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Jリーグ 11年前

昨年の王者広島を圧倒した浦和レッズは、今年のJ1を引っ張る存在になる

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka

浦和は今季のJ1を引っ張る存在になる

 興梠は中盤の選手に対して顔を出すタイミングが絶妙で、ワンタッチのプレーにもミスが少ない。楔に対しても安定した技術力でしっかりとボールを収めることができるため、チーム全体が恐れずに押し上げることができるようになる。そしてそれが、高い位置からのディフェンスに繋がっているのだ。

 どれだけ高い位置でボールを奪ったとしても、すぐその後に奪い返されてしまえば後方の選手は思いきってポジションを上げることができない。逆にボールを失わない可能性が高まれば、全体が高い位置を取っていてもそのリスクは減少していく。それを極限まで突き詰めたのが、FCバルセロナのサッカーだと言えるだろう。

 興梠の加入で前線でのボールキープ力が高まり、それが前線からのタイトなディフェンスに絶妙にマッチして、相手陣内でプレーする時間帯が飛躍的に長くなった。昨シーズンはあまり見られなかった“相手を押し込んで戦う”スタイルを、何より昨年の王者相手に見せられたことは、チームにとって大きな自信に繋がるだろう。


1ゴール・1アシストの活躍を見せた原口元気【写真:松岡健三郎】

 また、昨年1トップに起用されたものの思うようなパフォーマンスを見せられなかった原口も、一つポジションを下げたことで視野が広くなり、得意のドリブルを効果的に活用できるようになっている。ACLの広州戦でも後半からシャドーに入り、1トップのときとは見違えるような動きを見せていたが、原口はついにペトロヴィッチサッカーの中で、最適なポジションを見つけたのかもしれない。

 後半に投入された阪野も十分に戦力として考えられるパフォーマンスを見せ、1トップの人材は興梠、阪野と昨シーズンと比較して間違いなく厚くなっている。今後原口を無理に1トップで起用する必然性はなくなり、原口が本当の意味で“開花”するシーズンになる可能性は十分にある。

 開幕戦で攻守にアグレッシブなスタイルを貫き、十分な質の高さを感じさせた浦和レッズ。今年のJ1を彼らが引っ張っていく存在になるのは間違いないだろう。

【了】

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