなどの意図が、長友投入にはあったように見える。
一方で、渡辺の投入には「決勝トーナメントに向けた逃げ切り策のテスト」の意味合いもあったのではないだろうか。
例えばラウンド32のブラジル戦で堂安を右WBで、冨安健洋を右CBでスタートさせ、リードした状態で試合終盤を迎えた場合を想定する。
堂安に代えてベンチから本職CBの渡辺を送り込み、冨安を右WBにスライドさせて守りを固める。
このようなプランが森保監督の頭の中にはあったようにうかがえる。
ブラジルのヴィニシウス・ジュニオールを筆頭とする優れたドリブラーへの対策として。
あるいはハーランドを擁するノルウェーのような長身選手が揃う相手へのクロス対策として。
こうした逃げ切り策が用いられる可能性は十分に考えられるからだ。
トップに小川、右シャドーにスピードのある伊東を起用していることからは、相手の攻撃に対応しつつもカウンターを狙う意図も見えた。
守備的な選手を増やして守りを強化しつつ、前線にはスピードのある選手を送り込み、相手の狙いを消しながら防戦一方の展開にはならないようにする。
決勝トーナメントでも、このような選手交代は計画されるだろう。



