
見取り図・盛山晋太郎【写真:Getty Images】
「大音量の君が代を聞いたとき、ぶわっと涙が出てきました」。ほぼ毎週仲間の芸人たちと草サッカーに興じているサッカー大好き芸人・見取り図の盛山晋太郎は、FIFAワールドカップ2026の日本代表対チュニジア代表を、メキシコ・モンテレイで現地観戦した。海外開催のW杯を生で見るのは今回が初めて。しかも、アメリカでの仕事の合間を縫った0泊の弾丸日程だった。4得点の快勝、現地で感じた日本人気、街を包んだ“フェス感”。盛山が初めて体感した「世界の祭典」の魅力とは何だったのか。(取材・文:内藤秀明)
0泊弾丸でメキシコへ。初の海外W杯で感じた“フェス感”

モンテレイで行われていたファンファンフェスティバル【写真:Getty Images】
厳密にいうと、盛山晋太郎は2002年の日韓ワールドカップで、セネガル代表対トルコ代表を長居スタジアムで観戦している。ただ当時はまだ16歳で、しかも海外で開催されるワールドカップを現地で観るのは今回が初めてだったという。
率直に感想を尋ねると、「すごいことでしたね。アメージングでしたよ、本当に。雰囲気がすごかったです。マジで」
強く印象に残ったのは、スタジアム内外の「フェス感」だった。
「演出もそうですし、ボン・ジョヴィの曲が爆音で流れて、みんなで大合唱していました。あれはサッカーが好きじゃない人でも楽しめるんちゃうかなと思います。スタジアムだけじゃなく、街全体がお祭りになっていました」
今大会はアメリカ、カナダ、メキシコの三カ国の共催で、国や都市によっては、お祭り感がない場所もあったとも現地観戦したファンから聞くが、モンテレイは違ったらしい。
実際、ヌエボ・レオン州政府の発表によると、モンテレイのファンフェスティバルには大会期間中、累計250万人が来場したそうだ。
「メキシコで姫扱い」街とスタジアムに広がった日本人気

日本代表のユニフォームを着たメキシコ人【写真:Getty Images】
また盛山を驚かせたのが、日本に対する現地の人々の反応だった。
「思っていた以上に親日でした。『ハポン、ハポン』と声をかけてくれるんです。僕はスタジアムで、ビールを3杯、タコスを2個も奢ってもらいました。メキシコで姫扱いされましたね」
日本代表のユニフォームを着ていると、空港やバスでも声をかけられたという。
「『日本が大好きだよ』と言ってくれるんです。あとは『キャプテン翼』『NARUTO』『ドラゴンボール』など、知っている日本のサッカーやアニメの名前を、とにかくたくさん挙げてくれました。ほんまに親日やなと思いましたね」
スタジアムには、日の丸をマントのように羽織り、必勝鉢巻きを巻いた現地のサポーターもいた。
「フランスワールドカップの日本代表ユニフォームまで着ている人がいたんです。ゴリゴリの日本人サポーターやと思って、よう見たらメキシコ人でした」
盛山の目にも、スタジアムの外や通路、飲食物の売り場で、日本を応援する声が届いていた。
「最初は『ハポン』でしたけど、『ニッポン』のほうが言いやすかったんでしょうね。だんだん『ニッポン』と声を上げるようになっていました。楽しかったです」
大音量の君が代に「ぶわっと涙が出てきた」

国家を歌う日本代表【写真:Getty Images】
日本がチュニジアを4-0で破った一戦は、ワールドカップ通算1000試合目だった。開始4分に鎌田大地が先制点を決め、上田綺世が2得点、伊東純也もゴールを記録。4得点は、日本のワールドカップにおける1試合最多記録となった。
「ワールドカップは3、4試合を観ても、合計4得点を見られないことだってありますからね。それを1試合で見られました。どんなゴールでもええから見たいと思っていましたけど、4得点ですから。すごくいい経験をさせてもらいました」
最も印象に残ったのは、早い時間に決まった鎌田の先制点だった。
「やっぱり1点目ちゃうかな。鎌田選手のゴールです。早い時間に決まったので、あれでスタジアムのボルテージがマックスになりました。あまりにもみんなが日本コールをしていたので、ほんまに国立競技場にいるのかと思いました」
試合前には、大きな日の丸を使った演出も行われた。そして、盛山の感情を大きく動かしたのが、異国のスタジアムで聞いた君が代だった。
「大音量の君が代を聞いたとき、ぶわっと涙が出てきました。自分でもびっくりしましたね」
「日本人としての誇りもそうですし、『この人たちは、ほんまに国を背負って戦うんだ』ということが、ひしひしと伝わってきました。日本人としての潜在的な血がたぎるというか、グツグツした感覚がありました。泣いていたのは僕だけじゃないと思います」
サッカーの戦術や選手を詳しく知らなくても、国歌が流れ、ゴールが決まり、周囲の人々と同じチームを応援することで生まれる感情がある。盛山にとっては、スタジアムで君が代を聞いた瞬間が、その象徴だった。
「僕はただのサポーターです。それでもこれだけ感情が動くんですから、チームを率いる森保監督にとっては、とんでもない思いなんやろうなと思います」