V・ファーレン長崎の洪怜鎭【写真:Getty Images】
V・ファーレン長崎は8月15日、2026/27明治安田J1リーグ第2節でファジアーノ岡山とのアウェイゲームに挑んだ。開幕戦で勝利した勢いを持続したかったものの、主導権を握られる時間が長く、1-0で敗れた。わずか3本のシュートに抑えられ、多くの課題が見つかったこの試合で、数少ない明るい話題が大卒ルーキー・洪怜鎭がJリーグデビューを飾ったことだ。百年構想リーグではコンディションが整わない時期が長く続き、苦しい時期を過ごした若武者がついにベールを脱いだ。(取材・文:椎葉洋平)
【2026/27明治安田J1リーグ第2節】
2026年8月15日 ファジアーノ岡山 1-0 V・ファーレン長崎
(JFE晴れの国スタジアム)
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ついに訪れたJリーグデビュー。洪怜鎭が見せた冷静な対応
V・ファーレン長崎は序盤こそ岩崎悠人を起点にカウンターをみせたものの、前半からファジアーノ岡山に主導権を握られ続けた。
54分には、前線で起点となり続けたルカオに先制点を奪われた。その後、徐々にボールを持てるようにはなったものの、タイトなマークを続ける岡山の前に効果的な攻撃は限定的。洪怜鎭がピッチに立った81分、チームは苦境にあった。
「なんか今日(監督から)呼ばれる気がしていた。シャドーは初めてだったので、そこはちょっと不安要素がありましたけど、ただ(岩崎)悠人くんのプレーとかを見ていました。同じプレーは求められていないと思うので、自分の色を出しつつも、チームで徹底しなきゃいけないことはしっかりこなそうというふうに入りました」
ついに訪れた公式戦に対し、洪の頭は意外なほど冷静だった。あらかじめ、明治安田J1百年構想リーグプレーオフラウンドで先にデビューを飾った同期に相談し、助言をもらっていたことが活きた。
「(鍋島)暖歩に『ベンチに入ったとき、どうだった?』と聞いていました。『あんまり気負い過ぎないほうがいいよ、若手だからもう何やってもいいぐらいの思いでやってこいよ』と言ってもらえて。当日になって(ようやく)実感が湧いたという感じですね。それまでは全然何も。リラックスして過ごせました」
左シャドーの位置に入ると、コンパクトなブロックを築く岡山の守備のわずかな隙間を突くべく、積極的にボールに関わっていった。
「架け橋的な存在」に。FW洪怜鎭が持つプレーの幅

Jリーグデビューを果たしたV・ファーレン長崎の洪怜鎭【写真:Getty Images】
「背後を狙うという意識はあったんですけど、(岡山が)ブロックを引いていたので、どちらかというと自分が受けて、リズムを作ったりとか、ビルドアップから少しずつ前進みたいなところの架け橋的な存在があんまりいなかったので、その役割は担えたかなという感じです」
最後に「ただ、フィニッシュの部分までをもっとこだわっていきたいです」と付け足すあたりにストライカーとしての意地が垣間見えたが、チームの状況に応じたプレーを判断できる部分は強みだろう。
監督がベンチに置く選手を選ぶ場合、枠が限られているため、1つのポジション・役割だけでなく、さまざまな事柄をこなせる選手は重宝される。
「これが武器というのか(わからないけれど)、いろんなことができるので。ストライカーでもあり、時には流れを作る選手でもありというのは自分の中の特徴ではある。あとはスピードもあるので、そこは存分に発揮していきたいです」
約10分間のプレーで何度かボールを受け、試行錯誤しながら得点を目指した。しかし、残念ながら同点ゴール、さらには逆転ゴールは生まれず。結果にはつながらず、チームが敗れただけに、試合後にはデビューという喜び以上に悔しさが残った。
「悔しさのほうが全然ありますし、満足感はまったくないですね。チームの結果が出ていないので。チームのためにやらなきゃいけないので、満足感はないですね」
この日の長崎は交代枠をすべて使ったものの、明確に流れを変えるには至らなかった。だが、攻撃的な位置で起用された途中出場の選手にはそういう役割こそが求められる。
「絶対必要なのは若手の突き上げ」。V・ファーレン長崎の未来を担う存在へ

Jリーグデビュー戦は白星とはならず、洪怜鎭(写真左から3番目)は「満足感はない」と話す。ルーキーらしからぬギラギラ感でチームを突き上げる存在になれるか【写真:Getty Images】
「まずは途中から出る機会のほうが多いと思うので、そうなったときに必ず流れを変えられる選手にならなきゃならないというふうに思っています。
たぶん、(長崎は)平均年齢的にも少し高いので、若手が練習からギラギラしている姿をもっと見せていきたい。もちろん、J1で僕たちはACLを狙っているので、本当に残留とか、そういうのは考えていないので、若手がやるだけですね」
この日、記念すべきJリーグデビューを飾ったばかりのルーキーとは思えないほど、洪からは普段の練習からギラつきが感じられる。
そこにあるのは自身の成長だけでなく、チームの成長のために、という思いだ。自分自身と同様に百年構想リーグ前に加わった同期たちの名前を挙げながら、今後の展望を述べた。
「今のV・ファーレンに絶対必要なのは若手の突き上げだと思うので、僕を筆頭にもっともっと自信を持って試合に出ていきたい。ただ出るのではなくて、結果的に数字だったりというのは残していかなきゃダメだと思います。
(そうでなければ)V・ファーレンの未来にもつながらないと思います。きょうは(鍋島)暖歩はいないですけど、(この日同じくベンチに入ったノ・)ヒョンジュンとか、僕とかが、もっともっと突き上げて活躍できるように頑張っていきます」
高卒や大卒で入団したルーキーが徐々に出場機会を得て主力となり、それを繰り返すことで有望な若手がそのクラブを選ぶようになる。そんな好循環の一端を担う存在になるためにも、洪は活躍を誓う。この日感じた悔しさも、今後へのきっかけとなる。
(取材・文:椎葉洋平)
【著者プロフィール:椎葉洋平】
1989年生まれ、福岡県出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』のV・ファーレン長崎担当。クラブのMDP(マッチデープログラム)なども担当している。介護士として7年、営業職として1年半務めたのちフリーランスのライターとして独立した遅咲き。Xのアカウントは@yoheishiiba
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