
サッカー日本代表GK鈴木彩艶【写真:田中伸弥】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)で世界に実力を示した日本代表GK鈴木彩艶に、プレミアリーグ挑戦のチャンスが訪れた。しかし、リーズ・ユナイテッドからのオファーを断ったという報道が大きな話題を呼んでいる。プレミアリーグへの憧れを公言してきた23歳は、なぜ「ノー」を突きつけたのか。その答えは、世界一を目指すキャリアプランのなかにあった。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
大きな注目を集めたイタリア人ジャーナリストの投稿

パルマGK鈴木彩艶【写真:Getty Images】
ヨーロッパの移籍市場に精通するイタリア人ジャーナリスト、ニコロ・シラ氏が日本時間7日未明に自身のXへ投稿した日本人選手に関する情報が、図らずも大きな注目を集めた。
FIFAワールドカップ2026(W杯北中米大会)でのプレーが注目を集め、ステップアップが確実視されている日本代表の守護神、鈴木彩艶の動向について、シラ氏は「独占」と銘打って次のように伝えた。
<パルマのゴールキーパー、ザイオン・スズキがこの数時間にうちにリーズのオファーに断りを入れた>
シラ氏はブラジル戦直前の6月下旬にも、同じく「独占」として彩艶を巡る動きを投稿していた。
<リーズはザイオン・スズキの獲得を目指していて、パルマへの正式なオファーを準備している。
パルマはザイオンの売却へ3000万ユーロ(約55億7000万円)の違約金を設定しているが、リーズは2031年までの5年契約を用意している。一方でアストン・ヴィラもザイオンへ関心を示している>
日本だけでなく世界も注目した一戦。彩艶が再三にわたって好セーブを演じるも、日本は後半終了間際に許した逆転ゴールで、想定よりもはるかに早いラウンド32で無念の敗退を喫した。
そしてチームとともに2日に帰国した彩艶は数日の間に、リーズ移籍へ断りを入れたわけだ。
プレミアリーグのクラブへの移籍に、彩艶が断りを入れるのは今回が2度目になる。
「一歩ずつステップアップしていくのが…」

浦和レッズ時代の鈴木彩艶と西川周作【写真:Getty Images】
最初は2023年8月。名門マンチェスター・ユナイテッドから届いた完全移籍のオファーに、浦和レッズのセカンドキーパーだった彩艶は熟慮を重ねた末に首を横に振っている。当時の彩艶はこう語っている。
「今回の決断を下すまでにサッカー選手としても、一人の人間としても本当に迷いました。
何も考えなければマンチェスター・ユナイテッドに行きたいと思いましたが、移籍した先にどのような未来が待っているのかを時間をかけて考えた結果、一歩ずつステップアップしていくのが大事だと判断しました」
ユナイテッドからセカンドキーパーとして白羽の矢を立てられたオファーの内容が彩艶を逡巡させた。
浦和で西川周作の壁を越えられなかった彩艶は出場機会を求めて、小学生時代から心技体を磨き、16歳だった2019年2月にはユースに所属したままプロ契約を結んだ浦和を退団する意思を固めていた。
「マンチェスター・ユナイテッドで試合に出られるレベルにあるのかどうかを考えたときに、日本で試合に出られていない自分ではなかなか難しいと思い、着実にステップアップしていきたいと判断しました」
ユナイテッドへ断りを入れた理由をこう明かした彩艶は、完全移籍ではなく期限付き移籍でのオファーを出してきたベルギーのシントトロイデンを新天地に決めた理由にも言及していた。
「自分の夢を考えたときに…」

試合後アリソンに声をかけられた鈴木彩艶【写真:Getty Images】
「とにかくいまの自分は試合に出るのが、さらにヨーロッパの舞台でプレーするのも大事でした。
ヨーロッパの舞台で活躍していけば、必ず他のクラブの目にも留まると思っています。自分の夢を考えたときに、ベルギーリーグでプレーするのが現段階ではベストだと思って決めました」
シントトロイデンですぐに守護神を拝命した彩艶は、2023/24シーズンの終盤に完全移籍へと移行。言葉通りに2024年7月にはヨーロッパの5大リーグのひとつ、セリエAのパルマの一員になった。
昇格組のパルマを、2年続けてセリエAに昇格させた立役者の一人が彩艶だと周囲も認めていた。
帰国後にテレビ朝日系『報道ステーション』で松岡修造氏のインタビューを受けた彩艶は、ローマでプレーした経験をもつブラジルの守護神アリソンから、試合前にこんな声をかけられたと明かしている。
「試合前のウォーミングアップが終わったタイミングでしたけど、イタリア語で『君のプレーを見ていたよ。(パルマで)いいシーズンを送っていたね』という言葉をもらいました」
一方で彩艶自身が言及した「自分の夢」という言葉も頭をもたげてくる。