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パリ・サンジェルマンは真のビッグクラブになれるか? ~欧州CL・ベスト16の見所~

text by 植田路生

影響の大きいチアゴ・モッタとチアゴ・シウバのケガ

 バレンシアのボール支配率はポゼッションを志向している割には低く、フェグーリのドリブル突破、ソルダードの個人能力頼みの攻撃で、連動性を欠いている。

 守備面でも簡単にマークを外す場面が目立ち、セットプレーはマンマークなのかゾーンディフェンスなのか、はっきりしない。組織力は一向に高まらず、早くも監督を交代した(ペジェグリーノ→バルベルデ)。

 プラスの面があるとすれば、パスセンスに優れたカナレスの復帰くらいか。崩しのバリエーションは間違いなく増えるが、それだけだとすると、パリ・サンジェルマンが優位に立てないのは、彼ら自身に原因があると考えた方が良さそうだ。

 戦力的に見れば、今冬でネネとオアロなど6人を放出したが、彼らはすべてアンチェロッティ監督の構想外。逆にブラジルの至宝ルーカスやベッカムの加入で戦力はアップしたと考えていい。

 懸念材料は主に3つ。1つ目は、チアゴ・モッタとチアゴ・シウバのコンディション。2人とも1月にケガをしたが、その傷がまだ癒えておらず、直前のリーグ戦も揃ってベンチを外れている。

 チアゴ・モッタの代わりはベラッティが入ることになる。20歳にしてイタリア代表にも名を連ね、ピルロの後継者とも目されているが、モッタと比べると守備面での期待はできない。

 また、チアゴ・シウバの代役はサコあるいはアルマンが務める。だが、パリ・サンジェルマンの守備は組織というよりもチアゴ・シウバとアレックスの高い個人能力で保っていた部分が少なくない。そう考えると、能力の劣る彼らを起用することにより、守備陣に綻びが生まれる可能性はある。

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