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『決定力不足』という言い訳にサヨナラを ~決定力を個人技頼みにしないための戦術的アプローチ~(後編)

text by 清水英斗 photo by Kazuhito Yamada

[まとめ]高い個人能力がなくとも決定力を高めることはできる

『決定力不足』という言い訳にサヨナラを
【写真:山田一仁】

 今回、本稿を執筆するにあたり、スペイン、オランダ、イタリアなど、欧州でサッカーを学んだ何人かの指導者に聞いてみたが、日本で使われる『決定力』というサッカー用語にピタリと相当する言葉は、どの国にも存在しなかった。

 海外では「ミドルシュートを打たないから負けた」「ビルドアップにミスが多いから負けた」「運が悪かったから負けた」、あるいはもっと辛辣に、「選手Aがシュートを外したから負けた」といった具体的な言い方が多いらしい。

 決定力不足――。

 敗因も不明瞭で、誰の責任も追及しないあたりは実に日本らしい造語かもしれないが、膠着を破るためのオーガナイズの欠如と読み解き、突き詰めるとなかなか面白い。

 例に挙げた戦術的アプローチはほんの一部分だ。もちろん個人の才能で膠着をぶち破ることも大切だが、その力がなくても、チームの決定力を高めるのは十分に可能である。

 決定力不足とは、すなわち工夫不足。思考停止に陥った者の言い訳に過ぎない。

【了】

初出:サッカー批評issue56

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