
横浜F・マリノスの諏訪間幸成【写真:Getty Images】
横浜F・マリノスのDF諏訪間幸成が、少しずつ自信を取り戻している。8月22日のヴィッセル神戸戦では、3試合連続となる先発出場で無失点勝利に貢献。2025年は思うように出場機会を得られず、苦しい時間を過ごした諏訪間にとって、今季開幕からの3試合は大きな意味を持つ。「勝つことでしか得られない自信もある」と語った23歳。その言葉や表情からは、長いトンネルを抜けた先で、また一つ壁を乗り越えた手応えが感じられた。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第3節】
2026年8月22日 横浜F・マリノス 1-0 ヴィッセル神戸
(日産スタジアム)
月額最安値で視聴するならDMM×DAZNホーダイ[PR]
「喜びよりか、またこっからどんどんやっていこう」

開幕から3戦連続でスタメン出場を果たした諏訪間幸成(後列左から4番目)【写真:Getty Images】
試合後、諏訪間幸成は穏やかな表情で言葉を紡いでいた。
「やっぱり2試合連続でクリーンシートで、ある程度の手応えだったりもつかめた。喜びよりか、またこっからどんどんやっていこうというフェーズに入ってきたのかなと思います」
横浜F・マリノスは8月22日、2026/27明治安田J1リーグ第3節でヴィッセル神戸に1-0で勝利。前節の清水エスパルス戦に続く2試合連続のクリーンシートとなった。
諏訪間は開幕から3試合連続で先発フル出場。神戸戦では相手のロングボールやクロス、セットプレーに対して体を張って跳ね返し、最後までゴールを許さなかった。
神戸は枠内シュート0本に終わり、諏訪間を含めたマリノス守備陣が相手の攻撃を封じ込めた。
「本当にみんなが前から守備をしてくれたおかげだと思いますし。その結果かなと思います」
チーム一丸となってつかんだ勝利だった。
それでも、高さと強さを武器とする23歳のセンターバックが、最終ラインで見せた安定感は確かなものになりつつある。
空中戦では相手のボールを跳ね返し、ビルドアップでは相手のプレスを冷静に剥がす。後半アディショナルタイムには、自陣から左足でロングフィードを蹴り、左サイドのジョルディ・クルークスへ正確につないだ。
右利きのセンターバックでありながら、逆足の左足でも迷いなく前線へボールを届ける。
その感覚は、開幕戦の鹿島アントラーズ戦でも表れていた。
諏訪間が左足で前線へ送ったロングフィードを、三井寺眞が左足のアウトサイドで巧みにコントロール。そのプレーから攻撃が展開され、谷村海那のゴールにもつながった。
守備だけではない。前へボールを届ける部分も、自身の武器として磨いてきた。
「キャンプから本当に監督から前を見ろっていうのを言われているし、あの状況で自分も左足の部分で出せたというところは本当に感覚としてもいいのかなと思うので、両足を使いながらやれている証拠かなと思います」
今季の諏訪間には、これまでとは違う空気がある。
先発での初勝利まで苦しかった時期「何でそこで自分がミスを…」

プロ1年目はシーズン序盤こそ出場機会を得たものの、チームの勝利に貢献できない日々が続いた【写真:Getty Images】
横浜F・マリノスユース出身の諏訪間だが、トップチームへの昇格は叶わなかった。筑波大学へ進学し、大学2年だった2024年3月にマリノスへの加入内定を勝ち取った。当初は2026年からの加入予定だったが、プロ契約を1年前倒しし、2025年からトップチームに加わった。
だが、プロ1年目は決して順風満帆ではなかった。
シーズン序盤こそ出場機会を得たものの、チームの勝利に貢献できず、自身も思うような結果を残せない。後半戦になると、出場機会はほとんどなくなった。
明治安田J1百年構想リーグでも7試合に出場したが、4月11日のFC東京戦では急きょ巡ってきた先発のチャンスで失点につながるボールロストがあった。
試合後には、「何でそこで自分がミスをしちゃうんだろうっていう、モヤモヤはありますけど、切り替えてやるしかないかな」と小さな声で話していた。
どこか自信を失っているようにも見えた。
それでも、4月29日のジェフユナイテッド千葉戦で先発して初勝利を経験。少しずつ、前へ進むためのきっかけをつかんでいった。
そして、迎えた2026/27シーズン。新監督のスティーブ・コリカ監督は、年齢や実績ではなく、パフォーマンスを見て選手を起用する方針を示している。
諏訪間も、その競争を勝ち抜いて開幕スタメンをつかんだ。
鹿島戦では終盤に足をつり、チームも3-4で敗戦。自身は好プレーを見せながらも、90分を戦い抜けなかった悔しさが残った。
「実際、自分も足をつってしまって、まだまだ足りないなというところもわかったので、本当にこの悔しい気持ちをまた次に繋げること。今年は降格もあるので、結果の部分が本当に大事になる。自分たちとしてはACL(AFCチャンピオンズリーグ)や優勝を狙っているので、そこに貢献できる選手になりたいなと思います」
その悔しさを次へつなげ、清水戦では、J1で先発した試合で初めて勝利を手にし、神戸戦では2試合連続のクリーンシートを達成した。
試合を重ねるたびに、何か一つずつ壁を乗り越えている。そんな感覚が、本人の言葉からも伝わってくる。
勝利で得た自信も「悔しい部分の方が大きい」

勝利の瞬間、感情を爆発させた横浜F・マリノスの諏訪間幸成【写真:Getty Images】
「やっぱり勝つことでしか得られない自信とかもあると思うので、本当に結果にこだわってやっていきたいなと思います」
その「自信」は、決して根拠のないものではないだろう。
神戸戦では空中戦で何度も相手の攻撃を跳ね返した一方、「何回か負けたところもあったので、悔しい部分の方が大きいかなと思います」と振り返った。
無失点に抑えたことを喜びながらも、満足はしていない。
「1回でも負けて失点につながる可能性もあるので、そこは本当にもっとこだわってやっていかないといけないなと思います」
この感覚こそ、今の諏訪間を象徴しているのかもしれない。
結果が出ない時期には、マリノスの勝利に貢献できない自分を否定したこともあった。清水戦後、自身のSNSには、苦しかった時間を振り返る言葉をつづっていた。
「長かった。挫折ばかりでほんとに苦しかった。次こそは勝てるって本気で思っていたのに勝てない日々。マリノスの勝利に貢献できない自分を否定した時もありました。でも自分とサッカーには噓をつかずに向き合い続けました」(原文のまま、一部抜粋)
結果が出ない時期でも、ファン・サポーターから届く言葉に何度も救われたという。神戸戦後にも、その感謝を口にした。
「うまくいかないときでも本当にファン・サポーターの皆さんは温かい声援を自分に届けてくれていましたし、そのおかげで自分も心折れずに頑張れたところもあります。
結果が出ずに諦めてしまったりするのは本当に簡単なことですけど、自分に嘘をつかずに毎日サッカーと自分には向き合って、100%向き合ったという自負はあるので、良かったかなと思います」
ここに至るまで、何度も「嘘をつきたくなるような瞬間」があった。
「もうめちゃくちゃありました」
そう言いながらも、チームメイトや家族、筑波大学時代の同期らに支えられ、ここまでやってきたという。
前節、先発でのJ1初勝利に続き、本拠地・日産スタジアムで勝てたことにも特別な意味がある。