トッテナムが、マンチェスター・シティ所属のブラジル代表FWサヴィーニョの獲得でクラブ間合意に達した。米スポーツメディア『ジ・アスレチック』のデイビッド・オーンスタイン記者が21日、総額は最大8500万ポンド(約170億円)になると報じている。
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必要な補強だが、高すぎる移籍金
オーンスタイン記者によると、内訳は固定額7500万ポンド(約150億円)に、最大1000万ポンド(約20億円)のボーナス。ボーナスのうち半分は達成しやすい条件だという。
そもそも現在のトッテナムは、ウイングを含む2列目の負傷離脱に悩まされている。イングランド代表MFジェームズ・マディソンは練習に復帰したものの出場時間を管理されている段階で、ガーナ代表FWモハメド・クドゥスは1月から公式戦に出ておらず、スウェーデン代表MFデヤン・クルセフスキは依然として長期離脱中だと伝えられている。左右どちらでも仕掛けられる22歳のサヴィーニョを今すぐ獲得する必要性は、誰の目にも明らかだ。
ただし、その移籍金は少し高く感じる。昨季のサヴィーニョはシティで控えに回り、リーグ戦では1ゴール2アシストにとどまったからだ。
もちろん、シティとの契約を2031年まで残していること、加入初年度の一昨季はプレミアリーグで10アシストを記録した実績があることは理解している。今夏は市場に出ているトップレベルのウイングそのものが少なく、市場価値も高騰した。補強の緊急性が高いトッテナムが、割高な移籍金を要求されるのは不思議ではない。
それでも、補強の進め方は気になる。サヴィーニョに限った話ではなく、この夏は全体的にそうだ。
その典型例がポルトガル代表MFマテウス・フェルナンデスの獲得だ。遅れて交渉に参戦すると、ウェストハム側の要求額をほぼ受け入れる形となる8500万ポンドで早期決着させたことで話題になった。有望株の獲得が早い者勝ちなのはわかるが、それにしても売り手側の要求を受け入れすぎている印象は拭えない。
そして、現在のフロントへの疑問は、この夏の補強だけから生まれたものではない。
昨冬、当時すでにマディソンとクルセフスキを欠いている状態で、トッテナムはウェールズ代表FWブレナン・ジョンソンを売却した。その後、クドゥスが負傷離脱して2列目が大きく崩れている局面でも、テクニカルディレクターのヨハン・ランゲ氏を含む補強部門はウイングを増員しなかった。
昨季に2度監督を交代するなど、人事面でも迷走は続いた。そうしたここまでのフロントの失敗を思うと、ダニエル・レヴィ前会長時代の倹約路線から一転し、監督の意向を大きく反映させながら高額投資を続ける現在のフロント陣を、どこまで信じていいのだろうか。少なくとも、これまでの交渉を見る限り、交渉力には疑問が残る。
また、この夏のトッテナムの動きには既視感もある。監督が求める顔ぶれを高値でそろえ、その多くが期待に届かなかったマンチェスター・ユナイテッドのエリック・テン・ハフ時代だ。9500万ユーロ(約160億円)を投じたアントニーは、いまだに補強戦略の失敗の象徴として語られている。
もっとも、サヴィーニョまで同じ結末をたどると決めつけるべきではない。移籍金に見合う活躍ができるかはさておき、彼自身が素晴らしい選手であるのは間違いなく、デ・ゼルビのサッカーにもフィットするだろう。昨季あれだけ不調だったトッテナムにとって大型補強そのものは妥当だし、それを喜ぶファンを祝福したい気持ちもある。
ただやはり、ここまでの補強や人事を振り返れば、現在のフロントの進め方にほんの少し疑問が残る。
(文:内藤秀明)
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