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Jリーグ 10年前

チームづくりに失敗した新監督。仙台が苦境から這い上がるために必要なこと

text by 小林健志 photo by Kenzaburo Matsuoka , Asuka Kudo / Football Channel

あえて攻撃を“捨てる”選択も

 仙台がJリーグの上位常連チームで、選手が個々の判断で攻守に機転を利かせて動けるチームであればこの練習スタイルでも良かっただろう。従ってアーノルド監督の指導方法が全く理にかなっていないと言うつもりは毛頭無い。しかし、今までの練習スタイルと大きく異なることで、選手たちは困惑。勝てないことで自信を失う悪循環に陥っている。

 アーノルド監督はこれまでオーストラリアで成功を収め続けているので、自信を持って自らの指導スタイルを前面に打ち出して練習を進めたのは当然だろう。日本人コーチ陣もそれを尊重してきたのは無理もない。

 しかしここまで攻守に機能せず、大敗を繰り返している状況であるならば、大胆な変化が必要だ。まず日本人コーチ陣も今までどういった練習でチームを作ってきたかアーノルド監督に進言し、より選手に意図の伝わりやすい練習に変えていく必要があるだろう。

 シーズンが進むにつれて日本人コーチの指示により、クロスボールからコンビネーションでのシュート練習を行うなど、徐々に昨シーズンまで行ってきた練習メニューを採り入れる動きは見られるが、さらなる努力が必要だ。

 あとは攻守に全く機能していない状況なので、やることを整理する必要がある。現実的には攻撃を捨てるか、守備を捨てるかだろう。今までの仙台のやり方から考えれば、攻撃を捨てる方が自然だ。

 自陣で強固な守備ブロックを作り、カウンター攻撃に活路を見出すやり方に戻すのも良いし、前から激しくプレスをかけショートカウンターを仕掛けるやり方に戻すのも良いだろう。

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