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香川真司 11年前

マンU番記者が徹底分析・香川真司の大いなる可能性【欧州サッカー批評 6】

text by ベン・ヒブス photo by Kazuhito Yamada

最も重視すべきはルーニーとの関係性

 とはいえ、初めから香川にポジションが保証されているわけではない。彼の最初の挑戦は11人の中の1枠を確保することから始まる。現にチームの補強はまだ終了しておらず、ロビン・ファン・ペルシーには正式にオファーを出し(すぐにアーセナルに拒否された)、サンパウロの19歳ルーカス・モウラ(ブラジル五輪代表、テクニック溢れるドリブラー。レアル・マドリーやインテルも興味を示している)にも触手を伸ばしている(本人が残留希望のため望みは薄い)。

 ファーガソンが7月に公式マガジン『Inside United』で「最も難しいのは、試合によって常に最適なペアを見つけることだ」と述べているように、このスコットランド人監督にとって重要なのは、より良いストライカー同士の発掘だ。現在彼はウェイン・ルーニー、ダニー・ウェルベック、ハビエル・エルナンデス、そして香川を、トレブルを達成した98/99シーズンの4人のストライカー(アンディー・コール、ドワイト・ヨーク、テディー・シェリンガム、オーレ・グンナー・スールシャール)に例えている。もちろん今の4人は98/99のストライカーと同じではない。しかし、お互いが協力し合うというユナイテッドの基本原理としては同じだ。

 香川が最も重要視すべきことは、ルーニーと質の高い関係性を築くことだ。このスター・プレーヤーとの連携がスムーズになれば、ファーガソンは彼をベンチに残すことはないだろう。また、ウェルベックとチチャリートとの関係性も無視してはならない。ウェルベックはまだ若く無限の可能性を秘めている。そしてチチャリートはスールシャールのような爆発力があり、短い出場時間で得点できる特異な能力を持っている。攻撃時の重要なオプションだ。ユナイテッドは長いシーズンを闘うためにファーストチョイスと呼ばれる11人を決めていない。常に“ファーギーのベストチョイス”に選ばれるよう努力しなくてはならない。

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