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「自分たちが沼津を落としたから絶対に上げないと」。36歳の元日本代表FW川又堅碁がJ復帰にかける思い「本当にここから」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images
アスルクラロ沼津 川又堅碁

アスルクラロ沼津の川又堅碁【写真:Getty Images】



 アスルクラロ沼津は8月26日、天皇杯JFA第106回全日本サッカー選手権大会2回戦でジェフユナイテッド千葉と対戦し、延長戦、PK戦までもつれ込む激闘の末に敗れた。3カテゴリー上のJ1クラブを最後まで苦しめたチームの前線には、36歳の元日本代表FW川又堅碁の姿があった。今季からJFLで戦う沼津をJ3へ戻すために、背番号9が懸ける思いとは。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ] 

【天皇杯JFA第106回全日本サッカー選手権大会2回戦】
2026年8月26日 ジェフユナイテッド千葉 1-1(PK8-7) アスルクラロ沼津
(フクダ電子アリーナ)

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36歳の元日本代表FWが古巣・千葉戦でピッチへ

 第106回天皇杯が8月19日に開幕し、26日の2回戦からはJ1勢も登場した。今季17年ぶりにJ1復帰を果たしたジェフユナイテッド千葉は、JFL降格を強いられたアスルクラロ沼津と対戦。

 千葉は8月8日のJ1開幕以降、サンフレッチェ広島、FC町田ゼルビア、FC東京に3連敗。3戦無得点という深刻な決定力不足に直面していた。

 しかし、今回の相手はJFLの沼津。小林慶行監督はエリソン、石川大地という主力FWを温存。ここまでベンチスタートがメインだった呉屋大翔と矢村健を先発起用し、チームの底上げを図りながら、今季公式戦初白星を狙った。

 対する沼津は、2017年から2025年にかけて守り続けてきたJ3から陥落。2026年頭からJリーグでの指導経験豊富な篠田善之監督を招聘し、ボール保持にこだわる超攻撃的スタイルから堅守速攻をベースにした効率的な戦い方への転換を図っている真っ最中だ。

 今年前半のJFLカップは東地区3位と圧倒的な強さを示せなかったものの、J1経験豊富な守護神・大久保択生は「Jの百年構想リーグと一緒で新たなトライを重視するチームもあったので、今週末から始まるJFLの本番とは全く違う」と強調。

 この千葉戦で弾みをつけ、31日の沖縄SV戦からスタートする2026/27シーズンに向かっていくことが重要だった。

 両者の気迫が激しくぶつかり合ったこの一戦。序盤は個の力で上回る千葉ペースだったが、沼津が粘り強い守備で応戦。徐々にチャンスを作っていく。前半はスコアレスで終了したが、シュート数は千葉の7本に対し、沼津も5本。

 沼津は後半に突入し、巻き返しを図り、さらに攻撃の圧力を加えてきた。篠田監督が勝負に出たのが、65分。3枚替えに打って出たのだ。

 その1人が最前線に陣取った元日本代表FW川又堅碁だ。2020年から2022年まで3シーズン千葉で過ごした彼にとって、この天皇杯2回戦は古巣対決だ。

 しかも、2023年8月からプレーしている沼津がJFLに落ちたこともあり、今季は自身の選手キャリアを賭けた勝負の年。この一戦でゴールという目に見える結果を残したいという思いはひと際強かったに違いない。

「これをJFLにつなげていきたい」。敗戦の中で得た確かな手応え

アスルクラロ沼津 川又堅碁

2026年から背番号9をつける川又堅碁【写真:Getty Images】


「JFLカップが終わってからプレシーズンが2か月あったんですけど、この期間は自分にとって少しイレギュラーで、試合に100分ちょっとしか出ていなかったんです。

 徐々にコンディションを上げてきて、ようやく30分くらいだったら良いパフォーマンスを出せるようになってきたので、監督も『ゴールを取ってほしい』というメッセージを込めて送り出したと思います」と背番号9をつける36歳の点取り屋は神妙な面持ちで言う。

 川又はピッチに立つや否や、相手守備陣の背後を積極的に突いていく。76分には味方とのワンツーから前線に飛び出し、あと一歩で決定的なシュートを打てそうなシーンを作り出したが、得点には至らなかった。

 千葉も決め手を欠き、試合は0-0のまま延長戦へと突入。その延長後半の117分、沼津は川又と同じタイミングでピッチに立ったDFウエンデルが勝ち越し点をゲット。スタンドで見守っていた昨季途中までの指揮官・中山雅史CROも両手を突き上げてガッツポーズを見せたほど、沼津は下剋上に大きく近づいた。

 だが、直後に千葉のロングスローから途中出場のDF河野貴志に一瞬のスキを突かれて決められてしまい、勝負の行方はPK戦へと委ねられた。

 PK戦も9人目までもつれこんだが、沼津はGK大久保がキッカーとして登場し、失敗してしまう s。3カテゴリー上の千葉を最後の最後まで追い詰めながら、7-8で苦杯を喫した。

 これにはさすがの川又もガックリと肩を落とし、「最後、しっかり行かれましたね」と苦笑した。「今日はこっちもチャンスを作れていたし、あれだけ攻められたなかでもしっかり守れていた。みんなでハードワークした結果だと思うので、これを4日後に開幕するJFLにつなげていきたいですね」と気持ちを切り替えて、新シーズンに向かっていく覚悟だ。

J1で23ゴール、日本代表経験、36歳でJFLへ…浮き沈みのサッカー人生のなかで

EAFF E-1サッカー選手権2017 でプレーする日本代表の川又堅碁

かつては日本代表としてもプレーした川又堅碁【写真:Getty Images】


 2008年にアルビレックス新潟でJリーガーとなり、プロサッカー選手生活をスタートさせてからというもの、彼のサッカー 人生は浮き沈みの連続だった。

 2012年にレンタルで赴いた当時J2のファジアーノ岡山でブレイクし、2013年に復帰した当時J1の新潟で23ゴールという驚異的な数字を残してスターダムに駆け上がると、2014年8月には名古屋グランパスへ移籍。

 翌2015年にはヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表にも招集され、EAFF東アジアカップ2015にも出場した。

 その後、ジュビロ磐田時代の2017・18年にも2年連続J1で2桁ゴールを達成。再び代表に呼ばれた時期もあったが、2019年に磐田で契約満了になってからは不遇のときを強いられた。カテゴリーもJ2、J3と下がっていき、2025年にはJ3最下位に沈み、とうとう今季は4部リーグ相当のJFLで戦うことになったのだ。

「(J3からJFLに落ちた昨季末は)さすがにショックだったんですけど、自分たちが(沼津を)落としたので、しっかり自分たちが上げないといけない。そこには本当に真摯に向き合って結果を出したいと思います」と本人も気持ちを奮い立たせて今季に挑もうとしている。

 沼津には同じく元日本代表の齋藤学も所属している。2人には「再昇格請負人」としてチームをけん引してほしいというサポーターの期待も大きいはずだ。

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