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確立された対バルサ戦術とメッシ封じ。「バルサ対策」への「対策」は可能か?

text by 西部謙司 photo by Kazuhito Yamada / Ryota Harada

対策への対策

確立された対バルサ戦術とメッシ封じ。「バルサ対策」への「対策」は可能か?
メッシの個人技で対応【写真:山田一仁】

 ミラン型の守備に対して、バルサはビジャの起用とメッシの個人技で答えを出した。押し込んだ段階でビジャは右ウイングからCFの位置へ移動、メッシはいつも通り引き気味にポジションをとり、空いた右サイドにはSBダニエル・アウベスが進出する。

 ゼロトップでなく1トップにしたことで、普段はほぼ捨てているサイドからのクロスボールも使って攻めている。ビジャが張っているので、CBがメッシをつかまえるためにポジションを上げる対策はとりにくくなった。また、第2レグではコンディションを上げたメッシが、ごく狭いスペースでもシュートを打ち込む能力の高さを見せつけた。

 PSGにプレスをいなされたのは想定外の事態だったと思うが、ミラン戦第2レグで成功したビジャ、メッシ、アウベスの3点移動にも原因があったかもしれない。攻撃時は時間があるので移動に問題はないが、守備では逆回しにする時間がない。

 アウベスの背後をカバーすべくDFが右へ流れる、ブスケツは3バックとのバランスを見ながらプレスへの加勢を行わなければならず、結果的にプレスが後手に回ったのではないか。プレスが外されれば、総退却してブロックを作り直すことになるが、バルサは引いて守って強いチームではない。

 準決勝で対戦するバイエルン・ミュンヘンは、ミランの守備力とPSGの攻撃力を併せ持つ強敵だ。故障者と出場停止者で火の車になっているCBの人選と同時に、プレスを強化するかリトリートへの切り替えを速くするか、守備面での手当も必要だろう。

【了】

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