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大学サッカーは実力に見合った評価が下されているか?(前編)

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto

大学サッカーに意外に多いJユース出身者

詳しくは後述するが、今大会の技術委員長を務める福岡大学の乾真寛監督によれば、Jリーガーを育成するに足る大学サッカー部は全国に20はあるという。これはあくまでも「400のうちの20に絞られてきた」という「大学のサッカー部はプロ養成機関ばかりではない」という文脈での発言だが、大学サッカーの上位校を集めたら、J2やJFLに比肩するリーグがもうひとつ出来上がる計算になることにはちがいない。

準決勝で鹿屋体育大学を破った早稲田大学のスタメンに占めるJユース出身者は7人。福岡大学に敗れた阪南大学のスタメンにもJユース出身者が7人いた。Jクラブ下部組織とJクラブトップを結ぶ「最終育成機関」として機能し始めたことを考えると、この時点で大学サッカーの質は保証されている。

周囲の見る眼も変わってきた。今大会は前日公式記者会見(19日)から各ラウンドのベンチ横までテレビ朝日のキャメラが密着。決勝戦はBS朝日で生中継される。


インカレスペシャルライブを行う
『SUPER ☆GiRLS』

そしてその決勝戦では、女子の試合(第21回全日本大学女子サッカー選手権大会決勝)終了後に予定されているSUPER ☆GiRLSの「インカレスペシャルライブ」や、関東23大学+高知大学、福岡大学、中京大学、新潟医療福祉大学による「大学“サッカー部”説明会」など注目のイベントが目白押し。いままで平日に開催されていたが、今回は日曜日の開催ということで、大学生・専門学校生・短大生・高校生以下入場無料の料金設定も含め、観る側にとってもよい条件が揃った。

大学サッカー全体が評価を上げているだけでなく、インカレという大会そのものの格が上がってきている。ナビスコカップ決勝、天皇杯決勝、高校選手権決勝に列ぶ、国立の風物詩になりつつある。この機会にインカレと大学サッカーの意義について、あらためて考えてみたい。

現在はサテライトリーグもなく、18歳から21歳までの選手が、Jではなかなか育ちにくい状況にある。だからこそ高卒でいきなり試合に出ている選手は優秀だとも言えるのだが、出場機会の少なさが、全体的には若手のデメリットに働くことは否定できない。

その点、学府というしっかりした社会基盤を背景に、学生としての活動から人間性の幅を拡げ、サッカー部員としても生活面から規律を叩き込まれ、優れた環境でトレーニングと試合に勤しめる大学サッカーが、比較的有効に機能していることも、また否定できないだろう。

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