日本のレフェリーは本当にレベルが低いのか? 「審判問題」の本質を問う

W杯や国際Aマッチといった舞台で高く評価される日本人レフェリー。それが国内では一転、厳しく評価されることが多い。この差異はどこにあるのか? 本稿では日本のレフェリーの優れている点、課題となっている点を検証しながら、審判問題の本質を考察していく。

2013年09月29日(Sun)9時59分配信

text by 石井紘人 photo Asuka Kudo / Football Channel

【サッカー批評issue56】掲載

審判員の資質を備える日本人

 Jリーグで誤審が相次いでいる。

 私が運営する審判批評サイトでは、得点や懲戒罰に関わると思われるミスが5試合以上あり、さらに試合の流れを変えたと思われる試合も5試合近くある。たった6節を終えただけで、これだけのミスがあるというのは、近年稀に見る多さに思える。

 しかし、「だから日本の審判団はレベルが低い」のかというと、決してそんなことはない。

日本のレフェリーは本当にレベルが低いのか? 「審判問題」の本質を問う
コンタクトプレーにおける日本人レフェリーの判定力は評価が高い【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 例えば、鹿島アントラーズのジョルジーニョ監督が激昂した第5節の対浦和戦。たしかに指摘通りのミスはあった。ただ、もう1度、映像で試合全体のレフェリングを振り返って欲しい。ミス以外は非常に良いコントロールをしている。

「フットボールは誰もがミスをするスポーツ」という言葉があるように、審判員も当然ミスをする。

 問題は、選手たちと同じで“どこで”起こしたミスなのか、ということだ。

 選手たちがゴール前でのミスを許されないように、審判員たちもそのエリアでのミスは許されない。ゆえに、今年の開幕前に行われたプロフェッショナルレフェリー(PR:公益財団法人日本サッカー協会(JFA)と契約するプロの審判員)・J1強化主審合同合宿では、選手を使った試合形式のトレーニングで、ペナルティエリア付近を徹底的にレフェリングし、最善の準備を行っていた。

 にもかかわらず、今季のJリーグでは多くの誤審が起きている。というよりも、世界各国で誤審が起きているという表現が正しいだろう。プレミアリーグでは、すでに2度の幻のゴールがあった。

 これは、現代サッカーのスピードが急激に上がっていることに起因している。だからこそ、トリオ(主審と副審2人)から5人制審判員(トリオ+両ゴール前の審判員)にUEFAは変更を行った。それは審判員が「より多くのサポートを必要としている」(JFAトップレフェリーインストラクター・上川徹)表れだ。

 だからといって、「誤審は仕方がない」で片付けては、物事は発展しない。だからこそ、サッカー批評編集部から、「日本の審判員と海外の審判員の比較をして欲しい」という依頼がきたのだろう。というわけで、誤審どうこうではなく、海外との比較で話を進めていこうと思う。

 まず、審判を語る上で、比較の対象となるのは『判定力』。試合中にコンタクトが起きた際、それが【フットボールコンタクト】【不用意】【無謀】【過剰】のいずれかであるかを見極めることが『判定』で、ルールの概念である「安全に、公平に」を体現するものでもある。

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