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セリエA 11年前

長友佑都と森本貴幸の現在地(前編)

text by 神尾光臣 photo by Kazuhito Yamada

 30日のEL予選バスルイ戦では、熱が出た後にもかかわらず「中盤の枚数が足りないので埋めてくれないか」という監督の要求に応え、初経験の左ボランチとして奔走。ポジショニングが乱れて必ずしもいいパフォーマンスではなかったものの、献身性は指揮官に高く評価された。

 ペレイラが公式戦初出場した第2節のローマ戦では、大方の予想を覆し左サイドバックとして先発出場。ペレイラが左ボランチとして起用され、長友は定位置を引き続き守ったのである。そして試合になれば、昨シーズンの一番の成長株と目されたイタリア代表FWデストロをしつこいまでの運動量で完封。苛立った相手はファウルを連発し、後半半ばに交代させられた。昨年の不振で長友には厳しい目を向けていた地元メディアも、「左サイドは強力になった」と評価を改めた。

エースを潰しチャンスも演出。指揮官からの信頼を勝ち取る

 もっともその後インテルはホームで失点がかさみ、ストラマッチョーニ監督はフォーメーションの修正を余儀なくされることになる。選手が攻撃に出過ぎてカバーが薄くなる弱点が、識者や地元メディアから指摘されていた。しかし監督は「サイドでスピードを確保できる選手は使おう」と決断し、長友を引き続き構想の中に入れたのである。最終ラインは3バック、長友のポジションは1列前の右ウイングバックだ。

 そして長友は、その期待にプレーで応える。「攻撃の時はどんどん行け」と指示をもらった第5節のキエーボ戦では、サイドからの仕掛けで得点を演出した。

 組み立ては左サイドが中心となってしまい、右にはフリーでいてもあまりボールがこない状態。

 だが、「回ってくれば仕掛けられる自信はあった」という長友は43分、サイドからエリア内へ切り込み、「ファーポストに強いボールを出そう」と、左足でシュート性のクロスを放った。これが相手DFの足先に触り、詰めていたペレイラが押し込んで先制。新戦術の鍵となるポジションで、攻撃面での期待に応えた。

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