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【秋春制を考える】原博実技術委員長に聞く日本サッカーの強化ビジョン(後編)

「(いまは)もうワンランク上がるための議論をタブーなくやるチャンス」
日本サッカー協会・原博実技術委員長(強化担当)は順風満帆な日本代表の活躍を評価しながらも、現状に満足することなく、日本サッカー全体がさらに上を目指すために危機意識をもって改革に取り組もうとしている。2011年8月初旬、原技術委員長が考える日本サッカーの強化ビジョンについて話を伺った。

text by 西部謙司 photo by editorial staff

J3構想、シーズン移行など日本サッカーにおける改革案が浮上している。なぜ改革が必要なのか? その根源を探るべく、『サッカー批評52』(2011年9月発売)に掲載された原博実・日本サッカー協会技術委員長にインタビューした原稿を再掲する。原委員長が語った「日本サッカーの強化ビジョン」とは?。


【前編はこちらから】 | 【サッカー批評issue52】掲載

Jリーグはいま、見直さないといけないことがたくさんある

――海外に移籍する選手が増えています。代表チームとしては、いいことなんでしょうけど……。

「そうはいってもJのレベルが下がってしまうと、そのうち移籍もできなくなるわけで」

――いまのところは、何とか回っている。Jのレベルは下がっていない。

「うーん、でも正直いうと、即戦力というより、少ない出費ですむから獲得している面もあると思う。移籍後必ずしも試合に出られている訳ではない。それでも海外に行きたい選手は多い。気がついたらJリーグの魅力がなくなっているというのは避けたいですよね。

 あと、これもJリーグと話しているんですけど、日本の課題は19~22歳ぐらいの選手のプレー環境ですね。高校ぐらいまでは公式戦も多いけど、プロになった途端にプレー経験を積めなくなるんです。能力の高い選手はJリーグの上位に入る。ところが、当然すぐにはなかなか出場できない。大学生と練習試合をやっているぐらいで実戦経験が少ない。大学生のほうが実戦経験は多いですよ。

 日本のその年代で最も優れている選手たちがプレーしていない。19、20歳ぐらいで、毎週リーグ戦をやって、年間何十試合かを戦う体を作るという場がない。J2のクラブも昇格したいから、J1でやっていた選手を使っていて、案外若い選手の出番がなかったりね」

――チーム数を倍にしたらどうですか?

「J2の? でもいまでも経営が苦しいクラブもあって……」

――東西に分けるんですよ。

「それはあります。Jリーグはいま、見直さなきゃいけないことがたくさんある。日本は南北に長いんで季節を考えて2つに分けるとか、タブーなくいろんな意見を出して、15年のオーストラリアまでには、同じことを繰り返さないように話し合ってます」

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