ハーフナー家の絆 ~親子ニ代で日本人になるということ~(後編)

ハーフナー・ディドはどのような思いで日本人となったのか。日本で2人の息子、マイク(フィテッセ)とニッキ(名古屋グランパス)を育て、親子二代でプロとして活躍している一家の話を聞いた。

2013年02月27日(Wed)14時29分配信

text by 元川悦子 photo Kenzaburo Matsuoka
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【前編はこちらから】 | 【フットボールサミット第7回】掲載

日本人特有の義理と人情

 頻繁に環境が変わる生活だったからこそ、子供たちとの触れ合いは大事にした。札幌時代は庭付きの大きな家に住んでいて、一緒にボールを蹴るのが日課になっていた。マイクはFW、ニッキはDFとして大成しつつあるが、父は幼い頃からそれぞれのセンスを感じ取っていたという。

「庭で2人はよく1対1をやってたんですけど、いつもマイクが攻撃、ニッキが守備に入ってました。僕がGKに入って後ろから様子をうかがうことも多かった。マイクはアグレの頃は体がデカいんでPK戦でGKをやらされてたんだけど、嫌で嫌でね。いつも点を取りたがっていました。ニッキはちっちゃいのに結構、守りがうまかったですね。なかなかいいなと思っていました」

 自分の背中を追いかけるように、サッカーにのめり込む子供たちを、父は献身的にサポートした。国内を何度も引っ越し、異なるクラブに入ったことで、彼らは指導方針やコンセプト、チーム戦術の違いに直面して、戸惑うことも少なくなかっただろう。そんな不安を取り除くために、ディドは毎日のように一緒にビデオを見ながら話をした。

「息子たちが出た試合や海外リーグの試合を見ながら、『このシステムはどう思う?』とかいろいろ質問して、考えさせるようにしてました。マイクは戦術とか選手の特徴とか細かいことまで気づく子で、指導者に向いてるなと思うこともありました。

 そのマイクには『もっと激しく行け』と口を酸っぱくして言いましたね。イタリアのFWなんか見てると、相手のシャツを引っ張って貪欲にゴールを取りに行く。汚いプレーは決していいことじゃないけど、ギリギリのところまではやるべきだと思うから。それにFWは世界レベルだと時間的余裕が全然ない。ボールを受ける前に周りをしっかり見て、もらった後のプレーも考えておかないといけない。そういうことはいつも言ってました。

 ニッキの方には試合前に必ず『今日もアグレッシブに行け』と声をかけてます。ニッキは195㎝もあるから、100%の力で当たると相手の子が痛がる。やさしい性格だから、それを見るのが辛いんでしょうね。どこかで力を抜いてしまう。『そんなのは世界レベルでは通用しない』と僕はいつも話してます。もう1つアドバイスしてるのは、ロングボールの精度を上げること。僕が好きだったロナルド・クーマン(現フェイエノールト監督)やフランコ・バレージ(現ACミランヴェレッティコーチ)がそういう選手でしたからね」

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