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ハーフナー家の絆 ~親子ニ代で日本人になるということ~(後編)

text by 元川悦子 photo by Kenzaburo Matsuoka

日本を強くしたいから国籍を変えようと決心した

「私もラモス(瑠偉=現ビーチサッカー代表監督)さんもワールドカップには行けなかったけど、呂比須ワグナーや三都主アレサンドロ、闘莉王が日本人としてワールドカップに出ましたよね。僕もそうだけどみんな日本が大好きで、日本を強くしたいと思ったから、国籍を変えようと決心したんでしょう。僕らみたいに日本のために働く外国人選手が増えるのは、全然問題ないと思いますよ」とディドは言う。

 世界を見渡しても、外国出身者がその国のパスポートを取得して代表選手になる例は、増加する一方だ。かつて黒人選手の代表入りに物議を醸していたドイツでさえ、最近は帰化選手を積極的に選出するようになった。少子化・人口減少社会の日本も外国人流入が加速しており、帰化選手が増えていく可能性は大いにある。その先駆者であるハーフナー・ファミリーは、今後のお手本となるような素晴らしい生きざまを示してくれている。

 日本人のメンタリティーをしっかりと理解しつつも、オランダ人の良さを生かしてピッチ上では勝負に徹する……。ディドが強調する姿勢をマイクやニッキがこれまで以上に見せてくれれば、日本サッカー界はより前向きな方向に進むだろう。父はファミリーの結束を大事にしつつ、成長を続ける息子たちをこの先も温かく見守り、叱咤激励していくつもりだという。

 6年後の2018年、2人の子供たちは父が託したワールドカップ同時出場の夢を果たしてくれるだろうか……。父の楽しみはどこまでも尽きることがない。

【了】

初出:フットボールサミット第7回

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