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改心を果たした(!?)天才の誓い アントニオ・カッサーノ インタビュー(後編)

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Kazuhito Yamada

アッレグリは控え組のモチベーションを上げるのが上手い

――で、そのイブラを擁するミランにあって、カッサーノが果たす役割とは……。

「だから戦術とか何とかの話は無しってさっき言ったろ? とにかく俺は出番が与えられれば何だってやる。こと“戦術”に関して言えるのはそれだけだよ。ポジションなんてどこだっていい。サイドに開いてプレーするセカンド・トップってのが俺の一番得意とするポジションだけど、ここミランではチームの利益が絶対だからな。監督のアッレグリが常に言うのは“バランス”、そのためには選手全員がチームのために尽くすこと。いわゆる自己犠牲の精神ってヤツ? それなくしてこのレベルで勝つことはできないからな。まぁ俺は元々そんなもん持ってなかったんだけど、さすがにミランに来てそれを学ばせてもらったよ。

 で、もうひとつアッレグリについて言っとくと、あの監督は特にベンチスタートの選手を重んじるってことだね。これはホント新たな発見だったよ。なるほどこういう手があったのか……とね。もちろん、どうやるかってのは企業秘密なんで言えないけど、とにかくアッレグリって監督は控え組のモチベーションを高めるのが上手いんだよ。実際、この俺自身が途中出場でバリバリ活躍してるしね。監督ってまだ43歳だっけ? 若いのにホント大したもんだぜ(笑)」

――昨季のカッサーノが途中出場で光るプレーを多く見せたのは事実。だが、それは君のコンディション不良ゆえの結果だとの見方もある。つまり、ミランに来てからのカッサーノは90分を走り切るコンディションになかったと。

「まぁそういうことだな。サンプで(会長ガッローネを罵倒し)メンバーから外されてから2ヶ月は全然トレーニングしてなかったし(笑)。でも来季は絶対に違うカッサーノをみせると誓うよ。セリエAだけでなくCLもあるし、それに何と言っても来年の夏にはユーロ(欧州選手権)が控えてるからな。

 プランデッリ(代表監督)のオッサンは『各クラブでスタメンの選手だけが選考対象になる』って明言してるし、なので何としてでも俺はここミランでの激しい競争に勝たなきゃならない。さっきも言ったけど、この俺ももう親父になったことだし、もうすぐ30になっちまうし、そろそろマジで真剣にやってやろうかとね、まぁそう思ってるところだよ」

――とはいえミランのFWは2枚(4-3-1-2)。イブラとパト、ロビーニョというヒエラルキーは変わらないと見られている中、来季はインザーギも戻ってくる。さらに、トップ下はボアテングがレギュラーの座を確保している。

「そんなの知ってるさ(笑)。なんで俺はとにかく全力を尽くすだけだよ。ただ、俺にとっては来年のユーロが余りにも大事なんで、もしもここで出れないとなればその時は違う場所を探すことになるだろうな」

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