
北中米W杯で決勝トーナメント進出を果たせなかった韓国代表【写真:Getty Images】
2026 FIFAワールドカップ(北中米W杯)におけるアジア勢9か国は3勝9分17敗。全チームがラウンド32で敗退した。出場枠拡大の恩恵は限定的で、欧州勢との差は依然として歴然。「アジア枠は多すぎる」との声もあるが、ジャンニ・インファンティーノ会長は64か国への拡大すら視野に入れ、来年の会長選も揺るがない支持基盤を固めている。(文:佐藤徳和)[1/3ページ]
“最高成績”でもベスト32

ラウンド32でブラジルに屈した日本代表【写真:Getty Images】
3勝9分17敗。FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)のアジア勢(AFC加盟国)の通算成績である。ラウンド32でアジア勢9か国が全滅した。
グループステージで称賛を受けた日本代表も、“史上最弱”と揶揄されたブラジルの前に屈し、結局、3試合で12失点を喫したチュニジアを相手に勝利を収めるに留まった。
残る2勝は韓国とオーストラリア。前者はチェコ、後者はトルコからそれぞれ白星を挙げたが、決勝トーナメントに駒を進めたのは日本とオーストラリアだけだった。
グループBのカタールは1分け2敗の4位、グループGのイランは3分けの3位、グループHのサウジアラビアは2分け1敗の4位、グループIのイラクとグループJのヨルダン、グループKのウズベキスタンは全敗で最下位に終わった。
出場国がこれまでの32か国から48か国に増えたことで、アジア枠は前大会の6か国(開催国のカタールと大陸間プレーオフ勝ち抜けのオーストラリアを含む)から9か国(大陸間プレーオフ勝ち抜けのイラクを含む)に増えたものの、最高成績でもベスト32敗退というネガティブなインパクトしか出せなかった。
高い組織力を擁した日本も称賛されたが、尽瘁して戦い、多くの感動を呼んだカーボベルデの影に次第に隠れていった。
いまだ“弱小大陸”と評されても…

決勝トーナメントに進めたのは日本とオーストラリアのみ【写真:Getty Images】
ベスト16に7チームが進出したヨーロッパ勢との対戦成績は、2勝4分6敗。その2勝は、欧州プレーオフを勝ち抜いて辛くも本大会出場を決めたチェコとトルコから、韓国とオーストラリアが挙げた白星だった。
日本もグループステージで、初戦のオランダ、第3戦のスウェーデンの欧州勢と対戦したがいずれも引き分けた。しかし、その両国も決勝トーナメント1回戦で敗退。結果として日本は今大会で、ベスト8に進出した国とは一度も対戦しなかった。
3試合すべてを引き分けたイランについては、アメリカ合衆国による滞在制限を受けることなく、他国と同じ条件下で戦うことができていれば、結果は変わっていたかもしれない。過酷な条件を強いられた彼らには、同情の余地があるだろう。
日本代表がW杯に初出場した1998年を起点とすれば、日本に限っては世界トップレベルとの差は、この28年間で縮まったのかもしれない。しかし、アジア全体に目を向ければ、依然としてその差は歴然としている。
アジア以外の大陸から見れば、いまだ“弱小大陸”と評されても反論は難しい。少なくとも、欧州勢の優位性は今なお揺らいでいない。
アジアには、日本のような長期的な育成プロジェクトが必要である。だが、とりわけアラブ諸国では、巨額の資金を投じながらも、キャリアの晩年を迎えた外国人選手の獲得に終始する傾向が依然として見られる。
2010年代にクラブ強化へ莫大な資金を投じた中国も、現在では世界の舞台で存在感を失い、なおアジア中堅国の域を脱していない。
凋落と停滞のアジアサッカー

ACL2の決勝でガンバ大阪に敗れたアル・ナスル【写真:Getty Images】
サウジアラビアを筆頭に、カタール、イラク、ヨルダンといったアラブ諸国がグループステージでそろって最下位に終わった事実は、育成や強化の成果が十分に実を結んでいないことを物語っている。
5月16日には、サウジアラビアのリヤドで開催されたAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)決勝で、ガンバ大阪がクリスティアーノ・ロナウド、サディオ・マネ、ジョアン・フェリックスらを擁するアル・ナスルを1-0で破って優勝した。
アル・ナスルは2025年のAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)準決勝でも川崎フロンターレに敗れており、日本勢に2シーズン連続で屈している。スター選手を集めるだけでは競争力の向上につながらないことが実証されている。
そして、“アジアの虎”韓国の凋落も見過ごせない。2018年大会ではグループステージ敗退に終わったものの、最終戦でドイツを撃破。2022年大会ではポルトガルを破ってベスト16進出を果たした。
しかし、今大会では、グループステージで敗退。指揮を執ったホン・ミョンボには激しいバッシングが浴びせられているが、問題は監督交代だけで解決できるものではない。韓国サッカーは育成や協会運営など、構造的な課題を抱えていることが改めて浮き彫りになっている。短期間で解決できる問題ではなく、その根は深い。
『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』のベテラン記者、ファビオ・リーカリ氏は、ヨーロッパ枠を増やし、アジア枠を少なくすべきだと訴える一人だ。