
イタリア代表監督 ロベルト・マンチーニ【写真:Getty Images】
イタリア代表の再建を託されたのは、かつてその座を突然去ったロベルト・マンチーニだった。2023年8月の辞任から1081日。欧州選手権制覇の英雄でありながら、サウジアラビア代表への転身によって多くの国民の信頼を失った指揮官の復帰に、現地紙のオンライン調査では84.9%が反対した。それでも、イタリア・サッカー連盟はなぜマンチーニを呼び戻したのか。会長との関係、ファビオ・カペッロの批判、選手たちの支持をたどりながら、“帰還”の背景と代表再建の行方を読み解く。(文:佐藤徳和) [1/3ページ]
1081日ぶり2度目の代表監督就任

イタリア代表の監督に就任したロベルト・マンチーニ【写真:Getty Images】
イタリア・サッカー連盟(FIGC)は7月28日、ロベルト・マンチーニが代表監督に就任したことを正式に発表した。1081日ぶりの復帰で、2度目の代表監督就任である。契約期間は2030年までで、年俸は200万ユーロ(税抜き)と報じられている。
また、在任期間がわずか16日で終わったパオロ・マルディーニ前テクニカルディレクターの後任には、クラウディオ・ラニエーリの就任が発表された。
マンチーニが初めてイタリア代表監督に就任したのは、2018年5月14日のことだ。FIFAワールドカップ2018(ロシア大会)の本大会出場を逃したジャン・ピエロ・ヴェントゥーラの後任として、イタリア代表を率いることとなった。
代表監督就任前、マンチーニはインテルでスクデットを3度獲得していた。マンチェスター・シティでは、2011/12シーズンに1967/68シーズン以来となるクラブ史上3度目のリーグ制覇を成し遂げ、現在のシティの成功につながる礎を築いた。それゆえ、国民から多くの支持を集め、歓迎された。
「誠実な代表監督でありたい」… アッズーリを愛する者たちへの裏切り

イタリア代表監督の座を一度離れたロベルト・マンチーニ【写真:Getty Images】
最初の就任会見では、「私は誠実な代表監督でありたい。そして、イタリアを再び世界とヨーロッパの頂点へ導きたい」と語った。
また、「イタリア代表を指導することは、誰にとっても誇りとなるものだ。私にとっても、今こそ引き受けるべき時だと思った。現状は厳しく、やるべきことは山ほどある。それでも、今こそこの仕事に挑戦する時だと考えた」と意欲を示した。
マンチーニはさらに「難しい挑戦になるだろう。しかし、素晴らしい挑戦でもある。人生に簡単なことなど何一つない。イタリア代表でタイトルを獲得し、すべてのサポーターを満足させるのは容易ではない。それでも、我々には国を一つにする力がある」と決意を述べた。
就任4年目には、イタリア代表を53年ぶりとなる欧州の頂点へ導き、FIFAワールドカップ2018出場を逃した国民の悔しさや無念を晴らした。
だが、FIFAワールドカップ(カタール大会)2022の出場権を逃し、再び大きな落胆を与えた。そして、最も国民を失望させたのは、アッズーリを愛する者たちへの裏切りだった。
イタリア代表監督を突如辞任し、その約2週間後、年俸2500万ユーロとも報じられたオファーを受け、サウジアラビア代表監督に就任した。イタリア代表を“見捨てた”。
それは今から約3年前、2023年8月12日のことだった。「誠実な代表監督でありたい」と自ら語った言葉が、守られることはなかった。
3年前の辞任を自ら謝罪… 失われた信頼を取り戻せるか

イタリアサッカー連盟の会長を務めるジョヴァンニ・マラゴー氏【写真:Getty Images】
それゆえ、今回の2度目の代表監督就任は、逆風の中での船出となった。7月29日、FIGC本部があるローマで就任会見が行われ、ジョヴァンニ・マラゴー会長が挨拶を述べた。
その6日前には、FIGCのテクニカルディレクターおよびクラブ・イタリア会長に任命されたパオロ・マルディーニ、そしてアドバイザーに就任したレオナルドの就任会見を取り仕切ったばかりだった。
マラゴーの挨拶に続き、マンチーニは記者から質問を受ける前に、自ら3年前の辞任について語り始めた。
「まず、同じ質問を避けるために、多くの人が気にしている3年前の出来事について、私から説明したい。あの時は、私と(ガブリエーレ・)グラヴィーナ会長の間で意思疎通に問題があった。もっと早く、もっと率直に話し合っていれば、おそらく解決できていただろう」と話し、グラヴィーナ前会長との確執について、後悔の念を述べた。
また、「あの一件については本当に申し訳なく思っている。私にとってイタリア代表のユニフォームは、いつだって特別な存在だった。あの時の気持ちは、人生で愛する女性を失ったようなものだった。それは、自分が過ちを犯し、それまで築いてきたすべてが無意味になってしまったことを意味している」と続けた。
マンチーニは、3年前に代表監督を辞任した際の行動について、記者から質問される前に自ら謝罪することから会見を始めた。ただし、当時なぜ辞任を決断したのかについて、具体的な説明はなかった。
「マラゴー会長のおかげで、運命が私にもう一度チャンスを与えてくれた。だから今、私はここにいる。失われた信頼を取り戻し、イタリアを本来あるべき場所へと戻すためだ」と決意を語った。
会場では一部の記者から拍手が起きたが、それは8年前の最初の会見と比べると、まばらで短いものだった。